ぶろぐのおけいこ

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福知山線廃線跡(2)

2022-05-15 19:42:46 | PiTaPaで歩く

 福知山線廃線跡には、廃線跡を歩く楽しみ、風景を愛でる楽しみ、そして人を観察する楽しみがあると思いました。

 畑熊商店と書いた食堂の横の橋を渡って廃線跡に入る。早速枕木が出てきました(廃線跡なので当然ですが)。枕木の上には桜の花びらがまだ残っていて、桜の頃は綺麗なのだろうなと思わせます。枕木の間隔は大人の歩幅には中途半端で歩きにくい。少し歩くと犬の散歩をさせている男性がいました。こういう所で散歩できる犬は幸せだなと思いましたが、後でガイドマップを読んだら、犬の散歩は禁止と書かれていました。犬の散歩は近所の人なのでしょう。

 この廃線跡は「安全確保のために事故の責任と判断により、最大限の注意を払ってください」と、JR西の名前で書かれています。ということは現在も土地の所有はJR西なんだろうと思いました。私と同じように下流に向かって歩く人たちもそこそこいますし、下流から上ってくる人たちもいます。留学生を含む若い子たちのグループもいくつかすれ違いました。若いカップルもいます。夫婦(らしき人たち)も、親子(らしき人たち)もいます。私のようにソロの人も僅かながら見られます。この廃線跡を歩くのに、登山と比べてたいした装備もいらないし、自己責任とはいいながら、入場料の類も不要。廃線跡には売店どころか、自販機一台もないわけで、安上りで健康的なアクティビティですよね。でなければ、私もやって来れない。

 廃線跡には6つのトンネルと橋梁が一つあります(支流を渡る小さな橋梁はほかに2か所あります)。トンネルの暗闇はとても新鮮な異空間です。トンネルの外の天然色の風景の中に人のシルエットがあったり、逆にトンネルの外からは、トンネルから出てくる人が暗闇を背中にしてカラーで見える。

 車両限界に入り込む樹木たち。新線ができて、ここが廃線になったのは1986年。列車が走らなくなってから35年以上経過しているわけですから、思わぬところに木が生えたり、小さな木だったものが大木になったりもしますよね。2つ目のトンネル、長尾山第二トンネルを出ると、親水広場という広場が作ってあって、多くの人たちが休憩をしています。ちょうどシャガが綺麗です。しかし、まだ4月下旬。こんな山の中でシャガが今咲いてしまったら、これから夏に向けて何の花が咲くのだろう。温暖化の影響ですかね、花が咲くのがどんどん早くなっていきます。この広場から桜の園(亦楽山荘)というところに行けるそうですが、もう桜の季節は過ぎてしまいましたから今回はパスします。しかし、この廃線跡には櫻守の会がだいぶ整備に尽力されたのではないかと思われます。道中の説明書きになんども「櫻守の会」の名を見ました。

 また枕木の間を歩きますが、切通しになっているところではマメヅタもしっかりと緑を作っています。日当たりのよい反対側を眺めるとシダ類と露出した木の根。木の根が血管のようでもあり、岩にしがみついているようでもあり面白い。枕木を眺めると、35年以上経ってもカント(曲線部の高低差)がしっかりと残っているのがわかります。地盤がしっかり固められているということでしょうね。

 渓谷の新緑が美しい。眼が洗われるとはよく言ったものです。武庫川の上流方面を見ると、親水公園で水辺に下りている人がいるのが見えます。ランチタイムなのでしょう。この廃線跡を最後まで歩いてわかったのですが、事故防止のためでしょう、水辺まで下りられるところは、この親水公園くらいしかありません。武田尾駅を下りて廃線跡入り口に入るまででも、チェーンで通せんぼがしてありました。

 1986年に複線化された新線が出来て、この旧線部分は立ち入り禁止になった。ところが、立ち入り禁止を守らないハイカーがたくさん出てきて、無断でハイキングコースにする。JR西は押し切られるように1990年に「自己責任」で通行を認めるようになる。ところが2008年にハイカーの転落死亡事故が起きて、コース整備のため再び立ち入り禁止。2016年11月15日から現在のように遊歩道として開放された。これが大雑把な廃線跡の歴史のようです。そんなわけですから、廃線跡と並行して流れる武庫川は魅力的なところがたくさんあるのに、水辺には近寄れないようにしてあるのだろうと想像します。

 線路際が落石防止用の擁壁になっているものの、そのトンネルの向こうへ入れる、つまり自然の斜面との間にスペースがある擁壁があって、そのトンネル部分の砂地にアリジゴクの巣がある。みんなそれぞれに生きている。嬉しくなります。カエデ類の新緑の綺麗なこと。このカエデ。1986年以降に生まれてきたに違いない。

(つづく)


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