目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「博士の愛した数式」 小川洋子

2006年01月18日 | 読書
今週末から映画が公開されますが、その原作です。
映画を観る前に!と読んでみました。(ミーハーだねー)

数字が美しいって?!数式を愛するって??
数学はいつも赤点だった私には、数式など忘却の彼方。
実際、大人になってから高校で習った数学が
役に立ったためしなどないように思える・・・。

でも、この小説の主人公、”博士”は、花や動物や美しいものを
愛でるように、数とたわむれ、数字の神秘に感動しているのです。
どんな数字も会話の糸口になってしまいます。

彼は、約20年前の交通事故のせいで、記憶が80分しかもたない。
家政婦紹介所から派遣されてきたシングルマザーとその息子ルート
(頭のてっぺんが平らだから、と博士がつけたあだ名)の、
温かく静かな日々が 描かれます。

記憶が80分しかもたない・・・ってどんなでしょうね。
毎日が同じことの繰り返しで、人の顔も覚えられないし、
昨日自分が体験した楽しいことも悲しいことも 覚えていないのだから。
「メメント」「50回目のファーストキス」「私の頭の中の消しゴム」と
いろんな映画でも観てきましたが、この苦しい状況にある人は、
周囲の深い愛情なしには生きていけないだろうな・・・と思えます。

よく気が利き、博士の気持ちを思いやることのできる家政婦の”私”と、
小学生というのに、その状況をよく理解して博士に接している
”ルート”君の優しさは 人なみ以上です!
博士と”私”、博士とルート君を結ぶ数字には 特別で不思議なつながりが
あるからかも。
そして、”阪神タイガースの江夏投手”も立派な登場人物のひとり!

博士の過去、離れに住む義姉、博士が子供という存在を特別に大事にし、
愛するわけ、一番星の思い出・・・そういうことは詳しくは描かれないけど
時の止まってしまった博士の内なる世界を 想像してしまいます。
恋愛とも尊敬とも友情とも言えない、ふたりの思いは、
お互いの心の奥底で、あたたかく輝いているのでしょうね。
たとえ、博士の頭は覚えていなくても・・・。

博士が”私”に説明するように、お話の中で いろんな不思議な数字や
数式が出てきますが、正直言って、あんまりピンときません(笑)
でも、こんなふうに数字を見られたら 楽しいんだろうなーと
思えました。
数学って、ひらめきとセンスですよね。私には無理!
でも、数字の持つ美しさとか、イメージとか個性って、
ホントにおぼろげながら わかる気がします。
私の中では 奇数=毅然としてて気が強い、孤独。
偶数=呑気でやさしい、親しみ ってイメージです。

静かな筆致で美しい言葉が綴られるこの原作、とてもよかったですが、
寺尾聡さん演じる博士もぜひ観てみたいと思いました。

映画「博士の愛した数式」→公式HP
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10 コメント

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私も (ska)
2006-01-19 11:21:08
読みました。博士のロマンチックな数学の語り口

にうっとりしました。“私”とルート、特にルート

の優しさが心にきますよね・・・。

そうそう、映画は週末公開。博士のイメージは寺尾さん

そのもの!!!

楽しみですね、きっと泣くでしょう・・・私。



ブログのお友達の中に元数学者の方がいて、博士の

話をしたら、同じように数式を愛している様子だった

ので驚きました。私たちには馴染みがなくても

それに携わったものには愛すべきものなんですね・・・。
返信する
数学・・・ (hiyoko)
2006-01-20 19:43:03
数Ⅰまでは大好きだったのに、

それ以降は先生が大嫌いだったために

嫌いになってしまった・・・

残念な分野です(笑)



映画では、原作に無い、ルート君が大きくなって

数学教師になるという設定があるんですってね。

それが吉岡君。博士との素敵な思い出がある彼なら

いい先生になるんだろうなー。

その先生に習ったら、私の進むべき道も

変わってたかもしれないのになー

返信する
優しい空気 (kino)
2006-01-20 23:58:08
>skaちゃん

この週末には、大阪の映画館に寺尾さんが来るみたいなんだよねー。

昔 大の寺尾さんファンだった私としては

是非とも会いたいのだけど・・・うーむ。



ルート君って ほんとによくできた子だよね。



数学を愛する人には 公式と計算式は美しい絵画や詩のようなものなんですね。



>hiyokoさん

ほほー 数学好きだったのね!かっこいい!

私、今から思えば、もう小学校の時点で 嫌いだったよ。

でも、こんな先生なら楽しかったかも。



吉岡君のルート、髪の毛がご丁寧にハネてるのが微笑ましい。

(ルートの形にはねてるんだよね??)
返信する
読んでみたいです (iruka)
2006-01-21 07:44:11
数学大っ嫌いだった私。

つまずきは、もう小学校2年生頃(単に頭が悪い)。

でも、この本は読んでみたいなー。

数学のイメージが変わりそう。

返信する
センス! (choro)
2006-01-24 08:36:32
やっぱりkinoさんも「数学はひらめきとセンス!」って書かれてますね~

私もそう思います。

何でもそうだけど、その人に合ったものというのは、そのセンスがある、ということなんですよね。



でもこんな先生に数学習ってみたかったな~



映画も楽しみです。

TBありがとうでした~
返信する
こんな先生! (kino)
2006-01-25 00:40:42
>irukaさん

ええ、数学が苦手でも、この本は楽しく読めますよ。

読み終わると、数字が美しく見えます。



>choroさん

数学は 努力だけじゃダメだとつくづく思うんですよ。

柔軟な発想と、広い視野がないと・・・。

それを大事にする博士のような人が先生なら ホントによかったのに!

映画は映画でよかった部分もあるので、是非ご覧になってください!
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大好き! (kuu)
2006-01-26 09:08:08
大好きな本です~。

登場人物達の優しい雰囲気と、ただの冷たい数字が魔術をかけられたように生き生きとする瞬間がたまらないです。

数学者なんて、何を研究してるのかと思ったら、パズル遊びのようなことをして、たのしんでいるだけなのかもね~~(^^)

映画も見てきましたが、やっぱり原作の方がいいです
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そうですね! (kino)
2006-01-28 15:59:18
>kuuさん

難しい話なのかなーと思って、最近まで読んでなかったけど、

数学嫌いの私でも楽しめました!

静かで穏やかな空気が感じられる小説ですね。

私も原作の方が好きだな。でも、映画の映像も美しい!
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Unknown (さと)
2006-02-15 10:53:59
原作もそして映画もみました 原作で試合を見に行くところで亀山が何度も出てきましたね 新庄より早く引退してリトルリーグの監督をやりつつ解説者になった亀山がストーリーとあんまり関係ないけど出て来て嬉しかったです 映画ではでてきませんが・・・映画では少年野球の試合の所がチャット泣けました
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亀山 (kino)
2006-02-18 10:26:51
>さとさん

コメントありがとうございます。

亀山!懐かしいですねー!!

あの野球場の雰囲気がすごく好きだったんですが

映画では少年野球の試合になってましたね。

それはそれでよかったですが・・・。
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