目の中のリンゴ

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「父親たちの星条旗」 なんのために戦うのか

2006年11月05日 | 映画タイトル た・な行
太平洋戦争中の、硫黄島でのアメリカと日本の戦いを
アメリカ側から描いた「父親たちの星条旗」
日本側から描いた「硫黄島からの手紙」という
2部作が話題になっている、クリント・イーストウッド監督。

「父親たちの星条旗」(Flags of Our Fathers・2006年・アメリカ)

またもや常識のない私は 映画を観た後で
硫黄島の持つ戦略的意味や、いろいろな事実など
多くの戦死者を出したこの戦いのことを知りました。

新聞に載った、星条旗を掲げる兵士達の写真が
どのような状況で撮られたのか、真実を知るのは
そこにいた者だけ・・・そして、その多くは帰らぬ人。
私も、この写真を観た時に想像していたような状況とは
全く違っていました。

その写真によって、英雄として担ぎ上げられ、
政府によってプロパガンダと国債の宣伝に
駆り出される3人の兵士を中心に描かれています。
衛生兵の”ドク”の息子が、ゆかりの人たちに
インタビューを行う形式で映画は進んでゆきますが、
彼は、亡くなるまで戦争のことを語らず
星条旗の写真のことにも触れなかった父の思いを知ります。

英雄であったはずの人が単純に胸を張れる思いではなく、
傷つき苦しんでいた事実を知り、ショックな気がしました。

戦争映画を見るといつも思うことですが
自分が徴兵されて訓練を受け、戦場に放りだされたら、
目の前の敵を殺すことができるんだろうか?

そういうためらいを感じる暇もなく
雨アラレのような砲弾を受け、一瞬にして
人間が肉塊と化す戦場。
国は俺たちを守ってくれない。
俺たちが戦友を守らなくては。
故郷に連れて帰らなければ・・・。
ともに戦い、地獄を見た者にしかわからないものなのかも
しれませんが、敵への憎しみや戦うことの意義といった
ものではなく、戸惑いややりきれなさを強く感じました。

ライアン・フィリップ、アダム・ビーチ、
ジェシー・ブラッドフォード、バリー・ペッパー、
俳優達の演技も素晴らしかったです。

これからは、大好きなノーマン・ロックウェルの
第二次世界大戦をテーマにしたイラストも、
見る目が少し変わりそうな気がしています。
彼が描いた”アンクル・サム”や 若い兵士のイラストは
アメリカ国民を勇気付け、鼓舞したのだろうけど、
戦場の兵士達はどんな気持ちだったんだろうな・・・なんて。

またもヘタレな感想でお恥ずかしいです。
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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
じっくりと (☆kino)
2006-11-25 01:13:27
>mezzotintさん
こちらこそ、いつも遅くなってしまってすみません!
「硫黄島からの手紙」がどのように描かれているのか
とても楽しみですが、楽しみというか、
予告だけでもつらいというか・・・。
イーストウッド監督、老いてなお盛んというところですね。
いつも考えさせられます。
返信する
今晩は! (mezzotint)
2006-11-24 01:30:05
kinoさん
いつも有難うございます
リアルに再現されていて・・・。ちょっと
怖い気もします。61年経った今、この現実を
風化させないというのがこの映画製作の
意図なのでしょうね。第二弾「硫黄島からの手紙」
が気になるところです。クリント・イーストウッド
監督が来日していましたね。
返信する
うううーむ (☆kino)
2006-11-22 23:43:03
>たおさん
うーむ そうですねぇ。もう少し掘り下げて描くことが
できたのかなぁ なんてことも思ったりもします。
コレッ!と感想を述べることができないのは
映画自体がそうだからなのかな・・・?なんて思ったり
自分の理解力が足りないせいなのか と思ったり。
「硫黄島からの手紙」を観てまた考えたいと思います。
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Unknown (たお)
2006-11-21 16:09:03
こちらのも、コメントのみで失礼を^^;
英雄なんて存在しない世界を描き続けているイーストウッドらしい作品だったんですが、どうにも私ポール・ハギスと相性が悪いみたいで・・・。
とっ散らかってる印象ばかりが。
素晴らしい部分も多いだけに、ちと残念でした。
返信する
過去のこと (☆kino)
2006-11-20 18:35:30
>さとさん
硫黄島を日米両方から描いたというのがいいですね。
日本サイドの映画、「硫黄島からの手紙」もアメリカでの
年内の封切りが決まったそうです。アカデミー狙えるか?!
そうですね。私のように歴史を知らない人間が 誤まった知識をつけないように
正しく描いて欲しいものです・・・。
返信する
えっと。。 (mさと)
2006-11-19 10:25:42
「男達の大和」はちょっと期待が大きすぎて、「亡国のイージス」は思った以上にスケールが小さくて。。最近の日本映画は思い込みから入ってしまうので、観方を少し変えないと行け無いなぁ。。と反省しているところでありますが。

違った視点から見た硫黄島の決戦は、ちょっと気になってきましたね。。

それにしても、映画のことはいろいろ語れますが、過去の出来事は、語れる方も減っていく一方。。なるべく、客観的に事実を曲げずに伝えて行って欲しいですね。。(^_^)b


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楽しみ (☆kino)
2006-11-11 07:34:19
>choroさん
イーストウッドの映画は 見るものに委ねられる部分があって
なんとも感想を述べるのが難しい・・・。
でも、リアルな戦争の姿を描いていたと思います。
ほんと、私は祖父母から戦争の話を聞いたことがないので
こんな戦いのことを今更だけど知ることができてよかったと思います。
楽しみ、と言うと語弊があるけど、「硫黄島からの手紙」早くみたいです。
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やっと観てきました (choro)
2006-11-10 15:18:34
この映画を観られたことに感謝です。

日本人でありながら、戦後世代の我々はほとんど硫黄島の激戦のことは知りませんよね。
それを知ると同時に両国の兵士やその家族の苦しみも痛いほど伝わってきて、どれだけ戦争と言うものが人々の身も心もズダズダにしてしまうかがよくわかります。

またアメリカ側からだけでなく、2部構成にして日本から見た同じ戦いを描くというのは素晴らしいですよね。
第2部にも期待が高まります。

TBさせてくださいね~
返信する
上手くいえないけど (☆kino)
2006-11-09 10:56:55
>nomadさん
ほんと、上手く言い表せなくてもどかしいんですが、
戦争ってなんのためにあるの??殺しあうしかないの??
って思いました・・・。
英雄扱いされた人たちのその後の人生になんの保障も
なかったこともショックでした。
まだ少し前のこと、nomadさんのように
身近な方が戦争経験者だったりするんですものね・・・。

>Kimさん
「硫黄島からの手紙」早く見たいです。どのように描かれているんでしょう。
イーストウッド監督の映画は、後で上手く言い表せないものが
たくさん胸の中にモヤモヤします。

>irukaさん
戦場で傷ついて、祖国でも傷ついて・・・
体と心の傷は癒えなかったのでしょうね。
私たちのような一般の人間があんな体験をするんですもんね。
恐ろしいことです。

>Cartoucheさん
いつも戦争で命を落とすのは若い兵士や一般人。
主導者は安全なところにいる・・・。
やりきれないですね。この映画で、日本に対する憎しみや
罵詈雑言が描かれていなかったのは 日本人としてほっとしました。

>こっちゃん
上手く言い表せないんですよー こういう映画の感想って!!
御祖父ちゃんや親戚の人が戦ったりした戦争だよね・・・
ちょっと前のことなんだよね・・・
平和な世の中がありがたくもあり、申し訳なくも思います。
重いけど観てよかったと思える映画でした。

>amoreさん
イタリアではどんな風に受け入れられるのかなぁ。
日本人にとっては「硫黄島からの手紙」はきっと
涙なしでは見られないと思う・・・
その両方から描いたイーストウッド監督はすごい。
(まだ観てないのでなんとも言えないけど・・・)
ケヴィの出待ち成功、日ごろの行いのおかげですね!きっと!
返信する
イタリアでも… (amore)
2006-11-09 03:47:20
この週末からロードショーです。
「アメリカ側」と「日本側」
2つの視点からとらえる硫黄島の戦い。

私の祖父や祖父の弟が
命を落としかけた戦場を
この目で確認したい!
そんな思いがあります。

ケヴィの出待ち、今年は大成功でした~
返信する
へタレだなんて・・・。 (こっちゃん)
2006-11-08 12:59:35
伝わってきましたよ。
う~ん・・・。
とにかく重いのはまず覚悟の上だよね。
でも、歴史の真実を直視することは大切なことなのだと
思うこっちゃんでした。
ええ。
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誰が敵? (Cartouche)
2006-11-07 09:29:40
戦地で戦うのは20歳そこそこの若者。それを安全できれいな部屋でぬくぬくとしながら指令を出すのは、政府高官たち。しかもそれを国債のためにショービズとまでしてしまうって一体?? 敵である日本よりもっと大きな敵は政府というような気がしました。
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良かったです (iruka)
2006-11-07 02:11:18
アメリカ側からのということが観てよ~く分かりました。戦場の兵士と国民の感情の溝。
煽る軍やマスコミ。
事実と違うと主張しても、担ぎ上げられる。
そこには個人の意思はなくなって・・。
イーストウッドは上手いですね。
TBさせてくださいね。
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期待以上! (Kim)
2006-11-06 18:24:03
日本が対戦相手の戦争を描いているとあって、観る前は、躊躇する部分もあったのですが、観に行って良かったと心底思いました。脚本も、監督の手腕も素晴らしかったです!
本作は、あくまでもアメリカがアメリカの戦争を振り返った映画で、客観的に観ることができましたが、『硫黄島からの手紙』は、今からボロ泣きしそうな予感が;;;
TBさせてくださいね。
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戦争の意味 (nomad)
2006-11-06 14:04:48
「まず大統領から戦争へ」という言葉がありますが、
戦地の最前線に送られて、
直前まで何処へ送られるのかも知らされず、
いきなり地獄のような戦闘に投じられた若者達、
そしてその後も利用される若者達。
戦地の実情のまったくわかってない政府の高官達。
この映画で描かれたギャップは凄まじかったですね。

真実はその場にいた人にしかわからない。
そしてその真実を心の中に封印してしまった
ドクの気持ち・・痛いです。

そして人種差別も暗示され、
最後はボロボロになっていくアイラの人生・・
哀しかったです。
アイラが畑仕事の合間に記念写真を撮られた時に
もっていた小さな星条旗・・胸がつまりました。

いろんな意味で、あらためて戦争の意味、意義について考えさせられました。
クリント・イーストウッドの映画はいつも観る人それぞれに解釈を求めますが、
この映画は、わかりやすかったです。
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