債務者の一方的な権利と思われがちですが、裁判はスレスレの決定を行います。
●破産廃止決定(H16までは「破産宣告」という言葉でした)・・・お金が無い・返せない身です。許してください。その代わり社会的制裁を甘んじて受けますので・・・と言うだけの状況です。これだけで債務が帳消しになるわけではないのです。
自己破産者の債務を免除する手続きを「免責」といいます。自己破産手続きにおいては最も重要なのが「免責決定」を受ける事です。免責により原則、債務は全て消滅します。 ※厳密に言えば、「自然債務」という返しても返さなくても良い債務になります。
【社会的制裁】
法的なデメリットは、住所制限、資格制限(公務員や弁護士などにはなれない)、就職制限(会社役員、保険会社社員、その他他人のお金を扱う仕事に就けない)などがあります。事実上のデメリットには、クレジットカードが使えない、銀行ローンが使えない、借り入れができない、というような制限が出てきます。この制限はかなり長期であるとされています。この観点では、経済活動に大きな制限が出てくるでしょう。
廃止決定後に自己破産者が得た収入は原則として自由に使えます。また、次の資格により仕事をしている人は、自己破産手続中は、資格を失うことになります。
・弁護士(弁護士法6条5号)
・公認会計士(公認会計士法4条3号)
・税理士(税理士法4条3号)
・公証人(公証人法14条2号)
・司法書士(司法書士法4条3号)
・不動産鑑定士(不動産の評価に関する法律16条3号)
・土地家屋調査士(土地家屋調査士法4条3号)
・有価証券投資顧問業者(以下 略)
・証券取引外務員
・公安委員会委員
・質屋
・生命保険募集人及び損害保険代理店
・商品取引所会員
・警備業社及び警備員
・風俗営業及び営業所の管理者
・建設業者及び建設工事紛争審査会委員
・宅地建物取引業者及び宅地建物取引主任者
・会社の役員 など
【職業制限】
・自己破産すると、廃止決定の時に持っていた財産の管理処分権を失います。
・自己破産者は、裁判所の許可を受けなければその居住地を離れることが出来ません。
・自己破産者に宛てられた郵便物、又は電報は破産管財人に対し配達され、管財人は受け取ったこれらの郵便物等を開披できます。
※管財事件の場合
・免責後7年間は、再び多額の借金をして自己破産申請てをしても免責が受けられません。
【廃止決定を受けると戸籍や住民票に記載される】
廃止決定を受けると戸籍や住民票に記載されたりはしませんが、 自己破産者の本籍地の区市町村役場の「破産者名簿」に登録されます。
【自己破産したら、家財道具は全て取られるか】
家財道具などはほとんど処分されずそのまま使用することが出来ます。不動産などめぼしい自己の財産があり、破産管財人が専任される場合は結果的には自己の持ち物ではなくなります。
【ローン支払中の家や車は・・・】
衣服など一度使用したら価値が無くなるものについては返還を求められませんが、自動車や家などの耐久消費財については返還を求められる場合があります。
※個々に20万・合計で100万以上の場合 → 管財事件
【自己破産手続きの時に忘れていた借入先は、免責を受けてもゼロにならない】
自己破産申請の一覧表(債務リスト)にのっていない債権者は免責されません。
※故意に書かない場合は、免責不許可事由に含まれます。
ただし・・・
※前述以外の会社員の方などはにつきましては、自己破産手続をとったことを理由に解雇することは許されておりませんから、会社を退職しなければならないということにはなりません。
※自己破産手続をとったとしても、戸籍や住民票に記載されることはありません。但し、本籍地の破産者名簿というものに登載され、身分証明書に記載されますが、これは原則として本人が申請しなければ交付されないので、悪用される心配はありません。
※選挙権・被選挙権は失われません。なお,破産管財人が選任される場合には,さらに次のとおり不利益を受けることがあります。
不利益なことばかりなのです。これでは、自殺するしか助かるすべはありません。しかし、日本はそこまで「人間の尊厳」を軽く考えているわけではなく、『免責』という最終的な決定を裁判官がすることを許しています。
免責決定が確定する事により債務の支払を免れるだけでなく、自動的に自己破産者では無くなります。これを『復権』と言い、債務の支払い、職務制限等を受けることがなくなり、普通の人に戻れます。※管財事件の場合は、財産を債権者に分配されてからの、免責決定となります。
ようするに、破産者のままではいけません。免責が問題というのは、この事なのです。よって実は、今の僕自身も正確には「自己破産者」ではないのです。一度「自己破産者」になりました、っていう決定です。しかし、「自己破産するにあたって」で記しているように、心の傷を背負い、人には隠し通さなければいけません。人に明かしても何の得にもなりません。破産者にとってはもちろんのこと、社会は「自己破産者」というものを相当な悪とみなしているのです。
しかし、破産者も破産したくてしているわけではないのです。様々な事情というものもあります。また、破産する可能性が無いと思っている人であっても状況が少し変わるだけで破産者になりうるという自己管理も必要なのです。
言いたいことは、破産に詳しい人に咎められるのであれば甘んじて受けますが、ただの偏見だけで物事を考えている人に言われる筋はありません。まして、直接迷惑をかけている債権者(代表者・責任者)からならまだしも、関係のない人には特にです。ワイドショーの見過ぎであり、そんな暇があるのなら、自分の為・世の為になることを考えるべきだと思うのです。日本は変に他人に関心を持つ人種も多い。これは事実です。破産する人間はこれも視野に入れなければなりません。万が一人に伝わって、蔑まれた時には「あのね、筋が違うんですよね・・・」と言える図太さも必要になります。これも事実。
自己管理にぬかりがあったことは事実ですから、そう人から言われないように、免責後は最大の防御策を常に考えなくてはいけません。すぐに、闇金に走る人も多いそうで、それこそ思うつぼです。