切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

町内会の地蔵盆が行われた・・・関西以外ではほとんど知られてもいないらしい。

2018-08-20 17:38:20 | 日記



■ 二日間の地蔵盆の様子。

8月18〜19日と二日間にわたって、町内会恒例の地蔵盆が行われた。
この行事に向けた準備は約1ヵ月前から始まる。自分はたまたま今年、町内会の組分けされたブロックの組長として順番が回ってきたので、関わらざるを得ない。2ヶ月前に組長会議で、基本的な役割分担を決め、1ヵ月前の組長会議で、具体的な分担の名前と細かな準備、本番の日程が決められた。
全国どこの町内会でもそうだろうが、全体的に高齢化が目立ち、ここの町内会も町内会長は70代の男性だ。副会長に40位の女性が就いており、しっかりと補佐している。そして組長の大半はその一家のお母さんが出てくる。男性は組長全体の5分の1位。自分は独居爺なので、男1人出席することになる。
そして前日に至るまで、各役割分担にしたがってしっかりと準備がなされた。町内会は300数十世帯があるが、中には町内会を抜けている世帯もあるので、対象は300余りの世帯。更に子供の数を全部調査し、学年も調べ、それに沿った福引やおやつなどの品物の購入をする。非常に複雑で大変な作業だ。1週間前にはそれらの品物が全て揃って、種類別に袋に入れていく。これまた必死でやって、まるまる2時間かかった。
それにしても組長のおばさん方の動きは凄いものがある。疲れ知らずというか、次から次に作業をこなしていく。こーゆー場では男はあまり役に立たない。
こうして約1週間前に一通りの準備が整った。前日にはお地蔵さんが祀られている、小さな公園の準備作業。これは該当地域の人たちでやっていただけるので、特に仕事はなかった。テントを建てて、提灯を結びつけ、お地蔵さんをきれいに掃除し、前掛けをかけて、お供え物や飾り物を当日の朝に供えて準備完了。
次々に子供たちが集まってくる。朝9時と言うことなので、若干集まりは少なめだが、おやつとかゲーム大会、またその景品もあるので、幼児から小学生までそこそこ集まってきた。さすがに中学生は来ない。



しばらくするとお寺のお坊さんがやってきて、直径3メートル近い巨大な数珠をござの上に置いて、子供たちがそれを輪になって持ち、お坊さんの地蔵向けの読経が始まる。そして子供たちが大きな数珠をぐるぐると回していく。いわゆる「数珠回し」だ。約20分の読経が終わって、その後簡単なお坊さんのお話があり、そこからはゲーム大会などが開かれる。
一方組長たちは町内で1番大きな公園に移動して、盆踊り用の櫓の組み立て、提灯の吊り下げなどの準備を行う。この辺はどうしても男手が必要になり、自分のような爺にとってみれば厳しいので、町内会の若い、あるいは中年の男たちが中心になってどんどん進めてくれる。
そうこうするうちに午後から集会所で「子供福引」が始まる。これは子ども会が主催しているので、一応組長のほうは見てるだけでよかった。
小さな子たちはくじ引きが珍しいので、箱の穴から中を覗いたりしてとても微笑ましい光景だ。幼児、低学年、高学年などによって景品が分けられていて、お菓子の中身も若干違う。それでも福引で当たった景品をもらうと、みんなとてもうれしそうで、早速その場で食べている子もいた。小学校5年生や6年生ともなると、もうかなり大きいが、やはりこういったものは嬉しいようだ。



ここで午後の部が終了。続いて夕方、盆踊り大会だ。ここでも組長は大人向けにビールの配布。子供向けにジュースなどの配布を行う。すべてチケット制で、誰がもらったか、まだもらってないか、全てを確認する。最終的に福引の場合もそうだが、来なかった家庭には、後日組長が全部届けることになっている。



盆踊りのほうはお爺いさんが櫓に上って和太鼓を叩いていたが、流れる曲は今の子供たちの興味を引くように、昔ながらの民謡のようなものは流れない。学校などでも踊るような「ジンギスカン」とか、最近の若者向けの曲などが流れる。やはり盆踊りが、おじいさんおばあさんばかりでは、子供の興味を惹かないので、いろんな工夫をして、小さな子供たちにも参加しやすいようにしている。でもさすがに小学校高学年ともなると、友達同士で固まって踊りの輪の中には入らず、ちょっと離れて踊ったりしている。やはり恥じらいを覚えているようだ。
でもかつてに比べると、盆踊りも実際に踊っている人が少なく、ある意味寂しさを感じる。こうして1日目が終了。



続いて2日目。朝から行動開始だ。集会所に行って最後の確認とか準備をする。今度は各家庭向けの福引だ。何しろ300世帯分もあり、一気に各家庭からやってきた。チケットで組と名前を確認し、福引を引く。番号を合わせて景品を渡す。とにかく次から次へとをやってくるので、自分は福引のクジの係りをしていたが、番号を大きい声で伝えるだけでも汗だくになった。
こうして目まぐるしい1時間半がやっと終わり、ようやくほっとした。続いてやって来なかった家庭を全部調べて、組ごとに分けて、後で組長がその家に景品を届ける。
昼過ぎに組長全員が集まって、本来は反省会と言うところだが、もうみんなくたくたなので、町内会長が一言挨拶し、配られたお寿司を家に持って帰って少し遅めの昼食。と言うことで、予想をはるかに超える忙しい地蔵盆の取り組みだった。

■ 「地蔵盆」って何?



さて「地蔵盆」と言われても、関西以外の人々には一体何のことかわからないと思う。地蔵盆と言う行事が行われているのは、京都を中心とする関西くらいのものであって、全国的には、他にもごく一部の地域で行われているケースはあるが、ほぼ関西限定といってもいい位のものだ。
これは地蔵菩薩の縁日にあたり、本来ならば毎月24日が該当日となるが、現実的には行事として大々的に行われるのは、7月ないし8月の該当日、と言うことになる。しかし実際には大人の仕事などの都合によって、8月の中旬過ぎの土曜日と日曜日に行われるケースが多い。
この「地蔵菩薩」と言うのは、子供の守り神として信仰されており、困っている子供を救うと言う考え方に基づいているようだ。したがって地蔵盆そのものは、大人ではなく、子供を中心としたお祭りみたいなものだとも言える。
地域にある石地蔵を纏っており、地蔵盆の日には子供たちを集めて、お坊さんの読経があって、数珠回しが行われる。そして子供たちが喜ぶようなおやつや福引などが行われる。
盆踊りでも、子供たちも親と一緒になって踊ると言うように、地域の守り神としてお地蔵さんも含めた、伝統的な行事となっている。
新聞報道などを見ていると、京都市内なんかでは、オフィスビルの建設、ホテル、マンションの建設ラッシュで、地蔵公園そのものが廃止されたりなどして、地蔵盆が実施できないような地域が増えているとあった。
このような伝統行事を、無形文化財として位置づけようとの動きもあるが、大都会の中ではなかなか厳しいようだ。自分の住んでいる町内会は、1980年代ごろに急速に開発された、いわゆる新興住宅地域であるが、地蔵盆の伝統に沿って、しっかり執り行われている。とても貴重なことだと言える。
ただこの地域も以前に比べると、子供の数も大きく減少しており、また大人の方の高齢化も進んでいて、果たしてこのような行事がいつまで続けられるのか危ぶまれるところでもある。

やはり地域振興の具体的な方策が切に求められている。日本全体の人口減少は、国政の誤りと言う側面も間違いなくあると言える。東京とその周辺に人口が一極集中と言う形になるのも、政治の無策の表れとも言える。
自分はたまたま今年、組長と言う役に就いて具体的にこの行事に関わったが、次回組長の役が回ってくるのは、10数年後だ。おそらくもうこの世にはいないと思う。なんとかこの行事も続けてもらいたいと願っている。
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