kochikika ノート

旧「こちら某中堅企業企画室」。リーマン話、時事の話、パリーグ話など。ぼちぼちやってます。

1978年の格差問題と拉致問題の話

2006-06-02 11:18:52 | 時事雑記
こちらのエントリでも紹介した、国会図書館における年数回の温故知新タイムなんであります。
業務上の調べものもそこそこに、今回は1978年(昭和53年)の新聞縮刷版を覗いてみる。目的は子供の頃見たドラマのタイトル何だっけ?(仕事しろよ)。

で、そっちの方はさておき、例によって並行して当時の世相を眺めていたのですが、1978年、詳しくはリンク先をご参照なのですが、時代はちょうど「不確実性の時代」、円高不況で国内は不景気一色でありました。

読んだのは読売新聞なのですが、面白い連載記事がありました。
題して「揺らぐ一億総中流」。
詳細は記載しませんが、もうタイトルで想像つきますよね。

当時も「不況で先が見えない」ということになると、これからは中流はなくなって“格差社会”になるんだ、なんて話をしていたわけです。
申し訳ないが笑えたのは、「適職信仰 青い鳥求めて転々」なんて、若者が“自分探し”を理由に働かずにフラフラしてることが紹介されていた点。

「何だ今と一緒じゃないか、今の格差論議もいずれ収まるよ」という向きもあろうかと思うのですが、ここからわかるのは不況期における人々の心模様は不変ということくらい。
だから今の格差問題の解決を当時から学ぶのなら、やっぱり景気回復ということになります。

その後は当時の福田総理の下、村山達雄大蔵大臣、宮沢喜一経済企画庁長官による公共事業出動が奏功し、翌年には内需を中心に景気は回復、そのような声も聞こえなくなりました(と思われ。79年度版は読んでない)。
しかし今や↑の手は世間的に使えないということで、その点が現代の悩ましさなんですがね。

またこの年あたりから、国民的な省エネルギー運動も始まったわけですが(79年に省エネ法施行)、それが第二次オイルショックを跳ね返した一因にもなるわけで、この点も原油高が進む現代に通じるところ。

あの頃をうっすらと覚えてますが、深夜のテレビ放送が無くなったり、省エネという言葉が一般化したりして、現代に比して国民への浸透度や一体感みたいなものは強かったように思えます。クールビズは浸透していますが、さて今回は、というところ。


新聞読んでて気になった記事がもうひとつ。
シリアスな話になります。(いや上記もじゅうぶんシリアスですけど)

この年の1月、香港で韓国人の人気女優、崔銀姫(チェウニ)さんが“失踪”します。
現代に生きる我々は、彼女の失踪原因を知っています。というか、彼女の名前を知らなくても、想像がつきます。
そしてその想像は、そのとおりなんですね。

しかし当時はどうだったかというと、亡命?ら致?金銭問題トラブル?というように、記事の見出しに“?”がついており、なんか“ミステリー扱い”なんですよね(事件発生から一月後の記事)。

怖いのはこの記事の中で、崔銀姫さんの夫である映画監督の申相玉(シンサンオク)さん(故人)は「ら致(当時は拉をひらがな表記)に違いない」と言っているのですが、その申さん自身がこの年の7月、やはり香港で“失踪”してしまうんですね。

この年の前年11月、横田めぐみさんが、そしてこの年の7月に蓮池さん夫妻が、8月に金英男(キムヨンナム)さんが“失踪”しています。

ミステリー扱いの記事もさることながら、記事の見出しで拉致より亡命が先に来るという。保守系の読売でさえ認識がその程度だったということです。
その背景について、専門ブログでもない当方が語るのも無理があるのですが、当時の新聞を眺めていて感じられたことをいくつかあげてみます。

・当時は韓国も軍事政権で、きな臭い話はあった

・不景気のためか世情が暗く、無理心中など陰惨な事件が多かった(見出し上での印象からの話です)

・日米貿易摩擦の火種がくすぶり始めた時期であり、怒ってる相手国の事情を理解しましょうとする記事があったように、外国一般への関心、知識が低かった

・日中平和友好条約締結で友好ムードがあったが、その頃の中国は後進国。当然靖国問題も(紙面上は)無く、アジアに脅威ありという雰囲気は無かった
(そう、脅威はソ連でした。日中は友好という言葉を使い、ソ連には善隣という言葉を使っていたのが印象的)

このような中で“失踪”レベルからの深堀りは、新聞記者にとっては重荷だったのかなと想像させられます。
この辺は、機会があればまた眺めてみたいなと思う次第です。


さてさて。

上記のような不景気と先行き不安、原油価格の高騰&省エネ、そのほかにも青少年の事件続発(校内暴力、覚せい剤など)、大人による子殺し(ただし当時は無理心中が多かった)、若者のテレビ離れの指摘(当時は向かう先が深夜ラジオ。今はネットかケータイか)、退職金破綻への懸念(今は年金)、日米安保体制の見直し機運(後の思いやり予算へ・今は米軍再編か)、これからはアジアの時代だとするオピニオンなどなど、なにやら今の時代に繋がるような話題が多かったような感がありました。

当方のような凡人ではなく、アルファな人が改めて振り返ったら何かが見えてくるかもしれません。
で、この年もワールドカップがありまして(全く注目度は低かったが)、ジーコがデビューした大会だったのですが、ご存知のとおり、開催国のアルゼンチンが優勝と。

しかしこれを現代に再現というと、開催国のドイツもアルゼンチンもどうかなあって感じになりますかね。


※ご覧のとおり、目的が不純なため、各記事の日付などは控えておりません。よって当時のことを詳しくお調べになりたい方は、改めて原典をあたっていただければと思います。



最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (もぴ)
2006-06-02 14:43:56
こんちは~いつも楽しく拝見してます。私も某企業で経営企画やってます。CG報告書はしょっちゅうフリーズして苦労しますた(;´д⊂
返信する
Unknown (kochikika)
2006-06-02 22:20:43
もぴさん、はじめまして。



このような経営企画の話なぞ殆ど出てこないブログをご覧いただきありがとうございます。



当方、CG報告書はその大部分を総務部に投げましたので、あまり苦しみませんでした。会社的にはそろそろ総会ネタですが、こっちも総務にお任せ。当方は事務局で社長の後ろに座っている予定です。

返信する
Unknown (もぴ)
2006-06-03 10:07:18
いえいえ当方は弱小会社で、ほとんど一人でやってるので色々と参考にさせて頂いてます(´д`)



大会社の経営企画なんてほど、カッコ良いことやってません(´∀`)



今回、招集通知ミスって刷り直しましたしww
返信する