2008-02-29
2.ヒロからのメール
宇宙ステーションのゲーム・コーナーのロビーで、休憩していたタケルは、メールを読んでいる途中、キララの魔術のようなもので、金縛り状態になっていた。
そんなタケルのMフォンに、ヒロからのメールが届くと、自動的に音声を発し始めた。
[タケル! オレが誰だかわかるな。オレは相変わらず仲間と、バカやってるよ。
キラシャもいろいろあったけど、バカなのは変わってない。
ところで、おまえ何やってるンだ?
先生が言ってたけど、耳が聞こえないってホントか?
火星でいい子見つけて、チャラチャラ遊んでるのかと思ってた。
運動神経のいいお前のことだから、女の子がホッとかないと思ってたンだけどな…
こっちは、テスト前にケンカ騒ぎがあってな。
まぁ、オレには退屈しのぎになったケドな。
おまえがいたら、もっとおもしろくなってたかも…。
何でもいいから、メールくれよ。オレ、ずっと待ってたンだぜ!
もし、返事がなかったら、宇宙ステーションの警察に連絡するぞ!]
キララは、目をつり上げてタケルをにらみながら言った。
「このメールは、誰?」
タケルは、身体を硬直させたままでも、声が出せることに気がついて言った。
「同じクラスの仲間だった奴さ…」
「間の悪いときにメールよこしたね。タケルの心でわかるよ。
もし、アンタが返事しなかったら、この子は警察へ連絡するのか?」
「ヒロなら、たぶんするよ。あいつは、先生よりカンがいいし、賢いンだ…」
「じゃぁ、ゲームして遊ンでるって送りな! 」
「してもいいけど…。
きっと、メールが届くまでに、短気なアイツは、警察に連絡してるかもしれない」
「でも、子供だろ? 警察はイタズラだと思って、相手にしないよ。
それより、アンタのパパのいる所へ案内しようか…」
タケルは、キララに吸い寄せられるように立ち上がると、周りには普通に歩いているように動いた。しかし、身体はまるでキララにコントロールされているようだ。
キララと仲良く歩いているように、タケルは通路を渡って宇宙船の発着場に向かって行った。
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