小田急秦野駅北口で3作品みて南口からバスで平塚市七国荘。
七国荘ではとても親切にしていただいて嬉しかった。
ただ次のバスは約2時間後。職員さんに相談したらまあまあに歩けそう。
で、平塚市七国荘から徒歩で向かう平塚市びわ青少年の家。
ここには、1993年に開催された「湘南ひらつか野外彫刻展」1作品がある。
スマホのナビで七国荘から坂を下る。


古道だ。




今の道に出る。
でも、あんまし車走ってないから快適にふわふわと歩く。



お!あそこから入れってか。


雪が残っている。


おお!盛大に焚き火だ。手入れで出た枯れ草や枯れ木を集めて燃やすというシンプルな農作業すら規制されてる我が家方面はやはりどこかおかしいな。

のんびりと歩く。

お!すごい長屋門。

後で知ったが、びわ青少年の家の敷地は、子供達の教育に役立てて欲しいと、その長屋門の家からの寄贈だったそうだ。
そのお隣が平塚市びわ青少年の家であった。




「HOUSE・HOUSE・HOUSE」・緑川やよい・鉄&塗料・400×260×220。



真っ赤な椅子が何かを待つような。



そこで一喝???
ありがとうございました!ボイラーマンおじさま!!
そんな人工モンよかあっちの芸術の方が凄いぜ!!!
あっちって?おじさまの指差す方向には鳥の巣しか見えない。
あんたねぇ・・・鳥の巣じゃないよ!「ヤドリギ」!!!

あれがヤドリギであったのか!
恥ずかしいなんてもんではないがこの歳まであれは鳥の巣だと思い込んでいた。
確かに確かにこれにはいかなる人造も敵わない。


ヒレンジャクはヤドリギの実が大好物だという。シベリアへ帰る旅の季節にはちょうどよくヤドリギの実が熟しヒレンジャクはここで空腹を満たし、北へとまた旅立つという。
ヤドリギの種は、ヒレンジャクに食べられることによって旅をする。長い粘液質の糸を持って糞と一緒に落下。上手い具合に好みの木(びわ青少年の家の場合、ケヤキが一番お好きだが、桜もなかなかにで、なぜだか梅に一個)に引っかかれば、樹皮に潜り込んで寄生する。
ヒレンジャクの旅は、明日は平塚泊まりだねぇ!びわ青少年の家ケヤキホテルの飯は美味いんだよねぇ!なんぞと会話してるかどーかはわからぬが、まるでコース各所に上質なホテルが予約されているようだ。
おじさまが、あんたこの謎解いてくれ!とおっしゃるが・・・できるわけねーだろ。
でもなぁ・・・とおじさまの顔が曇る?
ヤドリギに寄生されると木が枯れるとおっしゃる。瘤ができたら終わりだとおっしゃる。

ん・・・。
かながわ名木100選をめぐる前の私は、人が悪ささえしなければ樹木の寿命はいつまでもと思っていた。が、今は違う。私はただの妄想おばさんだからおじさまには申し上げなかったが。。
人の雌は数百個の卵を持つ。けど、その内の99%、人によっては100%流れてしまう。1%の受精卵も、母親の胎内を出ることなく終ってしまうこともあれば100年以上生きることもある。木も同じ。ヤドリギに養分水分を吸い尽くされて枯れるというより、ヤドリギを養うだけの樹勢が無くなったということではないだろうか?人と同じで、それぞれに寿命がある。働き盛りでも倒れる時は倒れる。瘤も、人で言うなら加齢による動脈硬化を起こしたと言えなくもない。そんな気がする。
ま。
シーズンには、そのヒレンジャクを撮るべく同じくらいの数の人が集まるという。
びわ青少年の家という名前の由来もうかがった。
ここの地形が枇杷の形に似ているからだという。おまけに、落人伝説もあるという。
って・・・枇杷というのは、果物なのか?楽器なのか?はたまた琵琶湖なのか?琵琶湖と落人伝説となれば、これは近江王朝だ。
知的冒険の旅の始まりな場所。

そして・・・
緑川やよいさん!どこでどうしておられるんですか?
そんな人工の!とかましてきたおじさまであるが、鉄でできた作品の錆びを丁寧に落として意匠を損なわないように塗装しなおしているのは、このおじさまだった。
おじさまが私に話しかけてきた第一声は、あんた?緑川やよいさんか??だった。
はぁ?と面食らったら、洒落た帽子かぶってカッコ好かったからさぁ・・・おじさまは知的好奇心あふれる方だった。びわ青少年の家は大企業定年後の職場。ボランティア心でこつこつと作品のメンテナンスしながら、こんなみょうちきりんな作品作った緑川やよいさんとやらと一度話をしてみたいもんだなぁ・・と思っておられるのだった。
バス停に行く。
秦野駅行きでも平塚駅行きでも先に来た方に乗ろう。予定はそれから。

平塚駅行きが来た。
