ご隠居さん:自我や世間の枠にとらわれず、社会の潤滑油となりたいものです。 AI時代は 人間らしい自由な発想がカッコいい

年を重ね、経験を積むにつれ、その時々の思いも変わっていく。その足跡を残しておくために

がん検査

2013年02月18日 | 私生活 雑感
昨年末の検診で、胸レントゲンにカゲあり、の診断。
近くの国立病院のCT検査結果でも、確かに小さなカゲ(7mmくらい)が見られ、気管支鏡検査を行った。
内視鏡の先端から2mmくらいのひっかき棒をだし、組織を採取、不安な気持ちで組織の病理診断結果を待った。
組織が十分取れなかったとかで、経過観察・・・それが、先週のCJ検査で、ほとんどカゲが消えていた。
免疫のせいか?医師もはっきり分からず、とにかくシロということになった。
やれやれ、一安心!

日本人に2人に1人ががんにかかり、3人に一人ががんで死ぬ、といわれるが、がんについては知らないことばかりで、がん宣告で慌てふためくのが普通だろう。
がんとは何か?
「がん哲学」 樋野 興夫著(順天堂大:腫瘍学教授)で、その初歩を学んだ。

「がん哲学」とは、吉田富三(元がん研所長)の「がん学」+南原繁(政治学者)が提唱、「政治哲学」から「がん哲学」と呼び、がんの発生と成長に哲学的な意味を見出し、がんや死と向き合い、生き方を見つけようとする姿勢から、樋野興夫(ひの おきお)教授(順天堂大腫瘍学)が提唱している。

がんは一人ひとり、その性質が全部違う。がんは個別的、個性的であり、良いがん・悪いがんがある。
1センチの早期がん(10億個の細胞)になるには、数年から10年はかかると言われている。
人の人生もどこか似ている。
がん細胞の世界で起きている現象は、人間社会のさまざまな現象に似ており、感動さえ覚える。
細胞の病理から人間社会の病理に思いを馳せる。
樋野教授は、ミクロとマクロを兼ね備えた病理学者。
千のがんの芽があっても、大成するのはせいぜい1ケぐらい。
「がん性化境遇」に恵まれるとがん細胞は大成する。人間もよい環境で時間をかけて育つ。
人間には約3万の遺伝子、そのうち正常な幹細胞で活動している遺伝子は1万くらい。
がん化遺伝子は誰も持っており、肝臓、腎臓など部位によって活動している遺伝子がそれぞれ違う。
どの細胞も同じ遺伝子を持つが、もしも細胞がすべて同じ発現(タンパクを作ること)し始めたら、違いがなくなり大変なことに。違いがあることが正常、人の体は「個性と多様性の統一体」。
現在は、ひよわな「精神的デフレ(萎縮)」の時代、たくましいがん細胞に学ぶことができる。
がんの発生には、必ず原因があり、そして大成していくプロセスがある。
正常細胞は外から内に栄養を取り込むだけ、がん細胞は自分で作れるアミノ酸を出して、必須アミノ酸を取り込む。(give & take)つまり、環境が飢餓状態でもともに生き延びるたくましさを持つ。
閉塞感あふれる企業も学校も病院も、犠牲を伴う「真の社会貢献」が求められる。過保護の子供たちにもあてはまること。

がん細胞は、自分を変えて転移する(痛みを伴う改革?)
がん細胞の特徴:
置かれた環境に応じ、自由に表面(顔つき)を変化させ、それゆえ転移が可能となる。“郷に入っては郷に従え”→“私もがん細胞のようにしたたかに生きたい!”
正常細胞は、別の臓器に行くと、ほとんど排除される。
転移先の臓器には、それぞれの環境・固有の文化がある。がん細胞は、それを身にまとい、新しい場所、環境にとけ込む戦略・戦術をもつ。さらに、自分に都合の良い環境を作る能力を持っている。(新しい血管を作り、増殖に必要な栄養を補給)
自分の酵素(タンパク分解)により、周囲の組織を破壊し、勢力を拡大。また、正常細胞とのコミュニケーションをブロックし、そのコントロールから外れる。(ギャング、暴力団と同じか)
がん細胞を治すイメージは、社会の中で「がん化」暴力団など社会の悪の排除・矯正と同じ!
がん化は、正常細胞の「起始遺伝子」の異常でスタートする。(扇の要)
がん抑制遺伝子が能力を失うと、細胞は増殖に向かい、一方、がん遺伝子が活性化されるとがん化の能力が出てくる。健全な生体システムは、円ではなく、定点を2つ持つ楕円のごとし。

がんの成長は、階段を上るごとし:(発がんの3ケ条)
「起始遺伝子異変」→初期病変→臨床がん(個性、多様性をもつ細胞集団)
*出会いを経験する度に質的変化し、成長(転移・増殖)し続ける。

がんの成長過程は「連続」しているように見えるが、特異点で「不連続」が起きている。
人も、出会いなど何か大きな特異点(体験)を経て、大きな飛躍、質的な変化が起きる。
競争的環境の中で、「個性に輝いた」がん細胞は生き残っていく。それらは強者である。
がん細胞にも、外界に大きく依存しているものと、外界にはそれほど依存せずに生きているものがある。
日本の開花は外発的(夏目漱石)、現在の政治・社会も外圧主導であり、現代の病理現象に通じるテーマだ。

相反するものが同居:楕円形の真理
生物の体には、対極的な働きが同居する。
がん遺伝子⇔抑制遺伝子、交感神経⇔副交感神経etc.
「真理は真円にあらず、楕円形(相反する2極)である」(内村鑑三)
派閥、仲良しグループが過ぎると、自浄作用が働かず、組織が崩壊に向かう。(ユダヤ主義では、「全員一致は差し戻し」とか)

組織を活性化するためには、異質のものを許容することなど、形成的刺激(刺激が、がん細胞を増殖させ、細胞分裂を起こす説)が大切である。⇒欧米の2大政党による民主主義(理想?)

2012年1月末、「がん哲学外来」の実践を全国の医療現場に生かそうと、「がん哲学外来市民学会」が設立された。医療者による治療に対し、患者と家族の不満がとても多いという現実を、少しでも改善して行って欲しい。

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