庭木師は見た!~ガーディナー&フォトグラファー~

庭木師が剪定中に見たあれこれ。

シルバー剪定のイメージ

2020-09-03 15:13:29 | 日記

 「シルバーなんだからあまり期待しない方がいいんでしょうね。…でも、専門業者より安いだろうから」と、ある主婦から事務所に電話があったという。これが一般的な受け止め方のようだ。  

                        ◇

 

          

                 (脚立に上って剪定する)

 東京時代にお世話になった70代のある女性社長に、シルバー人材センターに登録して剪定の仕事を始めた旨を伝えたら、返信には、慣れない仕事、大丈夫?とのお決まりのコメントの後に「シルバー剪定って、安かろう悪かろうってよく聞くわよね。どうなの?」と記されていた。

 「安かろう悪かろう」とは久しぶりに聞く言葉だった。

 戦後しばらくの間、日本製品はこのように呼ばれていた。産業史にそこそこ詳しい人によると、“MADE IN JAPAN”と胸を張って言えるようになったのは1970(昭和45)年の大阪万博後ころからという。  

 シルバー剪定に対し、「安かろう-」の評価が付いたのは、素人の集まりとみられているからだろう。確かに筆者みたいなど素人もいるのだから、ある意味で的を射ているのだが、単純にくくれないのことも確かだ。何事もそうだが。  

 当班のメンバー9人をまとめる親方(班長ともいう)は、自治体主宰の剪定教室の講師を長年務めていることからもうかがえるように、剪定技術には相当の自信を持っている。クライアント(シルバーではそう言わず「発注者」)などから植物の名前を尋ねられて、これまで答えられないことはまずなかったとか。  

 その親方によると、当シルバーへの剪定依頼は、緩やかながらも右肩上がりに増えているのだという。ということは、シルバー剪定にそれなりの評価が与えられているということでもある。最近も、新しい依頼が女性(70代)から来た。  

 その彼女、シルバーの事務所に電話をかけてきて、「シルバーなんだからあまり期待しない方がいいんでしょうね。…でも、専門業者より安いだろうから、まあいいわ」と言ったとのこと。初剪定終、その彼女から事務所への電話内容は「まあまあ期待以上だったわ。来年もお願いしたい」と。

 期待が高くない分、アウトプットがさほどでなくても、高めの評価をもらえることはよくあることだ。


シルバー剪定のつぶやき

2020-09-03 15:10:22 | 日記

[自己紹介]

 

              

                  (シルバー剪定のお昼休み)

 リタイアまで44年間働いた会社は、東京に本社があり、世間的には一応、有名大企業と称されている。会社人生の前半は総務系と経営企画、その後は会社の情報を発信する広報畑を歩んできた。最後は関連会社に役員として出向していた。

 朝、皇居のお堀に近い高層ビルにある本社に入ったら、外出の用がない限り、退社時間までビル内のエレベータで上下する日々だった。

 「あんたは鉛筆しか持ったことがない」というのが、亡くなった母親の口癖だった。家具類を持ち上げると体がふらついて危なっかしく、畑仕事はへっぴり腰だからだ。確かにご指摘の通りで、体を使う現場仕事はやったことがなかった。

 そういう筆者が、リタイア後に見付けた最初の職は埋蔵文化財の発掘だった。白いヘルメットに作業衣、靴はもちろん革靴ではなく、長靴か履き古しのスニーカー。こうしたスタイルの人たちとは過去、仕事でもプライベートでも会話といえるような会話をしたことがない。大手外資の喫茶店チェーンでも働いた。

 今年初め、妻の実家がある日本海に面した町に移り住んでからは、シルバー人材センターに登録、剪定鋏、ノコギリを腰のベルトに差し、軽トラに脚立を乗せ、庭木の剪定の仕事をやり始めたのである。