京都の闇に魅せられて(新館)

シリーズ再開宣言! 「若年層小泉支持」の背後にある新自由主義への幻想

 いわゆる勝ち組でもエリートでもない若者たちが、小泉政権とそれが進める新自由主義(市場原理主義)路線を支持してしまう。それが昨年9月の衆議院選挙における小泉自民党の大勝利につながったのではないか?



 小泉(新自由主義)改革とは一見、「全ての人にチャンスを与え、頑張っただけ報われる」ように見えて……実は、「一部の恵まれた人々がますます富む一方で、その他大勢の人たちはますます貧しくなるどころか、チャンスさえ狭められてしまう」という不公正なものである。勝ち組でもエリートでもない人たち(特に若年層)が、小泉改革を支持するということは、実は自分自身をさらなる貧困と無権利状態に追い込むだけなく、それを挽回するチャンスすらなくしてしまうという……つまり、自分で自分の首を絞めるようなものである。
 にも関わらず、多くの人たちがそういう「自分で自分の首を絞めるような」選択をしてしまう。それは一体、何故なのか? 

 この疑問について、もう既にネットでも多くの人たちが、様々な考察をしてきた。
 私もそれなりに考えたのだが、その中で私はひとつの仮説を立ててみた。
 どうも、勝ち組でもエリートでもない人たちまでもが、「自分でも勝ち組になれるチャンスを与えられる」という幻想を勝手に抱いてしまったからではないか? 
 これまでに私は、小泉政権に好意的な人(特に若い人)たち何人かと話したのだが、彼らと話しているうちに、彼らが「小泉政権(と新自由主義路線)によって、自分もチャンスを与えられた」という思いを、大なり小なり抱いているように思えたのだ。
 そこから私は、「新自由主義への幻想」という観点から、多くの人たち(特に若年層)が小泉政権を支持した理由を考えてみようと思い至った。
 「B層」という、「具体的なことが理解できないけど小泉改革を支持するIQの人たち」を表現する言葉がある。小泉支持者を「IQが低い」と批判するのは簡単だし、実際そのような人たちもいるのだろう。だが私は、それだけではちょっと不十分ではないか、とも思った。
 「小泉政権の支持者たちは、本当にただ愚かでIQが低いだけなのか?」
 「もし本当に愚かだとしたら、その愚かさはどこから来るのか?」
 「もし愚かだとしても、そうでなかったとしても、何故小泉政権に幻想を抱いたのか?」
 「そもそも、新自由主義の幻想が放つ魅力は、どこから来るのか?」
 「かくいう自分自身も、そのような幻想と無縁と言えるだろうか?」
などなどの疑問を抱き、自分なりにそれを追求してみよう、と考えたのだ。

 そこで始めたシリーズが、『「若年層小泉支持」の背後にある新自由主義への幻想』である。
 今まで第5回までできた。私自身がオフで多忙になったり、再開できるだけのバイタリティがわかなかったから、昨年末より中断していたが、あんなことこんなことがあったので、「また再開しようかな」という気になったのだ。
 ちなみに、今までの第5回までは以下の通り。


第1回:敗者、弱者ほど甘い夢を見る!?

第2回:いかにして幻想は広められたか?

第3回:何故、幻想を見抜けなかったか? 2人の若者のケースから

第4回:社会と自分自身に対する無知

第5回:自分自身を見つめられない弱さ


 第6回は近日中(来週か再来週辺り)に書きたいと思う。今週土日までは、公私ともに本当に忙しいので。その後も、できれば2から3週間の間隔で続けたいな、と思う。


 なお正直言うと、私自身も新自由主義へおかしな幻想を抱いていた時期があったのだ。ごく一時期とはいえ、恥ずかしながら。もっとも、小泉政権というよりも、落○信彦だとかいった人たちの影響だったが、私の場合。
 ただ、だからこそだ。今、新自由主義にとらわれている人たちの気持ちというのが、少しくらいは理解できる、と自分で思うのだが。



このブログは、
『STOP THE KOIZUMI - 改革ファシズムを止めるブロガー同盟』
参加しています。

コメント一覧

komichi(子路)
http://moon.ap.teacup.com/komichi/
 r氏さん、いつも多くのコメントをありがとうございます。


>郵政民営化の陰謀

 「官から民へ」と言っておきながら、実際には「他の民間企業でありえないような巨大企業を政府が創り、民業を脅かす」というフザけた結果になりそうですね……。
 郵政民営化賛成論者は、郵政民営化が実行されたニュージー・ランドの実態を知っているんでしょうかねえ? 「過疎地のポストが廃棄された」とか、「外資の支配下に落ちた郵貯が、維持費などと称して(通常の手数料などとは別に)、預金から勝手に金を搾り取って社会問題にまでなった」など……。
 その実態を知っていながら、国民に伝えなかった政府やマスコミが一番悪いと思うのですがね……「売国者」とか言われても、仕方ないと思いますよ。


>小林よしのり氏、城内実氏について

 どうも、紹介されたブログ記事を読みました。
 城内氏については、中央政界がほぼ小泉色に染まる中でも、良い意味での孤高を貫いている人の一人、と私は認識しております。
 また、小林よしのり氏については、「自分の世界と、鋭い感性とを持ち、社会に対する論評を続ける人物」ととらえております。
 ただ……どうも、あの時代錯誤な国家(至上)主義的発想というか、あまりに国家という枠組みにとらわれすぎた発想というのは、私としてはどうしても好きになれないのですがねえ……。それに賛意を示す城内氏にも、私は少々危うさを感じずにはいわれないのですが……。
 そういえば以前、城内氏は藤原正彦氏『国家の品格』を絶賛しておられました。それらの問題に関連して、いつも愛読しているブログの記事と、それに対して私が書いたコメントを紹介します。

http://blog.goo.ne.jp/nizan/e/fd5dafefa02f4a632f06cd11acc481a2

 もちろん、「小泉“市場原理主義”改革から日本を守るため」という大同のためには、このような人たちと手を組むことも、やぶさかではないのですが(というか、それくらいの柔らかさがなければ、大きな目的は達成できないでしょう)。
r
【政治】正体を現し始めている郵政民営化の陰謀
http://www.domo2.net/ri/r.cgi/newsplus/1144332745/

http://gendai.net/?m=view&c=010&no=17642

r
小林よしのり氏の「わしズム」
http://www.kiuchiminoru.com/blog/2006/04/post_22.html


komichi(子路)
http://moon.ap.teacup.com/komichi/
 今週の末にかけて、朝8時半から夜の10時までの仕事が続くので、ろくにネットにもアクセスできない日々が続いております。
 そのため、コメントやトラバへの返事が遅くなったり、ロクに返事もできなかったりするのはご容赦いただきたいです。


>華氏451さん

 ども! 
 貴方よりこのようなお言葉をいただいて、ますますやる気が出てきました。今週日曜日までは公私共に多忙を極めますので、なかなか進められませんが、第6回は何としても今月中に書き上げるつもりですぞ。


>kaetchenさん、おこじょさん

 どーも、コメントありがとうございました。
 日本人の思考力(特に若年層か?)についてのお話ですが、おこじょさんとこのブログで、この議論について盛り上がっているようですね。
 私も連日の大残業さえなければ、議論に加わりたかったのですが……。とはいえ、今後ともこの問題は、引き続き私も考えていきたいと思います。
 
 ところで、なんか若者の思考力についてのはなしばっかししてきたようですが、「実は若年層だけでなく、日本人全体の思考力とか想像力が落ちてきたのではないか?」と思うことが、最近よくあります。
 私は警備という仕事について、工事現場、イベント会場、公共施設、ショッピングセンターなど、多くの場所で、多くの人たちの行状や人間を見てきたから。
 それらについては、また今度にでも。
 今夜は遅いし、仕事でバテたから、もう寝るっす……。
 
おこじょ
http://blog.goo.ne.jp/o-kojo
TBありがとうございます。
シリーズ読ませていただきました。
自分を正しく見つめるのは誰にとってもつらい作業ですが、
それをしないとただの傲慢ちきですよね。
有名大学でてる人にまま見られる現象で、
みてるこっちが痛くなります。
第6回を楽しみにしてます。
kaetzchen
http://blog.goo.ne.jp/kaetzchen/
進学塾でアルバイトをしてる知人からの話なのですが……;バブル崩壊を境にして,どうも保護者の質が変わってしまったんじゃないかと。

私もうすうす感じていたのですけど,いまどきの塾屋さん,特に小学生相手の塾屋って,勉強を教える場所ではなくて,生徒に媚びて生徒に受けるバカ騒ぎをして,ただワークつまり問題演習を詰め込むだけの所が非常に多くなっているそうです。昔ながらの,論理的かつ具体的な説明をすると,保護者からクレームの電話があるとか(笑) つまり,学校の教員どころか塾の教員を保護者が尊敬していない,それならあんたが教えたらどうですかと嫌味の一つも言いたくなる,なんて事態が進行しているのです。

要するに,カネ払ってるんだから,どんなわがままでも通じるだろうと言う,保護者側の幼児性が,子供の荒れ=学級崩壊を起こしている根本原因ではないかというのが,長年塾屋を開いてる知人の話です。恐らく「B層」と呼ばれる「何も考えてない人」というのは,この「カネさえあれば何でもできる」という幻想を持たされた30代に根源が求められるんじゃないかなぁ。カネさえあれば何でもできると思ってるから,自分が敗者だとかB層と考えたくない,そんなものはカネの力で何とかなるということなのでしょう。実際,スーパーなどで駄々こねて泣きわめいている子供を見掛けなくなりました。親がカネ出して,商品を買い与えてしまうからでしょう。でも,子供の欲求不満は果たして,それで解消されたのでしょうか。小泉政権の公務員いじめのやり方も,これと同じです。

「新自由主義」という言葉の幻想は,案外塾屋などの,公教育の裏側から眺めてみると,原因が見つかるかも知れません。
華氏451度
http://blog.goo.ne.jp/bebe2001pe
TBありがとうございました。再開、楽しみにしています。小泉政権に好意的な人達は「単なるアホ」のように言われたりしますが、そう言って切り捨ててしまえば何も前に進まない。なぜ幻想が生まれているのかを考えてみないと、現状打開の方法も探れません。
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