work10
十五夜、 中秋の名月、仏滅と言葉を並べてみるとほぼ40年前の月を思い浮かべる。
私の叔父(茶道の宗匠)が家元の初釜からの帰路に倒れてほぼ8ヶ月目の十五夜に旅立った。
家元でのお酒がよほど美味しかったのか帰路途中の京阪三条で足を踏み外し頭を打ったようで、それ以降意識を失くして伏せっていた。
初釜のままお酒の酔いのままの長い時間を経て十五夜の月に誘われての旅立ち。
茶人としての最後も風流に生き抜いた。
今晩も月を眺めて偲ぶかな。
月にとりわけ名月を読む句が多いので、主だったものを載せて見ました。
名月や池をめぐりて夜もすがら 芭蕉
こんなよい月をひとりで見て寝る 放哉
ほつと月がある東京に来てゐる 山頭火
故郷の留守居もひとり月見かな 一茶
月天心貧しき町を通りけり 蕪村
ある僧の月を待たずに帰りけり 子規
月に行く漱石妻を忘れたり 漱石
ふるさとの月の港をよぎるのみ 虚子
月いでて薔薇のたそがれなほつづく 水原秋桜子
わが世のあと百の月照る憂世かな 金子兜太