生石高原・紀伊の風

紀州和歌山の季節と自然のフォトページ

妖しげな朝

2011-08-30 | 季節は今

 

一週お休みの間に季節は“陽気とどまりて 初めてしりぞき処とすればなり”の「処暑」の次候「天地始粛」(てんちはじめてしゅくす)へと進みました。暑気ひとまず治まる時節とありますが、朝夕はともかく日昼はまだまだ30℃を越える真夏日です。引き続き“熱中症”などには対応しなければなりませんよね。

そしてお盆、渋滞、夏休みの8月も晦日となり、明後日は雑節の二百十日…それに合わせるかのように台風12号が日本列島に接近中です。速くも紀州の沿岸には波浪注意報…台風が近づけば気温もあがり、残暑が更に厳しくなります。が、列島の太平洋側を通過する見込みなので過ぎ去ったあとの“秋”に期待です。

にひゃく‐とおか 【二百十日】 立春から数えて二百十日目にあたる日。  
 九月一日ころ。イネの開花期で、しかも台風の来襲する季節であるから、農家で
 は厄日として警戒する。

    http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20090203 (立春のころ)

そのような時節柄、生石高原では“オミナエシ”をはじめとする草花が“今が盛り…”と、咲き誇ってます。その上“ススキ”をはじめ“間もなく咲くであろう…”草花たちもたくさん控え、楽しくてしょうがない高原となりました。

 

今朝は美しい夜明けに巡り合える予感がありました。秋雨前線が上がったり下がったりの気象予報でしたが、久し振りに一日だけの太陽のマークはいつもより際立って見えます。
いつまでもこんな悪天候の筈はない…が、kinsanのいい加減な“晴れ予測”の根拠ですが、それが当たるのだから笑ってしまいます(^^

雲は多い目で南風はそこそこありますが、上空の雲は動いてるようには見えません。日の出40分前からうっすらと東の雲が染まり始めます。“そうそう、その調子!”…やがて雲は真っ赤に染まる朝焼けのピークとなり、そしてオレンジに変わります。雲間の空も鮮やかなブルーへ…尚、嬉しかったのは東西南北、時間の経過ととも色彩や雲の形が変化し、日の出まで大忙しの山頂でした(^^ 

 

        
  「マツムシソウ」 松虫草  マツムシソウ科、越年草  県・絶滅危惧種

淡いブルーの“マツムシソウ”の花は高原の初秋風情には欠かせません。辛うじて何株か立派に花を付けてますが、やはり子孫繁栄能力はひ弱い限りです。

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20080923 (松虫草) 

        
       「ナンバンハコベ」 南蛮繁縷  ナデシコ科、蔓性多年草

 

        
            「サワヒヨドリ」 沢鵯  キク科、多年草

ちょっと気になるのは個体数が年々少なくなってることです。白花、紅花のツーショットも撮れましたが、離れた場所に数株となりました。また、別場所にもたくさんあったのですが、ほとんど見ることが出来なくなりました(´`;

        
 「ホソバノヤマハハコ」 細葉山母子  キク科、多年草  県・準絶滅危惧種

 

        
        「ヤマジノホトトギス」 山路杜鵑草  ユリ科、多年草

絶滅危惧種のカテゴリーには入ってないのですが、高原では見つけるのに一苦労です。標高の低い里山ではよく見かけます。と、云うことは“ヤマジノホトトギス”にとって、高原は厳しい生育環境なのかも知れません。勝手な推論です(´`


女郎花全開

2011-08-29 | 季節は今

     

 

     
          「オミナエシ」 女郎花  オミナエシ科、多年草

    http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20100906 (満開オミナエシ)

ススキの穂もちらほらと目につきだした高原は花盛りです。ススキの青葉より背丈を伸ばした“オミナエシ”に“シラヤマギク”…それよりウンと頭を出した“シシウド”に盛りも過ぎつつの“コオニユリ”“カワラナデシコ”…青葉の中には“ホソバノヤマハハコ”“ツリガネニンジン”“オトギリソウ”…それらより更に小さい“ゲンノショウコ”の鮮やかな花の色彩…今、一年で最も艶やかな生石高原です。

秋の気配は“今までの暑気から解放される…”と、何だか元気が湧いて来ます。
そのエネルギーの向かう先は芸術であったり、読書、スポーツであったりでしょうか。脳と身体を使わなければ…天は四季を楽しむ日本の人々に、そのようなDNAを組み込んだのかも知れません(^^


          「オトコエシ」 男郎花  オミナエシ科、多年草

 


             「シシウド」 猪独活  セリ科、多年草

     http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20090818 (シシウド) 


           「コオニユリ」 小鬼百合  ユリ科、多年草

草原のアクセントにもなる“コオニユリ”のシーズンは毎日でも歩きたくなります。
イメージしていた場所にこれが咲いてると、時間をかけてその周りをウロウロ…フォトジェニックな花です。

        


立秋の夜明け [Ⅱ]

2011-08-16 | 季節は今

 

駐車場に着いた時点では、日の出など想像だに出来なかったのです。厭な雲が垂れこめ空は真っ黒…先程まで見えていた和歌山市の夜景も見えなくなる始末。この時間(4:00am)に帰るのも“癪”だし…いつものように晴れるのを念じて4:30amまで待つことにします。すると、願いが“天”に通じたのか頭上で星がひとつ見えます。厚いと思っていた雲は薄い雲になりつつあるのを知ります。4:15amもう躊躇することなく山頂へ歩き出します。が、足元が分らないほど暗く、山並みさえ見えない…

山頂では朝空の下層に黒いのが漂い、上層には秋を感じさせるウロコ雲が見え隠れします。運が良ければきっと美しくなる!日の出(5:16am)まで黒い雲が無くなる!山頂に着いて5分ほどで確信します。そうこうする内に東の雲が染まりはじめます。そんな訳で、この日の日の出前の朝焼けは“ヤッタァー!”でした(^^

        

東の山並みには雲なのか霧なのか、水平線のように山々を覆ってます。その上からの朝日にはもう空を赤く染めるパワーは残ってないようです。でも、輝くウロコ雲が素晴らしい! 

 

        
            「ミソハギ」 禊萩  ミソハギ科、多年草    

盆花の“ミソハギ”が満開です。 盆花は精霊花(しょうりょうばな)とも呼ばれ盂蘭盆(うらぼん)の精霊棚に飾る草花という。ミソハギ、キキョウをはじめオミナエシ、オトコエシ、ワレモコウなどなどに…ホソバヒメトラノオ、カワラナデシコまで含まれるらしい。これらは生石高原に多く生育するもので、昔からこの草原は村人の“葉場”(草刈場)として飼料や肥料、それに“飾り花”を得るための生活に密着した山であったことを窺い知ることが出来ます。

季節は進んで「立秋」の次候「寒蝉鳴」(かんせんなく)寒蝉はヒグラシ(蜩)及び秋に鳴く蝉のことです。生石高原では既に2週間ほど前から鳴いてます。ヒグラシの次にはツクツクボウシ…秋は進行します。


        
   「コガンピ」 小雁皮  ジンチョウゲ科、落葉小低木  別称 イヌガンピ

“ガンピ”はミツマタ、コウゾとともに和紙の材料となる木本です。この“コガンピ”はその材料にはなりません。別称の“イヌガンピ”のイヌの名が付く植物は“役に立たない”“美味くない” などの意で、反対の“小さく可愛い”“美しい”の表現には“ヒメ”が付きます(^^

        
      「キキョウ」 桔梗  キキョウ科、多年草  県・絶滅危惧種

 


      「シラヤマギク」 白山菊  キク科、多年草  別称 ムコナ

“シラヤマギク”が開きはじめました。高原ではこの花に加え“オミナエシ”などで“お花畑”が出現します。今週の終わりころから来週にかけて、ススキの穂が出る前のクライマックス…
尚、別称の“ムコナ”は“ヨメナ”とは対です。

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20071008 (里山のヨメナ)

        
             「ヒオウギ」 檜扇  アヤメ科、多年草

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20081004 (ヌバタマ)


は・な・び

2011-08-15 | 季節は今

お盆の13、14、15日8:00pmマリーナシティーの花火です。15分ほどの短い打ち上げですが、和歌浦の片男波海岸にはたくさんの見物客…
但し、南風が吹くと煙が邪魔になります。冬の花火がベストでしょうが、とても寒い!


土用波

2011-08-09 | 季節は今

台風9号が沖縄に接近(現在は既に通過)…紀南沿岸に波浪注意報…急遽、大阪の友人達とその波を撮りに行きます。昼から夕方にかけてのスケジュールで、みなべ町千里・目津崎海岸からすさみ町沿岸までを至ってアバウトなタイムスケジュールを描きながらともかく出発します。

先ずは、千里海岸の砂浜に押し寄せる波に見惚れます。ドデカイ扇が一定の間隔で広げるようなさまに感動…干潮から上げ潮に変わる時間帯なので波に勢いがあります。もちろん危ないので小高い岩の上からの眺望です。ここは去り難い… 

“天気晴朗なれど波高し全員奮励努力せよ…”確か日本海海戦の東郷司令官の檄文…奮励どころか目津崎の岩場での荒れた波に些か腰が引けましたが、日頃和歌山の海で鍛えられたことを自負する者にとって率先して先を進みます。この辺で友人の一人が脱落…無理をしない! 

怖いもの知らずと云うか度胸があると云うか、若い女性カメラマンのOさんはパチパチシャッターを切ってます。将来有望! “おーい!次の奴大きいぞ!気ィつけろよ!”こんなやりとりも凄い波音にかき消されます。

で、危ないのでここでカムバック…無理をしない! 

紀州の沿岸は台風発生のたび“土用波”(うねり)の到達です。沖合いでは波は分らないのですが、浅くなった沿岸部では想像も出来ないほどの大波となって打ち寄せます。悪いことに十数回目、十数分に一度特別の大波が来ます。それが悲しい海の事故にも繋がります。

暦の“土用”は“五行説”からきた“雑節”のひとつで、二十四節気で重要な“八節(2至・2分・4立)”の4立、すなわち立春、立夏、立秋、立冬の前18日間を言います。その初日が“土用の入り”…4立の前日、土用の最終日が“節分”です。
そして、年4回の土用は穀雨、大暑、霜降、大寒の節気にあって、それぞれの季節が最も盛んな頃です。夏の“土用の丑の日のうなぎの蒲焼”は多くの方はご存知ですが、海へ行かれる場合は“土用波”…この時期の大波の危険もお忘れなく!

ど‐よう‐なみ【土用波】 
  夏の土用のころ、わが国の太平洋岸に起こる大波。
  南方にある台風の影響によって、うねりが押し寄せる現象。

季節は“はじめて秋の気 たつがゆへなればなり”の「立秋」…その初候「涼風至」(すずかぜいたる)ですが、“暑さ寒さも彼岸まで”の来月20日(彼岸の入り)までは、残暑を覚悟しなければ…ですね。

        
                 すさみ町見老津 夫婦波

 

        
            南白浜の海岸ではサーファーに釣り人…

 

本日の仕上げは波穏やかな“対の浦”の夕景です。頭の中で描いていたポイントを2箇所取り止め、余裕で夕日に間に合いました。しかし、余計な雲が出て来ます。