春を召し上がれ4 - ギャラリー貴祥庵 ―《貴志 理の 日々の思いついたままのイメージ絵画、心に残る言葉、歳時の記録を綴る》―


春を召し上がれ4

 

もののあはれは秋こそまされと、
人ごとに言ふめれど、それもさるものにて、
今一きは心も浮きたつものは、春の色気にこそあめれ。
鳥の声などもことの外に春めきて、
のどやかなる日影に、墻根の草もえいづるころより、
やゝ春ふかく霞みわたりて、
花もやう〱けしきだつほどこそあれ、
折しも雨風うちつゞきて、こころあわたゝしく散り過ぎぬ。
青葉になり行くまで、
よろづにたゞ心をのみぞ悩ます。    ― 
徒然草・第十九段 ―

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