ロシアの北都 サンクトペテルブルク紀行

2005年秋から留学する、ロシアのサンクトペテルブルク(旧レニングラード)での毎日を記します。

ペテルブルク案内記11-2日目~3日目:深夜観光の魅力-

2006-07-06 21:35:49 | Weblog

【写真:跳ね橋の一つ、トロイツキー橋。バックに見えるのはペトロパブロフスク要塞の塔。(29/06 午前3時02分撮影)】

 18時前に芸術広場をスタートしてから歩くこと約3時間。皆適度に空腹を覚えてきたところで夕食の場所を探す。Bはどこか良い場所を知っているかと思っていたのだが、「どこに行こうか?この辺どっか知ってる?」「知らない。そっちの方行ってみる?」こんな会話を繰り返しながらイサク聖堂周辺を物色。
 結局イサク聖堂近くの、”У тёщи на блинах”という店に入る。この店、同じのがいくつか市内にあり、私もたまに利用するのだが、おいしいロシア料理がお手頃価格で食べられるうえ、国際学生証(いわゆるISIC)でなんと会計が20パーセント引きになるという、学生には大変嬉しい特典がある。しかもどういうわけかロシアの学生証ではなく、ISICでないとこの特典は受けられない。観光先で頻繁に出くわす「外国人料金」という悪しき制度とはまるで逆。
 サラダ、スープ類、メインディッシュ、飲み物というのがロシア料理のオーダー。ボルシチ、サリャンカ、メインディッシュには肉、魚、ポテトなどという一般的なロシア料理がテーブルの上に並ぶ。ドイツでよくビールを飲むというHは、ここでももちろんビールを注文。今回はHというゲストがやって来たこともあり、いつもはビールをあまり飲まないBもちゃんと0.5リットルを飲み干したからびっくり。しかも彼女は自分のに加え、ちゃっかり私のさくらんぼジュースまで全部飲んでしまった。

 2時間ほど3人で語り、店を出る頃には既に日付が変わっていたが、夏場の観光はようやく暗くなり始めたこれからが本番。ペテルブルク名物の跳ね橋を見ずしてHにベルリンに帰ってもらっては私の手落ちになる。
 はじめはクルーズに参加して船の上から橋を見物しようと考え、運河沿いの船乗り場をあたってみたのだ。が、0時半が最後の出発だったため船には乗れず、ネフスキー大通りをファンタンカ川まで歩いて引き返す。

 宮殿広場を通って再びネヴァ川沿いに戻ると、既に宮殿橋は上がっていた。この宮殿橋の跳ね上がった部分の真ん中にペトロパブロフスク要塞の塔を入れた写真や絵は大変有名で、私もそれを撮影すべく下流の方へ歩く。が、あろうことかその写真が撮れる位置には大きな船が停泊しており、その船が邪魔で写真が撮れず。船を避けて写真を撮ったため、ペトロパブロフスク要塞の塔は跳ね橋よりも左に写ることになった。(ペテルブルク案内記0に掲載した写真はこの時撮影したもの。)
 ペテルブルクの跳ね橋、最初は観光用の飾りかと思っていたのだが、よく考えればそれだけの理由で毎晩橋を開閉するわけがなく、実際に橋が閉まっていては通れないほど巨大な船が次々に通過していく。歩き疲れて3人でベンチに座っていると、所定の時刻(2時45分)よりも30分ほど早く橋が閉まり始めた。この跳ね橋、見る人にとってはきれいだが、島と中心部、島と島を行き来する人々にとっては交通の障害となる。そのため、船の航行が終わればなるべく早く閉じてしまうのだろう。
 橋の中には1日2回上がるものもあり、宮殿橋もその一つ。宮殿橋は1:25~2:45と、3:10~4:55までが跳ね橋モードの時間帯。橋によって時間帯が異なるので、見に行きたい橋の開閉時間を事前に知っておくことが必要だ。
 
 私達はネヴァ川沿いをリテイニー橋まで歩く。途中のトロイツキー橋もリテイニー橋も跳ね橋になっており、それはそれは見事だった。たまにこの様子を、フラッシュをたいて撮影している人を見かけるが、いかにも素人臭い。この橋の様子をきれいに残したいと思うなら、少なくとも三脚か何かにカメラを固定して、シャッター速度の遅い夜景モードで撮るべきだろう。人物と背後の夜景をきれいに写すモードも、今ではほとんどのデジタルカメラに備わっているはず。
 
なお、この跳ね橋、公共交通機関が何一つ動いていない時間帯にしか見られないため、散歩感覚で見物できるのはネヴァ川から徒歩圏内に住む人々の特権だが、遠くに住む人々にもチャンスはある。旅行ガイドなどではあまり推奨されていないが、いわゆる「白タク」を使うのも一つだし、エクスクルシヤ(即席観光ツアー)に参加するという手もある。エクスクルシヤには船、バスのツアーがあり、中には「夜のペテルブルク観光」と称して23時から5時まで跳ね橋などを観光するものもある。
 夏にペテルブルクを訪れるならば、跳ね橋を見逃す手はない。

 私達の深夜観光が終わったのは午前3時半過ぎ。先にHを家に案内し、Bを家まで送った4時過ぎには既に明るくなっていた。
 


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5 コメント

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挨拶と質問 (静謐)
2006-07-08 09:39:15
初めまして。こんにちは。静謐と申します。

私は、今年の夏からペテルブルグに留学する予定です。

いつも、貴方のブログを拝見していますが、大変興味深く、ロシアを訪れた際の参考にさせていただきたく思います。

ところで、一つ教えていただけませんか?授業料、寮費と娯楽費を抜いた一月の生活費は、一般的にどのくらいかかるものなのでしょうか?質素な生活を心がけるつもりなのですが。

もし宜しければ、ご教授ください。

では、失礼します。初めてのコメントで質問をする不躾をお許しください。
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Unknown (komachi)
2006-07-11 22:04:26
>静謐さん

こちらこそはじめまして。

ブログをご覧頂きありがとうございます。

さて、早速ご質問の件ですが、授業料、寮費と娯楽費を抜くと、出費はだいぶ限られてくると思います。数ヶ月に一度の旅行費用など特別な出費を抜いて、今とっさに思い当たるのは、交通費、通信費、食費(これは当地のロシア人、日本人らとの交際で場合によってはある程度娯楽費に入るのかもしれませんが...)などでしょうか。

まず交通費は日本と比べものにならないほど安いです。メトロが日本円で約50円(一律)、バスも50円から60円くらいですから、メトロとバスをフルに活用しても1ヶ月5000円程度です。

通信費ですが、日本から携帯電話を持って来て使うと恐ろしく高い(月数万円単位)なので、こちらで買って使うのがお勧めです。カードを買えば1分5円程度で日本にもかけられます。使用頻度にもよりますが、携帯電話代は月2000円程度です。こちらも日本よりずっと安いです。

(次へ続く)

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Unknown (komachi)
2006-07-11 22:17:02
(続き)

食費は、私の場合ホームステイで朝晩は普段は家で食べます。昼食は予算としては400円程度みれば十分で、この半額以下の時もあります。ちょっとビジネスランチを食べたりすれば600円くらいです。もし寮が食事つきでない場合は、料理の技術があれば自炊されれば安く上がると思います。(私はこの技術がないので無理ですが...)。夜外食すると、場所にもよりますが1回につき1000円前後が相場になります。出費を抑えるためにはあまり外食しないのが一番ですが、知り合いを広げるというのも留学の重要なポイントですから、たまにはこうした付き合いも良いと思います。

ただ、自炊の金額が正確には分からないのですが食費には月2万円前後みるのが良いのではないでしょうか。

なお、酒類は非常に安く、ビールは0.5リットル100円程度、ウォッカも1リットル600円前後のものからあります。



以上、質素な生活をすれば、寮費や授業料を抜いて月

3万円程度ではないかと思います。

なお、あとは財政状況に応じてロシア国内旅行(列車、バスは非常に安い)、博物館、美術館、映画館巡り(学生証があればロシア学生料金で非常に安い)、国外旅行(ヨーロッパ方面は近い、ゆえに安い)、必要に応じて家庭教師を依頼するなど、それぞれお金がかかる事になります。



なお、ロシア語がある程度できる方ならばこちらで銀行口座を開設することをお勧めします。利率がとても良いです。

ご留学期間はどれくらいですか?目的はロシア語ですか?ほかにご質問があればコメントでも、メールでもお答えします。メールはまずgooのkomachi0322のアドレスにお送りください。そこから普段私が使っているアドレスをお教えします。
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謝辞 (静謐)
2006-07-17 07:47:36
komachiさん、こんにちは。



 gooのIDを取得し、静謐をlacrima0106に改めてメールを送ったのですが、届いたかどうか心配なので、ここにもう一度書きます。



私の一方的な質問に対して親身に答えて下さって、本当にありがとうございました。まだ世の中には貴

方のような親切な方がいらっしゃる、という事に感動してしまいました。



 私は大学でロシア語を専攻しています。現在3回生です。来る8月26日に日本を発つ予定ですが、今は

右も左も分からなくて、不安な事だらけです。そんな時に、貴方のブログを拝見し、とても助けられま

した。



 生活費について綿密な情報を与えて下さり、ありがとうございます。交通費の安さには驚きました。

有効に活用しようと思います。



 携帯電話代のことも知りたかったので、助かりました。日本で購入していこうと思っていたので、踏みとどまれて良かったです。



 銀行口座を開設できるほど、ロシア語が出来る自信はありませんが、ある程度コミュニケーションが取れるようになれば、ぜひ実行しようと思います。



 滞在期間が重なれば、もしかすると、日本人センター等でお会いできるかもしれませんね。その時はどうぞ宜しくお願いします。





 では、失礼いたします。重ね重ね感謝申し上げます。
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Unknown (komachi)
2006-07-18 17:52:28
>静謐さん

こんにちは。ご丁寧にコメントにまでご記入いただきありがとうございます。実はgooの方にもちゃんとメールが届いていたのですが、ここ数日日本語を使える環境になく、返信しておりませんでした。申し訳ございません。

明日にでもメールのお返事を差し上げる予定でおります。
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