京都の闇に魅せられて(新館)

“妖怪伝導師”葛城玄幽と酒呑童子の「首石」 @ 京都妖怪探訪(400)





 どうも、こんにちは。
 この度は、妖怪絵師にして妖怪伝導師として現在もご活躍中の葛城玄幽氏が所持されているという、曰く付きの魔石の話を紹介します。

 ついに本シリーズも400回を迎えました。
 はっきり言って私の個人的趣味の自己満足でやっているようなものですが(笑)、それでもここまでやってこられたのは、いつも読んで下さる読者の皆様がおられてこそ、です。
 この場にて、心より感謝の意を表明させていただきます。
 さて本シリーズ、400回記念にふさわしい、「これぞ京都の妖怪巡りだ!」という記事を書きたいと思っておりましたが……。
 ちょうどごく身近に、そのようなネタが見つかりました。
 本シリーズでも何度か登場されました葛城玄幽氏
 古物商でもある葛城氏の周囲には、自然と曰く付きの品々が集まってくるそうです。つまり「呪われている」「祟りがある」とか、「持っていると怪異に遭う」とか、「持っていると怪異に遭う」などと言われているような品物ですね。
 葛城氏はそういった品々を集め、大切に保管しておられるそうですが、その中でも特に強い力を持つというものを、この度見せていただけました。
 そして葛城氏のご厚意により、その品物「首石」を……首塚大明神で手に入れたという不思議な石を取材・撮影させていただくことができました。
 まず、この問題の「首石」について、少し説明を。
 この「首石」と名付けられた不思議な石を葛城氏が拾われたという、京都郊外の首塚大明神ですが。そこはあの伝説に名高い鬼・酒呑童子の首が奉られているという霊場で、心霊スポットとしても有名な場所でもあります。
 観光名所しても知られているものの、敷地内は昼間で薄暗く、人を寄せ付けないような雰囲気に満ちているそうです。
 それだけでも普通なら気味が悪いと感じてあまり近寄らなかったり、警戒したりするものですが。
 なんと葛城氏は、わざわざその場所まで出向き、境内の祠と塚の真後ろにあたる場所でその石を見つけ、そして持ち帰られたのです。
 心霊スポットで犯してはいけないタブーのひとつが


「その場所にあるものを持ち帰ってはいけない」


とよく知られていますが、葛城氏はあえてそのタブーを破って、その石を持ち帰られたのです。
 一体、何のために!?
 そんな疑問が、そのお話を聞いた時に思い浮かんだのですが。
 案の定と言うべきでしょうか。
 その後葛城氏は、様々な怪異や凶事に見舞われることになります。
 そしてその時の話が、書籍にも書かれています。
 『怪談実話NEXT』(東雅夫/編・MF文庫ダ・ヴィンチ・2013年発行)という本です。






 その中の、剣先あやめ『怪異蒐集録』の『その一「首石」』に、葛城氏と「首石」のエピソードが収録されています。
 何故、葛城氏がそんな石を持ち帰ったのか?
 さらに、その後何が起こったか? どうなったのか、が書かれています。
 以下、少し引用させていただきます。
 勿論、引用文中の「K氏」とは葛城氏のことです。


> なぜ、そんなとろこにわざわざ行かれたのですか? という私の問いに、Kさんは照れくさそうに答えてくれた。
「おそらく、私の祈りに答えてくれたのでしょう」
 石を見つけた頃、Kさんの生活は店舗として借り受けていた町屋の契約更新を断られ、引っ越しせざるを得なくなったり、高齢になってきた親が体調を崩しがちになったりしてかなりごたついていた。
「普通の人だったら、神社にでも厄落としに行くんでしょうけど」
 しかしKさんは妖怪の子孫と自負するような人である。自分にはまだ力が足りないのではないか、と思ったそうである。
 力が足りない、とは? と再度私は訪ねた。
「いやあ、僕の周りには自然と曰くのあるものが集まってくるんですよ」
 持っていると障りがある、怪異が起こると言われるものがKさんの元にはよく持ち込まれるという。
 それらの中から選りすぐったものをKさんは大切に保存していた。他の人には災いを与える品々が、自分に力を与えてくれるような気がするからだそうだ。
 しかしまた、そのどれもが今一つ力が弱いとも思っていた。
 それらの品の要となるような強い力を持った物が欲しい。そしてその力を我が物にすれば運命も好転し、生活も安定するのではないか、とKさんは考えたのだ。


 引用ここまで。
 そうして首塚大明神まで行って見つけたのが、件の石だという話ですが。
 それにしても、さすがは“妖怪の子孫”“妖怪伝導師”というべきでしょうか。
 もう何というか、どう考えても普通ではないと思います(笑)。
 まず、呪われた品々を集めて保管するということから普通でないというか、凄いというか。
 そして悪いことが続いても、厄落としどころか、「自分に力を与えてくれそうだから」と、さらに強力な呪いの品を追い求めるところとか。
 その為に、曰く付きスポットまで出向いて、それを持ち帰ってくるとは、本当に恐れ知らずと言いますか……。
 私などにはとてもできません。という以前に、そんな発想すらありません(汗)。
 案の定、持ち帰ったその直後から、葛城氏は怪異に見舞われます。
 『怪談実話NEXT』の「首石」のエピソードから、以下もう一度引用します。


> 異変はすぐに訪れた。京都市内に戻ろうと車を発進させてしばらくすると、地面から突き上げるような衝撃とともに、大きな音が社内に響いたという。
 石でもぶつかったのかと路肩に車を止め、友人と一緒に確認するが異常はない。首をかしげなから車に乗り込もうとした時、
「おい、これってやばいんじゃないか」
 友人が車のそばに立っている地蔵を指差した。子安地蔵、と書かれた立て札がその脇に立てられている。
 京の都に酒呑童子の首を持ち込むことを咎めた、と言い伝えのある地蔵だった。


 引用ここまで。
 ……。
 いやはや。
 それはどう考えても、「警告」というか、「それを持ち帰ってはいけない」という天や神仏の声というものでしょう、と思うのですが。
 普通ならそこで、持ち帰ることをあきらめるはずですが……葛城氏はやはり普通ではありませんでした(苦笑)。
 逆に葛城氏は石の持つ力の強さに喜び、興奮して持ち帰ってしまいます。
 その後葛城氏は、さらにいくつもの怪異や凶事に見舞われ続けることになったそうですが……。
 それからどうなったかは、ここではあえて言わないでおきましょう。
 現在も市販されている書籍の内容をここで全て出すわけにもいきませんから。
 ご興味ある方は、『怪談実話NEXT』を直接手にとってご覧ください。
 もしくは、直接『妖怪堂』を訪れて、葛城氏に尋ねられるといいでしょう。



 さて次に。
 先日私も、その「首石」を見せていただくことができましたので、その時の話をしましょう。
 その日私は用事を終えて、西院、西大路蛸薬師付近にある、葛城氏の運営する妖怪カフェ『妖怪堂』へと向かっていました。
(※『妖怪堂』については、シリーズ第354回第355回で紹介しています)
 その途中、私の携帯に葛城氏からメールが入っていました。


「今 来はりました?」


 「今、来ましたか?」という意味ですが、その時私はまだ、バスか電車の中でした。
 後で「何故、こんなメールを?」と葛城氏に尋ねてみました。
 その時私を待っていた葛城氏は、玄関から人の気配や物音がしたので、私が到着したと思って外を見たところ……誰もいなかったということです。
 しかし確かに気配か物音はしたそうです。
 いたずらか、葛城氏の間違いとかでなければそれは一体、何だったのか……?
 おかしなこと、不思議なこともあるものだと思いましたが。
 しかしこれまでにも葛城氏と一緒にいると、不思議なことに出くわしたり、思っても見なかった出来事に遭遇するということが何度かありました。
 単なる「気のせい」か?
 これも何かの縁か?
 何かの加護か、それとも祟りか何かなのか?
 それはよくわかりませんでしたが。

 それはそうと、相変わらず怪しげなムードの『妖怪堂』です(笑)。








 奥の部屋に通していただき、葛城氏が出してくださったお茶とお菓子を頬張りながら、ゆっくりとくつろぎました。
 実はここには時々ですが足を運んでおります。
 今年のはじめ頃には、「京都」「妖怪」をテーマにしたTRPGのセッションを開くなど、ちょっとしたイベントに使わせていただいたこともあります。
 その時の写真がこちら。






 ところで、『妖怪堂』の開店当初より、この部屋の隅に飾ってある、件の「首石」や怪しげな品々。
 




 以前から気になっていましたので、思い切って尋ねてみました。
 そうしたら『怪談実話NEXT』のことを教えていただきました。
 そしてさらに……葛城氏ご自身がその「首石」を直接手にとって、私に見せてくださいました。
 そして撮影を許可していただきました。
 その時撮った写真が、以下に。





 ご覧の方は、おわかりでしょうか。
 石の上半分にある2箇所の白っぽい結晶部分、目に見えてきませんか。
 また左下の部分は、歯をむき出しにした人の口のようにも見えないでしょうか。
 まるでしゃれこうべのようにも、無念の表情を浮かべた人の首のようにも見えてくるのですが。
 読者の皆様には、どのように見えるでしょうか?

 葛城氏のお話ではこの石は、最初はもっと赤い色をしていたそうです。
 そう言えばだいぶ以前、葛城氏がこの石を持ち帰られてから間もない頃でしたか。
 その時もこの石を見せていただいたような記憶もあるのですが、その時はおそれをなしてしまって写真を撮ることを躊躇しておりました。
 その時撮影して、その「血まみれの生首みたい」な姿を残しておけばよかった……などとも後悔しましたが。

 しかしその一方で。
 こんなもんを直接見て、さらに写真撮影までした私は、呪われたりしないだろうか?
 さらにこれを見た弊ブログ読者さんもたたられたりしないだろうか?
 少しですが、そんな不安も頭に浮かびました。
 今のところ、私にはそれらしき怪異や凶事は起こっておりませんので、大丈夫かと思います。
 多分。


 ところで、葛城氏はこの他にも「呪われた品」とか「曰く付きの品」を保管しておられるようですので、機会があればそれらもまた見せていただけたらいいな、とも思っています。
 今回紹介しました「首石」も、現在も葛城氏が所持しておられるものと思います。
 『妖怪堂』を訪れた方は、直接ご自身の目でその魔石をご覧になるのもいいかもしれません。
 ですが、不用意に触れたりして、何か悪いことがあっても責任は持てませんので、あしからずご了承ください。






 それでは今回はここまで。
 また次回。




*『妖怪堂』へのアクセスはこちら



*葛城玄幽氏のツイッター
https://twitter.com/yokaido




*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm





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