目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「ペンギン・ハイウェイ」 森見登美彦

2010年10月10日 | 読書
森見さんといえば「京都のアホ大学生」の物語。
でも、今回は小学生の男の子とお姉さんの話です。

「ペンギン・ハイウェイ」(森見登美彦 角川書店)

郊外の新興住宅地に住む小学4年生のアオヤマ君は、
自称、とっても頭のいい小学生。
日々思索し、さまざまな事柄を研究対象とし、
肌身離さない愛用のノートにメモをとることを
習慣としている。
クラスメートのウチダ君と街を探検して
地図を作ったりしている。

アオヤマ君は歯科医院の、掴み所がなくて、
不思議でクールなお姉さんと友達。
ある日、街にペンギンが忽然と現れる。
彼はペンギンを研究対象とすることに・・・。

ははは アオヤマ君みたいな少年が
たくさんいろんなことに興味を持って、
世界を、宇宙を知りたいと、どんどん勉強して
京大とかに行って、頭でっかちで
シャイで奥手で純粋だけど屈折した(?)
妄想豊かな青年になるのだろうね(笑)

歯科医院のお姉さんも、アオヤマ君のお父さんも
彼に対等に接してくれるのが素敵だと思います。

大人びてるんだか、子供なんだかわからない
アオヤマ君だけど、この夏の冒険で
彼は大きく成長するのです。
切ない思い出とともに・・・。

お姉さんがペンギンを生み出したり、
摩訶不思議な生き物が出てきたり、
謎の球体が草原に浮かんでいたり・・・
「きつねのはなし」や「宵山万華鏡」にも似た
ファンタジーゆえに、はじめはとっつきにくいんだけど
だんだんと、そのシュールな世界にひきこまれてしまい、
いつものように”読み終えたくない”と思わされました。
(私にとって、森見さんの本は、
読み終えるのがもったいない本なのです)

特に、眠るお姉さんを見つめるアオヤマ君の
ところはグッときました。

最近私は、本や映画の感想で
「ありえへん」「お涙頂戴」「お決まりの・・・」と
感じることが多かったのですが、
そもそも、私はそういうもの(現実にはありえない世界、
純粋に泣ける物語、安心して楽しめる娯楽)を求めて
本を読んだり、映画を観ているのではないのか?
だから、それでいいんちゃうん?と。
この、ありえへんけど、どこか懐かしいような
子供の頃を思い出す切ない物語を読んで思いました。

ちょっと風変わりだけど、息子も、
アオヤマ君のような少年に育って欲しいなぁ。
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