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だろぐ

おもにほうこく。

れびゅーぬ2

2010-03-19 02:23:44 | レビュー
つづき。

コミティアで仲良くして下さってるnaka様にお借りした同人誌1つ目。
『キャラメル・アプリコット』サークル:うにへえ(漫画)
2人サークルさんの両A面本。百合。
「涙の衣装」
付き合っていた女の子同士がちょっとした歪みで別れるところから始まり、
そのことによってお互いの気持ちに改めて気付いて、元の鞘に収まるといったお話。
明確な説明がなく、比喩的な表現ばかりで説明していく少女漫画の手法であり
俺の苦手とするタイプの話!なぜなら想像力が追いつかなくて気持ち悪くなるから!
同じ理由でSF小説も描写が頭に描けなくて苦手です。
まぁでも、2、3回読んでなんとなくこの作品は分かったと思います。
白髪の主人公がナルシスト入ってて、黒髪のヒロインと言ってることが微妙に食い違っているのが、
話的には丸く収まったものの(そしてもしかしたら作者も気付いてないのかもしれないけど)
すぐ近くにまた破綻が待ってそうで怖い。
特にラスト、ヒロインが「あたし達って絶対、あの頃は若かったからなあって云うような恋愛するよ」
と言ったことに対して「違うよ」と否定してから「溺れるような恋をした事がある、だよ」と言った主人公。
多分より強い言い回しをしたかったってことだと思うのだけど、
「溺れるような恋をした事がある」と「あの頃は若かった」というのは否定される関係にないと思う。
というのは些細なことで、この会話、ヒロインの<年とってからも付き合い続けている立場>の発言を
ヒロインが<将来的にはまた別れて、第三者に過去の思い出を語る>発言で返しているようにしか読めなくて、
軽く絶望を味わう。「事がある」は削っていいと思う。

「See You」
同性の同級生に恋をしてしまった女の子と、男性教師と性的な関係を持っている中学生の話。
男の自分としてはちょいとショッキング。
机の落書きが漫画のギミックとして巧妙に使われていてうまい。短編の醍醐味だと思います。
ヒロインに恋していながらも、暗い影を持っている彼女にその想いを打ち明けられず、
ヒロインからの「最高の友達」発言に救われつつ、最後に復讐を果たす主人公。
ヒロインは主人公の気持ちに気付いてラブラブになればいいと思う。
上の作品と反対で、ラストにその後の光を期待させてもらえる作品。

発行日が2000年10月とかになってて、10年前にすでに百合が!と驚いたけど、
冷静になって考えればもうマリみてとかある時代なんですよね。でも凄いなぁ。


naka様コレクション2冊目。
『松本藍作品集セルフポートレート』コミティアパーソナルコミックス
「ドール」
冴えない男と彼が拾った販売禁止のはずの性欲処理用の改造クローンの少女の話。
うーん、難しい話。
男は少女と一緒に「食事」を絶ったのだろうけど、なぜその行動に出たか、色々な要因が絡んでそう。
自分は彼女の「人間だよ」と言った声が心に残ったからだと思います。

「好き?」
百合。キタコレ!
天然ボケとニヒルでバイセクシャルな大学後輩先輩コンビ。
お互い好きなのに、同性だから言いだせない、言えない、手も握れない。くっはぁー!!
2人の好きという気持ちを丁寧に描いたあと、ちょっとした事件で2人はお互いの想いを告白しあうの
だけど、ベッドインまで早いよ!まぁバイの設定あるからそこまでしなくちゃなのでしょうけど。
先輩もノーマルか、そこまで自己性認識なかったほうがより萌えただろうし、
後輩もノーマルゆえに自分の気持ちが恋だと気付くのにもう少し時間かけてくれればより悶えられたろうし、
でもそれらはもうちょっとページ数がなければ描けないだろうし、ページ数が少ないんだよ!
もっと2人の掛け合いが見たいよ!後輩ヒロセが本当いいお花畑キャラで可愛い。これパクろう。
読み返したけど、やっぱページ数少ないよ!
あと、なんで表紙のヒロセはメガネかけてないんだ!描き足してくれっ!!

「おしまいの夏」
BL。
大学生の男とその彼女と謎のオッサンの話。
オッサンのメガネ越しの笑顔がエロい。これはウホッいい男。
主人公がどこまでも女々しい情けない。それが作品の救えなさをより一層酷いものにしている。
こういう短編が好きな人もいるのだろうけど、自分はちゃんと結末がはっきりしてるものの方が好きです。
最後彼女の首絞めるとかのほうがまだ救いがあったよ…。

「ぐるみのねこ」
妻持ちの男と不倫してる大学生の女の子とぬいぐるみの話。
どんな理由があろうと不倫はいくない。
心底悩んでいる時に支えになれないのは恋人失格だと思う。
まぁそううまく出来ないのが人間ってもんだろうけど、まぁ、でもやっぱ男が嫌い。
ぬいぐるみは検査薬の読み方教えるぐらいで
主人公は友人との百合に目覚めればいいと思うよ。(結局それか)

「春の前は冬の虫」
冴えないオッサンと女子中学生のハートフルストーリー。
中学生がかわいい。
オッサンもいい感じ。
暗い部分もあるけど、暖かい光の方へ進もうとしてるので好き。
3年後、5年後、8年後ぐらいに2人の関係がどうなってるか想像するとにやける。
ホントに続編描かれたら不幸な感じになってそうな気もするのであくまで脳内ハッピーエンド。
恋愛話にしなかったからか、作者の才能が開花したのか、
ゆるやかにうまくなっていった漫画の構成がここで集大成を迎えてると思う。
この後の作者様の作品は知らないのだけど、完成度が恐ろしい。やだコミティア。

「朝日が目にしみる」
作者のセルフポートレート?
締切当日数時間前の徹夜作業中の女主人公とそれを手伝う女友達のショート漫画。
逐一自己体験に被るので、漫画描いてる人間は皆こうなのか?と愛おしくなる。
鼻血ブー体験はないけどな!

載ってる漫画どれも凄い高レベルで、こんな方が同じコミティアに出てると思うと
首吊って死にたくなりますけど、まぁそれはそれ、同じフィールドに立てることをラッキーと思います。
でもまぁ基本暗い話ばっかなので、自分じゃ怖くて本買えないですね。
誰かが「今回のは百合でハッピーな話だよ」と教えてくれた時だけ並びたいです。


総評として今回のnaka様コレクションは前回の同性愛とはなにか、恋愛とは何かと主張しているかの
ような作品と打って変わって、精神に食いこんできました。
先生、甘いの「好き?」の1作品しかなくて口の中がカラッカラです。甘いの下さい。
お借りしたものなのに結構な辛口、暴言を書いてしまった気がします。
naka様はじめ、ファンの方が読んで気分を害されてしまったら申し訳ありません。ごめんなさい。
こう、酷い話は現実の世界にいくらでもあるから、せめて物語の中ではハッピーな話を読みたい人間です。


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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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どうもこんばんわ。 (naka)
2010-03-20 20:57:12
丁寧なレビューありがとうございます!!
いやあ、これは・・マジでうれしいです。
共通の同人誌についてお話できること自体なかなかないので、こういう機会は貴重です。一つ一つの作品に対してそれぞれ感想をもらえるのはありがたいものですよよよ。
マンガ(作品)を書く以上、甘口辛口な批評は当然あるわけですから、気にする必要はないっすよ。フムフムと聞かせていただきました。

『キャラメル・アプリコット』・・そういえばそういう名前でしたねえ。題名すら忘れていました。
「涙の衣装」、理解するまでには、確かに時間がかりますな。たくさんの前提があるためか、素直に入り込みにくいことは確かです。

そして「See you」。良い感想がもらえて幸せです。「最高の友達」・・・うーんいいですわ。個人的にはヒロインが主人公をどう想っているのか、気になりました。最後のシーンが大大大好きです。

うう、長くなったので続きはまた後で書きます。

・・・よーく考えたら、ホント甘甘な作品がなかったっすねえ。甘い作品・・・探してみまーす。
それでは~。
返信する
>naka様 (椎名かじん)
2010-03-21 00:59:46
どうも、この度はありがとうございました。
感想遅くなりました。
私は好きの範囲が狭くて、しかも感想もその日のテンションによっていくらでも変わるという人間ですので、お気に障るような場所がありましてもスルーしていただければ幸いです。

「See you」、最後のシーンいいですね!
短い漫画はキャラ全員分の心情描くページ数が無いのが
やきもきしたり、自分で補完したりするのが楽しいですよね。
私は主人公はヒロインを振り向かせる力を持っていると思います!
返信する
どうもこんばんわ。 (naka)
2010-04-03 03:37:29
続きです。『松本藍作品集セルフポートレート』について、むしろこっちの方が書きたかったりします。作品について個々の感想を頂き、嬉しいです。

「ドール」、これは設定がやや入りづらいかもしれませんね。彼女にとっての「食事」を提供できない男、これは後ろめたさなのか否か・・。

「好き?」、やはりそこに来ましたか!
サンタローさとこのマンガで初めて買ったのが「好き?」でした。二人の掛け合い・・確かにもうちょいじっくり見たいところですね。想像しただけで身悶えします。
個人的には酒を飲んだ後に二人でひっそり布団に入っているシーンがヒットでした。

「おしまいの夏」・・個人的には彼女の可愛さがヒットでした。終わりが気になりますねえ。

「ぐるみのねこ」・・そうか、百合に目覚めればいいんだ。この発想はなかったっすわ。友人もいい味出してましたね。

個人的に一番好きだったのは「春の前は冬の虫」でした。これはコイバナにしないほうが良いでしょう。個人的には布団にくるまる中学生が、「お母さん」といいかけるシーンが大好きでした。これ見るだけで、御飯なんぼでもいけます。

「朝日が目にしみる」・・・友人のやさしさに乾杯です。女主人公が自分で描いているマンガを見て落ち込んでいるセリフが、ぐっときましたわ。動物マンガを一生懸命になって描きながらも、やるせなさを感じる所がヒットでした。

まさしく十人十色といった感じで椎名さんの感想を読ませていただきました。・・・気づけばホント甘いのないっすねえ。
甘いもの甘い物アマイモノ・・。
探しまっす。それでは~。
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>naka様 (椎名かじん)
2010-04-04 10:50:19
どうもです!
『ドール』、私は少女にとって性行為はただの「食事」であって愛情の行為として認識はなく、人間として扱ってくれる主人公の気持ちに応えたのだと理解しました。愛情の行為が彼女を道具として貶める行為とイコールということへの葛藤というか。不全になったとは考えませんでした。

『好き!』、もちろんここに来ますよ。来ますとも!
布団のシーンは大切ですね!っていうか私がnakaさんの嗜好を分かり始めてきましたよw

『春の前は冬の虫』、私も作中でコイバナに発展するのは希望しませんよん。ただ少女が大人になった時、2人は別々の人と寄り添うことになるのかと考えるのはちょとさみしいな、と。

女の子が皆とっても可愛いので幸せになってもらいたいですわ。
甘くはありませんでしたが、作者様の誠実な人柄とか滲みだしてて、うまいと思うだけじゃなくて嫌いじゃないんですよ。まとめて読んだ分ダメージでかかっただけとうか、はい。
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