京都の闇に魅せられて(新館)

京都妖怪探訪(224):神泉苑・その2





 シリーズ前回に続き、京都市街地の中に古くから遺るパワースポット、神泉苑を紹介します。
 『京都妖怪探訪』シリーズにとりあげるにふさわしく、数多くの伝説や歴史が遺されている場所です。

 今回も、この庭園の各所をめぐりながら、そうした伝説のいくつかを紹介していきたいと思います。
 今回は、「弁財天堂」と「矢釼大明神(=鎮守稲荷社)」を紹介します。


 まずは前回の続きから。





 善女竜王堂の前から、一旦御池の出口の方へと戻ります。
 そして、入り口から入って右(東)の方へ。


 弁財天堂。






 

 ここに祀られているのは、弁財天。
 一般に「弁天様」と呼ばれ、七福神の一人にもあげられている有名な女神。
 財や技芸などの女神としても知られていますが、元はヒンドゥー教の水と河川の女神・サラスヴァティーだったと伝えられています。
 この神泉苑は、東寺真言宗の寺院でもあるのですが、真言宗で祀られている神仏には、こうしたヒンドゥー教や道教などの外来宗教の神仏だったものが数多くあります。
 また、弁財天が水に関連する神仏だということにも注目しています。
 元は皇族・貴族の遊園場だった神泉苑は、数多くの宗教的儀礼が行われてきた霊場でもあったのですが、その中で重視されてきたもののひとつが何か。
 それは、前回でもふれましたとおり、「雨乞」など「水」に関するものです。
 雨を降らせる神様として龍神が祀られ、また「竜が棲む」「竜穴がある」などの伝説があるのも、水に関する信仰や宗教的儀礼が重視されたゆえでしょう。
 古今東西、人間が生きるために、また国家・社会を維持するためには、水の安定的な供給が必要不可欠でしたから。
 元は水の神様である弁財天が祀られているのも、そうした事情と無関係ではないような気がします。


 弁財天堂の前より、さらに東側の奥へ。






 「矢釼大明神」です。





 その名から、「武芸や鍛冶・製鉄の神様かな?」と思いましたが、神泉苑HPの境内図を見ますと、「鎮守稲荷社」と書かれています。
 ということは、京都市内に、全国にたくさんある稲荷社のひとつが、ここにも。
 「いかに稲荷信仰が、支配者から民衆にまで広まっていたか」には、驚かされます。

 なお、この社の前にはあじさいが植えられているのですが、この時は秋の台風シーズンだったため、花が枯れています。
 
 何年か前、あじさいの花が咲き誇る6月頃に訪れた時の写真が残っていましたので、それもご覧ください。









 よく見ると、辺りの片隅にも潰れかかった小さな祠がありました。





 一体何の祠なのかもわかりません、謎です。
 今もあるのでしょうか?


 ところで稲荷神といえば、その使いであり、また象徴とも考えられている「狐」。
 狐と言えば、六波羅蜜寺(シリーズ第54回第158回第204回を参照)の空也上人との関連で、次のような不思議な、そしてちょっと艶っぽい伝説も遺されています。


 昔、神泉苑の北門の外に病んだ老女が住んでいました。
 空也上人は老女の元に足しげく通い、看病し続けたところ、2ヶ月ほどして老女は元気になりました。
 ある日、なんと老女は「悶々とした気分なんです。抱いてください。」と空也に肉体関係を迫りました。
 空也上人はしばらく考え、それを認めます。
 老女は「実は私は神泉苑の老狐です。上人様は真の聖人です」と言って、姿を消しました。


 この話は、空也上人について書かれた『空也誄』という書物にある話だそうで、私がこの話を知ったのもごく最近のことですが。
 何故、このような変な話が遺されているのか?
 この話は、一体何を意味しているのか?
 この謎は……。正直、私にはわかりませんでした。
 どなたか、この話の謎をご存知の方、あるいは面白い推理を思いつかれた方は、こちらにまでご一報くださるとありがたいです。



 「弁財天堂」、「矢釼大明神」周辺の池の様子です。






 さて、記事がそこそこの長さになりましたので、ここで一旦切ります。
 続きはまたシリーズ次回!
 シリーズ次回は、神泉苑内の「法成橋」というスポットと、日本史上にも名高い2人のスーパーヒロインにまつわる伝説と共に紹介します。
 



*神泉苑へのアクセスはこちら



*神泉苑の公式HP
http://www.shinsenen.org/




*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm




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コメント一覧

小路@管理人
http://moon.ap.teacup.com/komichi/
>わ~い、お茶さん

 なんと!
 元は人食い鬼神だったダキニ天の本地物が、知恵の慈愛のイメージがある文殊菩薩ですか!?
 これは初耳ですね。
 本記事の話との関連はわかりませんが、「閻魔王の本地仏が地蔵菩薩」という話みたいに、意味深です……。
わ~い、お茶
こんばんは、狐と文殊菩薩の関係ですが、ダキニ天の本地仏が文殊菩薩との事です。
小路@管理人
http://moon.ap.teacup.com/komichi/
>わ~い、お茶さん

 いつもコメントありがとうございます。
 この話の謎は、私の情報・勉強不足のため、未だにわからずにいます。
 ただ、文殊菩薩とか、ダキニ天とかの関係は……ありうるかしれませんね。
 あの今昔物語に、美女に変身した菩薩が、真面目に勉強しない若い修行僧を色仕掛けでやる気を起こさせた話もあったようですが……。それは関係ないですかな?(笑)。
わ~い、お茶
こんにちは。この話は私は初めて聞きました。ただ狐と文殊菩薩は何かしら関係があるとはいいますが・・・ダキニ天との関係だったかも知れませんが思い出せません。
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