kochikika ノート

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産業紙が伝える日興上場維持決定の話

2007-03-13 22:52:06 | 産業紙から
東証、日興の上場維持決定 虚偽記載「組織的と言えず」(産経新聞) - goo ニュース


東京証券取引所は12日、昨年12月に利益水増しが発覚し、上場廃止の可能性 がある「監理ポスト」に割り当てていた日興コーディアルグループの株式につい て、上場を維持すると発表した。


産業紙愛読者の当方としては、フジサンケイビジネスアイ紙上にてずーっとこの問題を担当していた(つうか、FSBiにはこの人しかいないのかと思うくらいの)池田昇記者の見方に賛同するものであります。

詳しくは上記リンク参照ですが、池田記者は、

・東証は、投資家に株式売買の場を提供する市場管理者であって、金融庁や日本証券業協会のような証券業務の監督規制機関でもなければ、法令違反を罰する司法機関でもない

・上場廃止制度は、市場に並べる取引商品としての価値を失ったものや、取引の継続で投資家に著しい不利益が生じる恐れのあるものを除外する措置に他ならない

・西武鉄道、カネボウ、ライブドアにはすべて上場廃止となるべき重大な商品欠陥があった。ところが、こうした東証の過去の上場廃止実績に照らすと「日興は市場退場を強制する状況には至っていない(西室社長)」。

・シティグループは日興に1兆円超の企業価値をつけた。あらた監査法人は決算訂正報告書に「無限定適正意見」をつけた。山本金融相は日興の現経営陣を高く評価した。「商品」としては充分通用するからだ

・これらを総合的に勘案すれば、世間の批判や先入観を恐れずに下した今回の決定は、東証の “英断”ともいえる

・・・として東証の判断を尊重しています。

そりゃライブドアのときの微罪とその後の破壊度合を思い起こせば、今回のに政治的な臭いがするのはありますけど、微罪って言えば今回の日興のも微罪なんですよね。赤字を黒字にしたわけではなくて、880億の黒字を1割増しにしたというレベルですから(06/3期)。一方、例の調査委は「組織ぐるみ」と断じたので、悪質なのは悪質なんですけど、言うなれば「悪質な微罪」ということ。

で、ライブドアのときに、微罪にもかかわらず巨額の富が消されてしまったことを反省材料とするのであれば、むしろ今回の決定は歓迎すべきことなのに、ライブドアのときと釣り合いが取れてないことを引き合いに出して、東証の判断を批判する声があるのは、いかがなものかと思います(その線で批判するなら金融庁の方でしょう)。

だいたい事後規制社会を選んだのだから、その点で四の五の言っちゃいけねえですよ。事後規制であるなら、規制や罰則だって試行錯誤の面が出てきちゃうでしょうし。まあ、言うのはいいんだけど、東証も今後は、こういったグレー(というか小さな黒の水玉模様)の事件に相応しい中間のペナルティを模索すると言ってるのだから、この話はこれでおしまい、ということでしょう。

そんなことよりも、個人的にはやっぱり動機ですよ。気になるのは。
産業紙では、全紙が書いてます。「動機が分からん」と。

三たび船村刑事に登場願うと、動機が分からない事件ということは、1)業務上過失か、2)基地外による犯罪か、3)本ボシをかばう犯罪(例えば“鉄砲玉”の犯罪など)か、のいずれかということになる。



これを言い換えれば、1)「ニッポン株式会社」に多く共通する問題か、2)日興経営陣独自の問題か、3)日興と誰かがグルになって本ボシを隠しているか ということになります。

3月9日付日刊工業新聞では、「動機はわからん」ながらも、日興経営陣に問題があったことを示唆しています。
“証券界の声”として、
「金子前会長、有村前社長が生んだ経営体質が大きな要因になっている」
「2人は“ホリエモン”並みの感覚で経営に当たっていた」
「(金子氏は)日本人離れした発想から“宇宙人”とも言われ」
・・・などなど、今回の「動機が分からない不可解な事件」の“本ボシ”にするには相応しいキャラの持ち主が経営トップであったことが伺えます。つまり2)の線だろうと。

一方、例の報告書を読むと、明確なトップの指示というよりは、社員がグレーゾーンを渡るリスクを侵して利益を得ることが奨励されるというか、それをやることこそプロの仕事という雰囲気が社内にあったように思えます。

この辺が “ホリエモン”的といわれる所以なのかなとも思いますが、悪意は薄かったものの、モラルハザードはあったと。この流れは、2)が基本にありつつも、そうした経営に追従する従業員という背景には、1)の線があるという、合わせ技のような感じに思えます。

3)はいかにもタブロイド的ではありますが、筋としては通っている話で、日興の企業価値が一時的にでも毀損されて得をする人が仕組んだという筋書きであります。
以前から書いてるように、刑事ドラマ好きとしてはお気に入りの筋書きですが、株価が高騰しちゃってTOBは困難らしいですね。

話は現実に戻って、一応東証としては、2)の線を採用することで、上場維持という線を選んだということでしょう。ホントのところはわからんですけどね。

ところで。
本日ある日興OBの方とお会いしたのですが、本件については、やはり外資に売り渡すのは問題とする筋が動いたんじゃないかと仰っておりました。

また日興プリンシパル社の同業である、プライベート・エクイティ業の人(日系アメリカ人)ともお会いする機会があったのですが、この程度のことであの日興が外資に持っていかれることがシンジラレナ~イと仰っておりました。

この辺まで行くと、船村刑事の担当外ですので、あとはまあよろしくやってくださいということで。。



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