例の招待券はロープウェイ、カーレーター、リフトの往復分なので、無理に歩いて下りる必要はないのですが、気持ちのスイッチが入ってしまって塩屋駅まで歩くことにしました。これも誰かに道を尋ねればよかったのですが、見当をつけて歩いてみると、目的の駅付近よりもずっと北側の住宅地に下りてしまいました。
住宅地から登山道に入るところには看板が何枚もかけられていて、駐車禁止だとか、登山者のしゃべり声はまだ寝ている住民に迷惑だとか書かれています。看板をかけなければならないほど、住民は悩まされているという現実なんでしょうね。それほど、早朝の登山者が多い。そんなことを考えながら住宅街を南へ下っていきます。この辺りは海まで斜面が迫っています。塩屋といえばいくつか洋館があったはず。かつてJRの窓からよく見ました。そいつを見に行ってみよう。
グッケンハイム邸は、山陽電車の線路のすぐそば。その隣には一般の民家と思われますが赤のアクセントが美しい洋風の家。絵になっていますね。神戸、北野あたりの洋館は外国人技師を招いて建築された。一方、やや時代が下る塩屋の洋館は北野の洋館を模倣する形で立てたと、ずっと昔何かで読んだ記憶があります。家にいながら塩屋の海が見下ろせる。優雅ですね。洋館に行くには海側から山陽電車の線路にかかる徒歩専用の小さな踏切を渡る。この辺りはクルマも入れないようです。そこから道なりに坂を登っていけば、そう、これが旗振山から塩屋へ下りてくる道だったのです。この道を下りてきたなら、山道が開けて瀟洒な洋館の横を通り、最後は踏切の向こうに海が見えるというシチュエーションだったわけですね。
塩屋から例の切符で明石に移動。事前に玉子焼きの店を一軒探しておいたのです。ところが、目的の店はまだ正月休みのようです。せっかく明石で下りたので少し歩いてみました。港の手前で人だかり。これが玉子焼きのお店。もちろん私の目的のお店ではありませんから入りませんが、写真を撮っておきましょう。手軽に何か食べたいのですが、どこにでもある中華料理チェーンだとか、牛丼屋だとかでは面白くない。
駅まで戻って立ち食いの「山陽そば」。こういうときはかけそばを食べることにしています(比較がしやすいですからね。ついでに以前に姫路の「山陽そば」の記事を書いていたことを思い出しました。でも姫路のお店は先ごろ閉店した模様です)。ネギがたっぷり乗っているだけ。210円。なかなかのお勉強価格です。カツオブシ系の出汁がよく効いています。湯気が立ってこういう寒い日はうれしいです。でも天ぷらを入れると90円増し。かけそばは努力価格ですね。
電車に乗って東二見まで。何度も通っているのに下りたことがなかった駅です。須磨あたりから明石までJR線と並行して走る山陽電車ですが、明石を過ぎるとJR線とさよならをして海に近いところを走ります。県道718号線(昔は国道250号線で浜国道とも呼ばれていたが、県道に降格)が並走する仲間になります。この辺りには海水浴場の案内板も出ていたりして、一度、この辺りの海岸を歩いてみたいものだと思っていたのです。
東二見に電車が到着する直前に、窓の外に見えたのは大きな「玉子焼き」の文字。東二見にもあるんじゃないか(ひとつ向こうの西二見までは明石市ですから不思議ではないのですが)。よし、行ってみよう。駅前の何軒か続く飲食店のひとつが、「てんしん」と書かれたお好み焼屋。玉子焼きもメニューにあり、店先では天津甘栗も売っているという不思議なお店。(「秘密のケンミンSHOW」でいうところの)マダム4人が元気に店を切り盛りしています。近所から子供がお金とお皿を持って玉子焼きを買いに来ていました。おじさんが二人、玉子焼きをアテに飲んでいます。玉子焼き500円也を一人前頼んでみました。ここの玉子焼きメニューには玉子焼きと特上玉子焼きがあって、その差は30円。特上の意味は何だろうと思っていたら、次に来た4人組の客が尋ねてくれました。一人前につき、さらに1個玉子を加えたのが特上だそうです。頼まないでよかった。玉子の食べすぎは私にはよくありません。フワフワ柔らかくて結構。500円でこの味15個。十分納得です。
さあ、海に向かって歩いてみましょう。
(つづく)
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