さてさて、
Rickenbacker 420 その第3夜。
取り合えずボディの接着待ちの間に
ピックガードの補修とサーキットのチェックをしましょう。
ピックガードは割れた部分をパズルのように
組み合わせると、どうしても一箇所無いのだ。
これではカッコ悪いので、
新たに製作するかどうかの確認をご依頼様へ連絡したところ
見た目は気にしないので出来るだけ安く仕上がる方法をご選択。
それならばということで採った方法は、
ピックガードの割れてしまった部分を繋ぎ合わせて
耐水ペーパーヤスリで番手を上げながら研磨して
その後コンパウンドでさらに研磨。
で、完成。
無い部分は、まぁ「歴戦の証」ということで。
キースやロリーギャラガーやレイボーンなんて
ホントにボロボロに使い込んでオーラ出まくりのギターを使ってるしね。
ブルースやロックな人なら、これで良しです。
自分でステッカーカスタムでもして下さいね。
次はサーキット周りですね。
んで、これがこの娘のサーキット。↓
取り合えず仮組して音を出してみる。
すると・・・
スイッチの1ポジションからの音がおかしい。
これじゃ全く意味の無い3ポジションだ。
早速このこともご依頼主さまへお聞きすると
「えっ・・・?最初からそんな感じだったような・・・」
おいおい。そんな筈ないでしょう。
それともホントに購入して気づかなかったのか、
それとも元々この状態だったのか・・・?
う~ん・・・
これは見て見ぬフリはできないので
作業をしましょう。タダでね。
だってご依頼はボディの修理のみだったのでね。
無料ですよ。ええ。ホントに・・・くぅ~~~~(涙
それでは作業をはじめましょう。
まずは元の機能を推理してみる。
1ピックアップ
1ボリューム
1トーン
そして3ポジションスイッチ
このパーツ達から想像できるのは・・・
1ピックアップにこのサーキット構成は
通常はスイッチでトーンを切り替えることが多い。
その証拠に、コンデンサ2個、抵抗が挟んである。
しかもこのスイッチ、
良く見ると通常の接点数より増やしてある特殊タイプ。
では回路図を引っ張り出して・・・確認。
コレね↓
鉛筆で丸印部分が今回の問題がある接点。
んじゃ実際のスイッチを見ながら説明すると・・・
こればレバーの中立状態。
一番上の端子に注目!(現在はオープン)
次はレバーを両端の端子へ倒してみると・・・
わかった?
一番上の端子が ず~~とオープンなの。
これじゃ~この端子につながった回路は使えない。
それでこのスイッチの構造をよーく見ると
左右に振るレバーの先端で各端子を繋いだり切ったりしてるわけですね。
そう考えるとあの一番上の端子にレバーの動きが全く伝わっていないのです。
ようは上の写真の2枚目で
レバーが3枚の長い端子の真ん中の一つを押し上げてますよね?
その押し上げる力をその上にもう一枚ある長い端子に伝えて、
その端子も押し上げなきゃいけないのです。
そうすると接点は繋がって生きるのね。
たしか以前にもこの特殊なスイッチを数回見たことがあるんだけど
この部分の記憶が無い。
たぶんこの長い端子2枚を繋ぐ棒状のモノがあった気が・・・
・・・棒状?
!
棒状!!!
アレだアレ・・・え~~と・・・
コレだっ!
コイツだコイツ。
コイツが外れていやがったんだ。
んでは取り付けて・・・と、
おおっピッタリだ。(って当たり前だが)
そして音も完璧に。
そうこうしてるうちにボディの接着も完了して。
組み込んで完成。
今回はご依頼様からのご希望で
ボディの塗装はしないということになりましたので
貼り付けて、ペイントが剥がれ落ちた場所だけ
簡単なタッチアップで完成となりました。
幸いにもこのデカイピックガードのおかげであまり目立たなくて良かったね。
ということで
今回のミッションは終了となりました。
・・・
後日談ですが、
この、ご依頼主様なんですが
今度は自転車で電柱だかガードレールだかに激突して、
今回はギターじゃなくて
自分の肋骨だか鎖骨だかをボッキリといっちゃったそうである。
いや~それはワタクシには直せないから
病院へ行ってね・・・(笑
では今回はこの辺で。