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どうも、こんにちは。
前回の続きで、東京国立博物館で、今月(2017年10月)15日まで開催されている「マジカル・アジア」展を観て回ります。
この企画展は、その名の通りアジアの各地に伝わる魔術や呪術、民間信仰などに関連する物品を集めたイベントです。
では、前回の引き続きです。
これは、死者に履かせる靴だそうです。
かなり錆び付き、風化が進んでいますが、災いを払い、福を招く祈りが込められた刀剣のようです。
土器ですが、動物の角の形をした杯、「角杯(かくはい)」です。
角杯をいくつも乗せる台。副葬品として墓に納める為のものだそうです。
角杯といえば、リュトンという特別な儀式に使用するこういう形の杯も。
墓を守る三彩陶器の聖獣。
これも墓を守護する神様でしょうか。
墓に副葬品として納められる馬でしょうか。
青銅製のこのオブジェは、樹をかたどったもとかと思ったら、「揺銭樹」という、その名の通り「金のなる樹」だそうです。
銭の他、竜や鳳凰などの霊獣が表現されています。
古代中国の青銅器。
確か何かの儀式に使っていたと思いますが、その表面には、あらゆるものを喰らうという怪物「トウテツ(注:漢字が出てこない……)」が掘られています。
何でこんな貪欲で危険な怪物を大事な儀式の道具に使うのか?
という疑問があったのですが、「何でも食べてしまう」ということから「魔や災厄も食べる」と考えられたことから、魔除けにも使われたそうです。
鬼など、本来は邪悪で危険な存在も魔除けに使うという発想は、日本や中国など東アジア文化圏ならではのものなのでしょうか。
古代エジプトの呪具も揃えてありました。
まずは「シャブディ」という、墓の副葬品として伝われる人形です。
魔除けなどに使われた、古代エジプトのベス神の小像。
見事なトキの像。
エジプトの知恵の神様、トートを象徴しているものと思われます。
猫かライオンのような顔した女神像は、人間を病気や悪霊から守るとされているバステトか、もしくはセクメトでしょう。
古代エジプトの「死者の書」。
ヒエログリフで書かれた文書。
そして何と、本物のミイラまで。
地下1階にも様々な呪具が。
パプアニューギニア島の、森に棲む精霊を表した仮面。
パプアニューギニア北東部に伝わるという、これは頭蓋骨だそうです。
その辺りには、首長が亡くなると、その頭蓋骨にこのように彩色・加工して生前の顔を再現して、祀る習慣があるそうです。
インドネシアに伝わる「クリス」という剣。
特別な霊力を持つとされ、現在でも結婚式など特別な儀式に使用されるそうです。
中国の清時代のもので、「銭剣」という硬貨を糸でつなげて剣の形にしたものです。
おそらくこれ、見覚えのある人も居るのではないでしょうか。
『霊幻道士』等、妖怪キョンシーが登場する映画で、道教の道士が妖怪や悪霊と戦う時に使用する武器でした。
その実物にまでお目にかかれたとは。
これだけでもわざわざ関西から来て良かった、と思います。
本記事の最後に紹介するのは、これです。
これは、「丑の刻参り」に使用される藁人形ですね。
明治の頃、上野公園内で発見されたそうですが。
なるほど、この藁人形も立派な呪具ですね。確かに、この国で最も有名な魔術・呪術のひとつがこれですね。
京都妖怪探訪シリーズ第138回等でもその痕跡を観たことがありますが、これは現代でも続けられている呪術です。
呪術や魔術、霊や妖怪の伝説などというのは、どれだけ近代科学が発達し、近代合理主義が浸透しても、無くなったり、忘れられたりすることはない。
そんなことも考えさせられます。
他にもいろいろとありましたが、ここではここまでとします。
国宝や重要文化財級の文化財などと比べて、価値はそれほど無いのかもしれませんが、これほどたくさんの貴重な魔術や呪術に関する貴重な品々を直に目にして、しかも撮影まで許可されたとは。
妖怪オタク、オカルトマニアには、非常に面白かったどころか、夢のような話でした。
いや、本当に。
わざわざ関西から出てきて良かったです。
なお、その後は同時開催されていた「運慶」展も観て、実に楽しく充実した休日を過ごすことが出来ました。
今回はここまで。
また次回。
*東京国立博物館へのアクセス・周辺地図はこちら。
*東京国立博物館のHP
http://www.tnm.jp/
*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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