戸建て住宅の街を通って、北側へ歩いていけば、高層住宅のゾーンへ出ます。芦屋市のサイトにはこの島の開発・建築・景観についてのページがあります。
さもありなん。この島では景観までもが計画的に造られているのです。当然といや当然ですね。
この辺りまでやってきてようやく商業施設に出会いました。これも住宅街は静かであるべきと「計画的」に配置されているのでしょう。
概ねこの島を一周できましたので駅を目指して帰りたいのですが、どうせなら阪神電車の西宮駅まで歩きたい。この島の西側には深江浜(神戸市東灘区)、そして東側は西宮浜(西宮市)と人工島が続いていて、阪神高速湾岸線がこれらの島を飛び石のようにして通っています。湾岸線には県道が並行して走っていて、幸いなことに歩道が作られています。海(運河?)の上を徒歩で隣の市まで渡るなんてなんとなく魅力的。西宮市まで歩いてみることにしました。歩道は車道の北側ですから、北側の景色はよく見えます。ちいさなヨットや、水上スキーを楽しむモーターボートの向こうに御前浜と西宮回生病院。アニメ「火垂るの墓」にこの病院の旧館が出てきたのを覚えています。それから、30年ほど前に御前浜で寒中水泳をしたことを思い出しました。1月15日。気温5度、水温は10度でした。
300メートルほどで西宮浜にランディング。工場と倉庫の街を抜けて今度は北上。西宮大橋を渡ったら「本州」に到着です。橋の中ほどには西向きにベンチがしつらえられています。きっと夕陽を眺めるために作られているのでしょう。残念ですがまだ夕陽には少々時間があります。橋の下は西宮マリーナ。その隣には水上スキーの練習施設。昔、スキー場にはJバーリフトとかTバーリフトなんてのがありました(今もあるのかしらん)が、あの水上スキー版です。スキー場と違うのは、頭上の牽引用ロープがエンドレスになっていて転倒しなければ何周でも練習できるようです。その練習を見ていると飽きません。
「本州」に着陸、そのまままっすぐ道なりに北上すれば阪神の西宮駅に到着するはず。だんだん重くなる足を進めて国道43号線、つまり芦屋を目指して歩き始めたところまであと200メートルほど、というところまで帰ってきて見つかったのがラーメン屋さん。歩き始めに気付いていたら、こんなにひもじい思いをせずに済んだのにと悔しく思いました。黄色とオレンジっぽい色づかいから「来来亭」かなと思っていたら、そうではなくて、「五右衛門」という屋号でした。
12時過ぎから歩き始めて4時近く。とにかくお店に入ってみよう。このお店オリジナルという野菜ラーメンを食べました。トリガラを使った塩味でしょうか。おなかもペコペコなのでとってもおいしく…と書きたいのですが、実は旨味を感じないのです。味噌汁でいえばダシを入れ忘れた感じ。いえ、ここのラーメンがまずいというつもりではありません。現に、私の前後に何組かの客もありました。それに旨味を感じないという経験は以前にもありました。徳島でラーメンを食べた時です。あの時も昼食にありつけたのは15時ごろ。極端におなかが空くと旨味を感じられないのかもしれません。
それでも腹の虫を養って、気持ちは落ち着きました。暑い日です。水を何杯も飲んで落ち着いて、自分のシャツが汗で水をかぶったようだったことに気付いたのでした。
家に帰って「キョリ測」で測ってみたら、歩いた距離は約14㎞。消費したカロリーは779kcalと出ました。
どうやら、鳴尾浜から深江浜までは阪神高速湾岸線沿いの県道には歩道が作られているようです。これを歩けば西宮市の東端から芦屋市を通って神戸市まで海をまたいで歩いて行ける。うーん、また課題がひとつ生まれました。
(おしまい)
お返事までにずいぶん時間がかかりました。まず、他には誰も言ってくれない貴重なコメントをありがとうございます。「文章が上手い」なんておそらく人生で初。大切に心にしまっておきたいところですが、実はこの文章が完成するまでには随分と時間がかかっています。だからいつも、記事までに日数がかかって、「とうのたった」記事になってしまいます。
自宅からクルージングというのは、おそらくセカンドハウスとか別荘とかなんでしょう。豪華なもんですね。
いい運動でしたね。
しかし地元では子供の頃、金持ちと聞くと「芦屋のボンボンか?」と返すのが常でした。
こらちで言えば田園調布。
ただ自宅からそのままクルージングなんて凄いところは、ある意味、高波とか心配だったりしないのでしょうか。貧乏人のヒガミかも知れませんが(^^ゞ
でもきすけぐみさんの話は、モラエスさんシリーズのときもそうでしたが、とてもわかりやすくて情景が浮かびます。文章が上手いからでしょうね。