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君は知っているか むしまるソングのことを

その昔NHK教育テレビで放送された子供番組、『むしまるQ』で展開された名曲パロディの数々。

ち・ぶ・さ

2016-08-06 10:41:58 | むしまるQゴールド 2003年度

<むしまるQゴールド 輝きの2003年度 その3>
ち・ぶ・さ  作詞/里乃塚玲央  作曲・編曲/堀井勝美  歌/MISUMI

 MISUMIさん、『カエルのへそのお』に続いて2度目の登場です。前回はおしゃれなスイング・ナンバーでしたが、今回はとってもパワフルなブルース・ロック。こういう曲を歌うと、MISUMIさんの歌声はまさしく和製ジャニス・ジョプリンですね。こんな迫力のある女性ボーカリストが日本にいたなんて、知らなかった。

 歌の内容は、「あの獰猛なライオンや豹でさえ、幼いころはあどけない乳飲み子だった」と哺乳類の母子関係について歌っています。おそらく、母ライオンや母豹の母性を表現できる、強くてしかも女性らしいボーカルを中心にした曲作りを模索する中で、ジャニス=MISUMI路線を思いついたのでしょう。

 曲調も、いかにもジャニス・ジョプリンが歌いそうな感じですが、直接の元歌は特定できません。MISUMIさんのジャニス・ジョプリン・ボイスを心ゆくまで堪能して下さい、ということではないでしょうか。

 イントロのギターリフは『ジャニスの祈り』(1971年)にインスパイアされたものだと思われますが、もし『ジャニスの祈り』のパロディに特化するならギター、ボーカル、ベースのユニゾンというユニークなアレンジは外してないでしょうから。


<番外編>またムーンチャイルドに恋してる

2016-08-03 06:47:31 | むしまるQゴールド 2003年度

 むしまるQの『ウーパークイーンの宮殿』は、キングクリムゾンの『ムーンチャイルド』の歌詞を媒介としてアルバム『クリムゾン・キングの宮殿』のパロディに仕立てていますが、『ムーンチャイルド』のメロディ自体は使っていません。

 でも、この曲の特にAメロは、一度聴いたら忘れられない印象的な旋律なのです。歌詞の冒頭"Call her moonchild Dancing in the shallows of a river" のところは、主音から3度上の音を挟んでオクターブ上の主音に飛ぶ、静かなバラードには珍しい大胆な展開となっているのですが、これが本当にハッとするほど美しい。

 なんて繊細で大胆で、新鮮な旋律だろう。このメロディに恋してしまった人がいても不思議ではありません。その方の名前は森正明さん。ビリー・バンバンのバンド・メンバーで、『また君に恋してる』の作曲家です。

 ビリー・バンバンの歌でも、坂本冬美さんのカバーでもヒットしたこの曲のサビの部分「また君に恋してる いままでよりも深く まだ君を好きになれる 心から」のところの旋律は、きっと『ムーンチャイルド』にインスパイアされたものだと思います(まあ、当然ながらご本人は何もおっしゃっていませんが)。

 「山谷を乗りこえはぐくんだ君への愛を、静かにそして力強く確かめている」といった内容の歌詞に合うメロディーはこれしかないと思えるほど、ピッタリとマッチしています。やっぱり、これも名曲ですね。


ウーパークイーンの宮殿

2016-07-29 20:00:07 | むしまるQゴールド 2003年度

<むしまるQゴールド 輝きの2003年度 その2>
ウーパークイーンの宮殿  作詞/平方宏明  作曲・編曲/大森俊之  歌/阪口あやや(阪口あや)

 『ウーパークイーンの宮殿』というタイトルから連想されるのは、『クリムゾン・キングの宮殿』(1969年)。そうです。キング・クリムゾンのデビュー・アルバムで、ロック史に残る名盤が今回の元ネタです。

 まず、歌詞を見てみましょう。

 「ウーパールーパーは、本当の名前をアホロートルといいます。その正体は、メキシコサラマンダーというサンショウウオが幼形成熟したものです。でも水が少なかったりとか、何かの刺激で突然に変態し、エラがなくなって肺呼吸するようになることもあるそうです。アホロートルが生息しているのはメキシコシティー近郊のソチミルコを中心とした地域で、アステカ文明の痕跡を色濃く残しているところです。」

といった内容を織り込んでいます。

 よくまあこんなにタップリの豆知識をつめ込んだものだと感心してしまいますが、特にすごいのが「死神から逃げ出した弱虫 月と太陽に食べられちゃったの」のくだり。

 アホロートルはアステカ神話によると、ショロトルという神の化身なのだそうです。ショロトルは、太陽を復活させるために神々が自ら犠牲になった際に、死ぬのを恐れてアホロートルの姿になって身を隠したが、結局はつかまって殺されたのだそうです。

 この話は荒俣宏先生の『世界大博物図鑑 第3巻 両生・爬虫類』に記載されているそうですが、子ども向けにはディープすぎるこのエピソードこそがウーパールーパーと『クリムゾン・キングの宮殿』を結ぶ鍵なのです。

 『クリムゾン・キングの宮殿』に入っている『ムーンチャイルド』の歌詞はこんな感じです。

  あれは月の子 川の浅瀬で遊び 孤独な月の子 柳の木陰で夢見る
  乳白色のガウンをまとい 風に乗って 日時計の周りに石を並べる
  夜明けの幻と かくれんぼしながら 太陽の子の 微笑みを待っている

アステカ神話に描かれたアホロートルのイメージと重なりませんか。

 では、曲を聴いてみましょう。

 まず、『21世紀のスキッツォイド・マン』風のドラムロールから、『太陽と戦慄パートⅡ』風のイントロに移ります。『太陽と戦慄パートⅡ』は同じくキング・クリムゾンのアルバム『太陽と戦慄』(1973年)に入っている曲です。太陽も重要なアイテムの一つですからね。歌に入ってからは、『21世紀のスキッツォイド・マン』、『風に語りて』、『エピタフ(墓碑銘)』、『クリムゾン・キングの宮殿』と、曲の断片が次々と現れます。

 『ムーンチャイルド』以外の『クリムゾン・キングの宮殿』所収の曲を全部使ってますね。もう神わざです。


<番外編>魅惑と疑惑のホテル・カリフォルニア

2016-07-24 11:00:34 | むしまるQゴールド 2003年度

 イーグルスの魅惑の名曲『ホテル・カリフォルニア』(1976年)にも盗作疑惑がありました。

 あまりに似ているとうわさされた曲は、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、ジェスロ・タルのセカンド・アルバム『スタンド・アップ』(1969年)に入っている『ウィ・ユースト・トゥ・ノウ(We Used To Know)』という曲です。

 曲全体のコード進行が同じ上、メロディも随所で一致しています。間奏のリード・ギターへのつなぎ方もそっくり。『ウィ・ユースト・トゥ・ノウ』は6拍子の曲ですが、これを8拍子に置き換えると『ホテル・カリフォルニア』になるような・・・。

 イーグルスがジェスロ・タルの全米ツアーで前座を務めていたことがあることも、偶然の一致とは言えない状況証拠となりそうです。でも、この疑惑はジェスロ・タル側が問題としなかったため、盗作とされることはありませんでした。いやー、太っ腹!


ホタル・カリフォルニア

2016-07-21 08:37:26 | むしまるQゴールド 2003年度

<むしまるQゴールド 輝きの2003年度 その1>
ホタル・カリフォルニア  作詞/亜蘭知子  作曲・編曲/西原俊次  歌/生沢佑一&シーガルズ  ギター/江口・ヨンタナ・正祥

『輝きの2003年度』、いよいよ最後の年度になりました。最初の曲は『ホタル・カリフォルニア』。久々に架空企画会議でお届けしたいと思います。

「アメリカにね、すごいホタルがいるんだって。フォツリス・ベルシカラーっていうホタルのメスなんだけど、他の種類のホタルのメスをまねた光を出してオスをおびきよせ、捕まえて食べちゃうんだって。」

「そりゃスゲェや。むしまるソングにぴったりじゃん。元ネタはイーグルス、タイトルは『ホタル・カリフォルニア』で決まりだね。」

「ビデオ・クリップの頭はアルバム『ホテル・カリフォルニア』のジャケ写だな。」

「ギターが聴かせどころだな。江口正祥に頼もうか。今回はヨンタナじゃなくて江口・ウォルシュ・正祥で。」

「う~ん、ボストンもジミヘンもヨンタナのままだったからなぁ。今回もヨンタナでいいんじゃね?そのかわり、バンド名はシーガルズ。」

「ホタルって川の近くにいるんだよね。井上陽水の『リバーサイド・ホテル』もAメロに使っちゃおう。「ホタルはリバーサイド」って歌詞に入れてよ。」

「うん、わかった。そしたらさ、うっかり誘われて食べられちゃうオスのホタルを井上陽水キャラにしちゃおうか。それで、「お元気ですか~?」って言わせんの。」

「いいね、それ。あと、サザン・オール・スターズが1995年の夏にスーパー・ライブ・イン・横浜「ホタル・カリフォルニア」って大イベントやったんだよね。ホタルが飛ぶのは夏だし、夏といえばサザンだし、やっぱリスペクトすべきだと思う。」

「わかった。『涙のキッス』みたいなバラードの曲ならイメージ合うんじゃない?」

「歌詞にも桑田さんテイスト散りばめておくね。「飛んで火にいる 夏色のメロディー」とかさ。」

「よーし、これで決まりだね。それじゃ皆さん、作業開始!」