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この方と最初にお会いしたのは、
もう10年近く前なるだろうか、
東郷神社か浦和の骨董市だったと記憶している。
当時クラッシックカメラが一部のマニアの間でブームとなっていた頃で、
ワタクシの骨董市での商品構成もその3~4割は
「クラッシックカメラ」関係の物で締められており
それ目当てのお客様がそれなりの数で各骨董市へ来て頂いておりました。
その中のお一人が今回の集大成を出版された彼だったのです。
まぁ、他のクラシックカメラマニアの中へ入れてしまうのは
どうかと思うほどのモノ凄い知識の持ち主の研究家でありました。
それゆえワタクシが集めてくるカメラの中から彼の琴線に触れる物は
なかなかありませんでしたが。
その後、
彼はその集まったカメラ(光学機器)とその資料を写真集にして残すことになり
それなりの大手出版社からの出版も決った
筈でした・・・
ここまではトントン拍子だった彼を時代の流れが翻弄します。
「ブームの終焉。」
これは大打撃でした。
出版社はもはや時代に沿わず採算が取れそうに無いこの企画を白紙に。
彼はその後も他の出版社との交渉があったようだが
やはり採算面がクリアできず企画は頓挫。
これでもう出版は無いかと思っていたワタクシに
ある日の骨董市で彼は数枚の写真を見せてくれた。
そこには、
彼の収集したカメラの写真が。
「あぁ・・・出版社が企画のためテストで撮った写真か。」
と思っていたワタクシに
「イヤ~写真を撮るのはムズカシイね。」
というのである。
そこでもう1度写真をまじまじと見てみると
確かにライティングの不備がありプロの仕事じゃないことが判った。
でもナゼこんな写真を撮っているのかと聞いてみたところ
「自費出版でもなんでもイイから写真集を出そうかと。」
と言うのである。
しかも撮影をプロへ発注すると予算がかさむので
自身でヤルのだと。
でも写真のクオリティーを下げたくは無いので大変なんだと。
モノを集めるより写真を撮る方が難しいのだと。
なんという執念・・・イヤ、情熱。
そんなことから約4~5年。
今年の夏頃とある骨董市で
印刷所も決り今はテスト刷りのチェック段階だと聞いていた。
そして先日、
「やっと刷り上りました。」
と手渡してくれました。
それをパラパラとめくり・・・
驚愕。
内容詳しく書けませんがスゴイです。
この世に1台しかないであろうカメラまで・・・
そしてこの本の表紙
サブタイトルに
「The Japanese SAMURAI Cameras」
とある。
「侍」
この国の光学機器を発展させたのは
他の技術者達と切磋琢磨し真っ直ぐに技術を磨てきた
名も無き一技術者達。
それはまるで侍の様にワタクシには映る。
そんな歴史のヒダに隠れそして消えてしまいそうな先人の遺産を
一つ一つ丹念に掘り起こし
それを1冊の本にまでしてしまった彼もまた
「侍」
だと思うのである。
そう、
これは一人の侍の
「集大成」
である。
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この写真集は
「日本カメラ博物館」で買えるそうである。