2009年5月31日のブログ記事一覧-ギャラリー貴祥庵 ―《貴志 理の 日々の思いついたままのイメージ絵画、心に残る言葉、歳時の記録を綴る》―


風 2009-5-31

 

 

バーガー はじめに愛があった。愛! おれの名前は(本名を言う)だが、この舞台じゃ、バーガーってアメリカ人をやることになってる。どうだい? 結構似合うだろう、この長い髪。(客に)おれにゃ、あんた方のキモチがちゃんとわかってるよ。「まあ、ずいぶんへんな髪だけど、男かしら、女かしら?」「あのカツラ、いくら位したんでしょうね?」(ロープにつかまってターザンのように観客席におりて)奥さん、いいハンドバッグ持ってますね、少しオカネない? 聖徳太子でなくてもいいからさ、ギザギザのある丸いやつ、一枚……だめ?

………………

クロード どこへ行こう 風に誘われ
どこへ行こう 心よ

ぼくは自分の手を見つめる
何も持てない 空っぽ
(全員とかけあいで)
なぜ (なぜ)
生きるのだろう (なぜ)

なぜ
死ぬのだろう (なぜ)

教えて なぜか (幸福)
教えて なぜか (祈り)
教えて なぜか (ひなげし)
教えて なぜか (自由)

(時代の暗黒のなかに立ちつくす蛮族ヒッピーたち。彼らは「何も持っていない手」を祈るように高く高くさしあげながらうたいつづけている。……暗転)

・幻の上演台本ロック・ミュージカル「ヘアー」日本版の部分 寺山修司(1969)『毎日グラフ別冊 寺山修司』(1993・毎日新聞社)より
  

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