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「黒龍の柩」 北方謙三

2006年06月16日 | 読書
まだ新選組本を読んでます。
上下巻で、なかなか読み終えることができなかった本だけど・・・
読んだら面白かった!

「黒龍の柩」上・下 (北方謙三 / 毎日新聞社)

新選組全盛期から始まり、主に鳥羽伏見の戦い以降、
旧幕府側の大いなる夢の実現に奔走する土方歳三が主人公。
北方謙三というと、オッチャン向けのハードボイルド小説、
というイメージがあって、読んだのは初めてです!

何度も書いているように、三谷幸喜の大河ドラマで
遅ればせながらの新選組ファンとなった私は、
いろいろ本も読んだけど、この幕末の混沌とした時代のことは
いまだに上手く説明できません。

勤皇、尊王、佐幕、攘夷・・・もー 何がなんだかわかりません。
そんなちっちゃなことじゃなく、外国に目を向けていた
坂本竜馬にロマンを感じる男性も多いでしょうし、
心から惚れ込んだ人のために、組織の二番手
(実質的には全てを掌握する者)として尽くした
土方歳三に男気を感じる人もいるでしょうし・・・

ただ、誰もが夢を抱いて、理想的な世の中を作り上げていこうと
命をかけて生きた時代だったってことですね。

なんで旧幕府軍が、薩長が主導する官軍に追われて
北へ北へと進んでいったのか、私はいまひとつわかって
いなかったんですが、この小説ではそれがメインに描かれています。
フィクションではあっても、”ほぉ~”と納得しつつ、
もしその夢が実現していたら・・・と
思わずにいられませんでした。

蝦夷共和国ですよ!
北海道が独立国家だったかも。

この物語には、新解釈とも言える設定がいろいろあって、
ラストには唖然としてしまいました。(途中で読めたのが残念だった)
それもアリかな・・・と思えましたが。

山南敬助と土方の関係がすごく良くてねー!
とかく、いがみ合っていたように描かれがちなこの2人。
池田屋にも参加せず、それ以降、だんだんと
”総長”という名ばかりの閑職に追いやられ、
挙句 脱走による切腹という最期をたどった山南。
この役を 堺さんがやったもので、あまりのハマりっぷりに
もう常に山南=堺さんくらいのイメージです。

理論派で北辰一刀流の名手だった山南は、
思想的なズレから新選組内で立場を無くしていった、
という描き方が多いのだけど、この「黒龍の柩」では
彼は土方の最大の理解者であり、強い絆で結ばれているのです。

山南は胃ガンに蝕まれており、自らの死期を悟りながら、
最期の力を振り絞って、新選組と土方の行く末を
見極めようとします。
そして、そんな彼にふさわしい立派な死を迎えさせようとする土方。
この2人の関係には 深いものがある・・・

もちろん、土方はカッコイイしね!
血なまぐささが匂ってくるような、冴え冴えとした剣捌きの
立回りの迫力もじゅうぶん。
新選組好きの方にはオススメの一冊です。
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