原子力エネルギー問題に関する情報

杜撰で不経済極まりない原子力政策が、生存権を脅かし環境を汚染し続けていても、原発推進派の議員を選挙で選びますか?

25年後もなお残るチェルノブイリの影響:キノコのセシウム137

2011年03月30日 | チェルノブイリ原発事故関連
ドイツでは、連邦環境・自然保護・原子炉安全省(以下BMU)が、環境やエネルギー政策を包括的に主導しており、関係省庁との横のつながりも緊密である。

一方、日本の実態は、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さん@iidatetsunariの以下のTweetに見て取れる。あらゆる政策における縦割りの弊害の典型例だ。


知られていない原子力ムラの掟。経産・電力と文科・JAEA(旧動燃・原研)とはお互いに不可侵の不文律があり、今回の未曾有の原発大事故でも、数千人もいるJAEAの技術者・研究者は口も出さず活用もされず。せめて放射線技術者(放医研・理研を含む)は汚染モニターに動員したら? 11:43 PM Mar 23rd TweetDeckから

ドイツでは例えば、廃棄物政策にしても、日本のようにごみの発生元ごとに担当官庁が縦割りになってなどいない。廃棄物すべて、すなわち放射性廃棄物もすべて管轄しているのだ。行政がごみの全体像を把握していなければ、効果的な削減対策の講じようがない。これは、すべての政策にいえることだ。

BMUの下位官庁には、連邦環境局、連邦自然保護局、連邦放射線防護局があり、BMUと同様、博士号を持つ人材も豊富な専門家集団で、日本の霞ヶ関のように2~3年周期で異動などなく、長年じっくりと責任をもって政策に取り組んでいる。4年で政権交代があっても、彼らが政策の全体像や経過をしっかりと把握しているのだ。

放射線防護に関する法令を比較しても、ドイツでは原子力法の下に、連邦環境省管轄の「放射線防護政令」と連邦労働省管轄の「レントゲン政令」あるだけだ。一方、日本には「原子力基本法」の下に関係する法律が5つ、その下に政令が10以上あり、それぞれ管轄する省庁が異なる。そして、これらがすべて前のエントリ「原発関連団体は天下りの巣窟だった!」にある天下り先関連団体につながっているのだろう。

前置きはこのくらいにして、1800ヶ所で放射能測定を行っている連邦放射線防護局のHPの「電離放射線」の項には、25年経った今でも南ドイツに残るセシウムの影響のため、キノコの流通制限をしている情報が載っている。

ドイツの専門家がラジオで、福島の原発震災では局所的なプルトニウムよりも広範囲に拡散するセシウムのほうが問題だと述べていたほどである。チェルノブイリ原発の事故後、ドイツ全土で特にヨウ素131とセシウム137の調査が徹底的に行われた。

ちなみに、ドイツの公共テレビのニュース番組では、日本から送られてきた魚の放射能抜き取り検査で、ストロンチウム、セシウム、プルトニウムを測定していた。

以下のドイツのキノコの情報が、日本での野菜のセシウム汚染の判断の参考になれば幸いである。


キノコのセシウムCs-137連邦放射線防護局のHPより抄訳)

ドイツでは600Bq(ベクレル)/kg以上のキノコの流通は認めていない。(個人消費には適用されない)

8万Bqの摂取がほぼ1mSv(ミリシーベルト)に相当。

例えば、200gのキノコが4000Bq/kgだったら、0.01mSv(10マイクロシーベルト)
この値は、フランクフルトからカナリア諸島(ドイツ人がよく休暇に出かけるスペイン領の島)までの飛行時の被曝量に相当【抄訳ここまで】

ここで、矢ヶ崎克馬(琉球大学名誉教授)さんからのメッセージ(3月24日)の重要な部分を抜粋引用しておく。

飛行機に乗った時の被曝といえば宇宙線による被曝です。
日常受ける被曝には様々な原因がありますが宇宙線がかなり寄与しています。
宇宙から飛んでくる放射線は透過力が高いものです。
透過力が高いということは物質(身体)との相互作用が少ないということです。

放射線が身体を突き抜けるということは、突き抜けた放射線は相互作用しなかったということです。
内部被曝する場合は相互作用の非常に強い放射線(アルファ線、ベータ線)にも
被曝することになります。比較する土台に共通性のない比較です。
このような発表をする人には、内部被曝の危険性を勉強してくださいと言いたいものです。


参考まで: ドイツのケルン大学ライン環境研究所によるCs-137の拡散シミュレーション →中央の画像をクリックし、必ず説明(ドイツ語と英語)を読んでください!