未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第10章 危険を感じながら ③

2021-06-30 16:01:53 | 未来記

2008-02-16

3.久々のデート

 

タケルの両親との待ち合わせの場所は、レストランに近いロビーだ。このレストランだと、時間を気にせずキララと話ができそうな気がした。

 

2人で空いた席を見つけ、ウェイトレスが近づくと、キララはメニューを確認して、おいしそうなドリンクを注文した。

 

タケルも、すぐに同じ物を注文した。

 

「今まで、アンタどこにいたの?」

 

「えっ、地球だけど」

 

「そうみたいね。MFiエリアかな? …なんとなく、わかってたけど」

 

「わかってた?

 

『…オレの共通語って、なまってるかな~』

 

キララは…?」

 

「アタシ? …ちょっと遠いとこかな?」

 

「どこ…?」

 

キララは、ウェイトレスからドリンクを受け取り、おいしそうに飲みながら言った。

 

「フ~ン。まだ、教えらンないね。それより、アンタ何かスポーツやってなかった?」

 

「えっ?どうして?」

 

タケルも、のどが渇いていたせいか、ドリンクを受け取ると一気に飲んだ。

 

「なんとなく…。アタシって、感が強いんだ。当ててみようか…」

 

「うン!」

 

「そうだね。…ちっちゃなボール使ってるでしょ」

 

「あってる!」

 

「それから、ラケットも使ってる」

 

「そう!」

 

「卓球とか…」

 

「あらら~」

 

「今のは、軽い冗談だよ。バドミントンでも テニスでもないでしょ?」

 

「うン!」

 

「そろそろ、当てに行こうか。…パスボーでしょ」

 

「あたり!!」

 

「もう、最初からわかってたよ。あんたに好きな子がいるってこともね!」

 

「えっ!?」

 

タケルは、ドリンクをゴクリと音をたてて飲み込んだ。

 

「アタシって、透視能力があるンだ…」

 

「そう。さっきから、気になってたンだけど、なんで掃除してたの?

 

何か罰を受けるようなことしたから?」

 

「ウ~ン… ちょっと違うかな? 」

 

「MFiエリアじゃ、掃除はスクールのルールだからやってるンだ…

 

廊下とか、トイレやシャワー室は、罰を受けたときだけだよ! 」

 

「別に罰でやってるわけじゃないのさ。

 

アタシを見て、こんな風におごってくれる人もいる。

 

それにね。掃除しながら人を見てると、いろんなことがわかってくるンだ…」

 

「あンな人がいるところで掃除なンてさ。

 

人に見られたら、なンか恥ずかしいし…」

 

「でも、アタシは慣れてる。

 

家族もいないし、人に見られて恥ずかしいなんて、思わない。

 

…家族って、いたらいたで厄介なんだろうね。ああだ、こうだってうるさくって…」

 

「そんなことないよ。僕は家族がいなくなるなンて、考えたこともないンだ。

 

他の誰より心配してくれるし、応援もしてくれるし…」

 

「甘えん坊だね」

 

「透視って…、どのくらい、わかるの?  」

 

「必要なことだけかな? アンタの顔見たら、ふっと浮かぶンだ。

 

…キラシャって、アンタのガールフレンド? 」

 

タケルは、頭を横に振った。

 

「あの子は、どっちかと言うと親友なンだ。

 

オレといると文句ばっかだけど、イイ時もワルイ時も、応援してくれるンだ…」

 

「だから、好きだった…でしょ?」

 

「ウ~ン…でも、今はもう関係ない。きっと、オレのことなンか、忘れてる…」

 

タケルは思い出して、Mフォンを確認した。

 

「ほら、もうずっとメールが来てないよ。

 

きっと、ケンやマイクと遊んでいる方がいいンだ。

 

オレだって、他の子と遊びたいし…」

 

「それで、アタシとこうしているわけだ。

 

…OK。ここにいる間は、アタシとデートし放題だね。

 

よし、楽しみにしておこうっと」

 

「まぁ、そういうことだね…」

コメント
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