Twitter:tadzi0さんのつぶやきで、 2007年8月23日付の日本弁護士連合会(以下、日弁連)による
「原子力発電所の制御棒脱落事故隠蔽問題に関する意見書」のPDFファイルが紹介されていた。
まずは、日弁連のHPにある、以下の「本意見書について」をお読みいただきたい。
【以下転載】
本意見書について
北陸電力は、2007年3月15日、志賀原発1号機において1999年6月18日に制御棒5本が抜け、臨界事故が発生していたことを公表しました。そして、この事故の公表をきっかけに、沸騰水型原発を持つ他の電力会社においても、同様の制御棒脱落事故が10件も起こっていたことが明らかになりました。
これらの極めて重大な事故が完全に隠蔽され、根本的な安全対策を取られることもなくこれまで放置されてきたことは、原発の安全規制システムの欠陥を示すものとして極めて問題であり、以下の通り意見を述べるものです。
1. 国及び電力会社は、原子力発電所の制御棒脱落事故について、構造的欠陥の有無の検討を含め真の原因を究明し、このような事故の再発防止を期すべきである。
2. 国は、隠蔽行為をした電力会社には、その重大性に応じ、原子力発電所の設置許可取消を含めた厳正な処分をして、監督責任を果すべきである。
3. 原子力安全規制機関は、原子力推進官庁から独立した機関とし、かつ、安全規制を実効あらしめるための人員面と予算面の措置を講ずるべきである。
本意見書は、2007年9月6日、経済産業省に提出しました。【転載ここまで】
さらに、tadzi0さんのつぶやき(5月23日)
ここに列挙された「事故・トラブルの隠蔽、データの改ざん・偽装・捏造などの不正事例」は、「主な」「内部告発で発覚したもの」ですから、一部に過ぎず、氷山の一角 なのでしょう。
1999年6月に発生していた臨界事故について北陸電力が公表したのは、なんと2007年3月になってからである。そして、この公表をきっかけに、他の電力会社においても同様の制御棒脱落事故が10件も起こっていたことが明らかになったのだ。
このような経緯でしか事実が明らかにならないということは、公表された事故は氷山の一角に過ぎないのではないかと、私も疑念を抱かずにはいられない。
実際、一応は報道された事故に関しても、今年の1月29日に九州電力川内原発1号機で7人が死傷した「大事故」について、ライターの恩田勝亘氏が、九電川内原発7人死傷事故― 許されない談合決着(上)・(下)で、「事故は隠せ」という長年の電力会社の悪癖や明かされない真相について書かれている。
最近の例では、4月12日の当ブログでも紹介した中国電力の点検漏れは123ヶ所だった(中電が3月30日発表)が、一ヵ月後には、なんと1665件になった(読売新聞4月30日付)。この間に、点検漏れ対策担当だった中国電力の部長の命が失われている。そもそも原発2基で7万ヶ所もの点検そのものが、本当に可能なのだろうか。
とにかく、この日弁連による意見書には、健全なマスメディアならば大々的に報道するはずだが、日本では意図的に知らされない内容が、見事に凝縮されている。以下に、ほんの一部を引用するので、是非全文9頁をお読みいただきたい。
複数の制御棒引き抜けという重大な事故が発生し、臨界事故という極めて危険な状態となっていながら、記録等を改ざんまでして隠蔽したという重大な違法行為を行っていながら、上記のように不十分な処分、対応しかできないのは、原子力安全・保安院が、原子力推進の立場である経済産業省の一機関(外局)だからと考えざるを得ず、わが国の原発の安全規制システムの欠陥を露呈するものと言わざるを得ない。
ところで、この意見書は、経済産業省に提出したとあるが、誰が責任者として受け取り、どのように対処したのだろうか。
前回のエントリ「署名活動について考える」にも書いたが、100万筆、85万筆余りの署名を経産省に提出しても無駄だった。おそらく、この日弁連の意見書も同様だろう。
一度始めたらやめられない公共事業と同様、経産省そのものにも政府にも、これまでの原子力政策を変更するための仕組みがないのだ。
14年以上ぶりに運転再開したもんじゅが連日のように事故やトラブルを繰り返していても、誰も即時に止めることができない。
だから、政治家、すなわち国会議員が、新しく仕組みを作るしかない。そのためには、「今の日本の原子力政策を見直し、脱原発を前提としたエネルギー政策に転換する」という議員を、多数国会に送り込まなければならない。
今の与党内には、おそらく原発推進派が多数を占めており無理だろう。小沢環境大臣が、地球温暖化対策法案に原発を追加しても、それを阻止する力はあまりにも弱すぎたようだ。
だが、意見書を読む限り、また意見書後の原発事故に関しても、今の日本の電力会社に原発を任せたままでは、取り返しのつかない事故が発生するリスクがあまりにも高すぎる。
せめて、国会議員を入れ替えるまでに少しでも氷山の全体像に近づけるよう多くの情報を広めるしかない。
私はまず、日弁連のメンバーかつ内閣の一員でもあり、与党内で脱原発を主張する唯一の政党、社民党の党首でもある福島みずほ議員に、この意見書を読んでいただくようお願いするつもりでいる。さらに、Twitterでフォローしてくださっている議員にDMを送ったり、他の議員のHPからメイルを送ったりしようと思う。
意見書のPDFを読まれて、同様の意見をお持ちになった方がいらっしゃれば、是非ともこの情報を政治家、そして政治家を選ぶ有権者に広めてくださるよう、心からお願いいたしたい。
「原子力発電所の制御棒脱落事故隠蔽問題に関する意見書」のPDFファイルが紹介されていた。
まずは、日弁連のHPにある、以下の「本意見書について」をお読みいただきたい。
【以下転載】
本意見書について
北陸電力は、2007年3月15日、志賀原発1号機において1999年6月18日に制御棒5本が抜け、臨界事故が発生していたことを公表しました。そして、この事故の公表をきっかけに、沸騰水型原発を持つ他の電力会社においても、同様の制御棒脱落事故が10件も起こっていたことが明らかになりました。
これらの極めて重大な事故が完全に隠蔽され、根本的な安全対策を取られることもなくこれまで放置されてきたことは、原発の安全規制システムの欠陥を示すものとして極めて問題であり、以下の通り意見を述べるものです。
1. 国及び電力会社は、原子力発電所の制御棒脱落事故について、構造的欠陥の有無の検討を含め真の原因を究明し、このような事故の再発防止を期すべきである。
2. 国は、隠蔽行為をした電力会社には、その重大性に応じ、原子力発電所の設置許可取消を含めた厳正な処分をして、監督責任を果すべきである。
3. 原子力安全規制機関は、原子力推進官庁から独立した機関とし、かつ、安全規制を実効あらしめるための人員面と予算面の措置を講ずるべきである。
本意見書は、2007年9月6日、経済産業省に提出しました。【転載ここまで】
さらに、tadzi0さんのつぶやき(5月23日)
ここに列挙された「事故・トラブルの隠蔽、データの改ざん・偽装・捏造などの不正事例」は、「主な」「内部告発で発覚したもの」ですから、一部に過ぎず、氷山の一角 なのでしょう。
1999年6月に発生していた臨界事故について北陸電力が公表したのは、なんと2007年3月になってからである。そして、この公表をきっかけに、他の電力会社においても同様の制御棒脱落事故が10件も起こっていたことが明らかになったのだ。
このような経緯でしか事実が明らかにならないということは、公表された事故は氷山の一角に過ぎないのではないかと、私も疑念を抱かずにはいられない。
実際、一応は報道された事故に関しても、今年の1月29日に九州電力川内原発1号機で7人が死傷した「大事故」について、ライターの恩田勝亘氏が、九電川内原発7人死傷事故― 許されない談合決着(上)・(下)で、「事故は隠せ」という長年の電力会社の悪癖や明かされない真相について書かれている。
最近の例では、4月12日の当ブログでも紹介した中国電力の点検漏れは123ヶ所だった(中電が3月30日発表)が、一ヵ月後には、なんと1665件になった(読売新聞4月30日付)。この間に、点検漏れ対策担当だった中国電力の部長の命が失われている。そもそも原発2基で7万ヶ所もの点検そのものが、本当に可能なのだろうか。
とにかく、この日弁連による意見書には、健全なマスメディアならば大々的に報道するはずだが、日本では意図的に知らされない内容が、見事に凝縮されている。以下に、ほんの一部を引用するので、是非全文9頁をお読みいただきたい。
複数の制御棒引き抜けという重大な事故が発生し、臨界事故という極めて危険な状態となっていながら、記録等を改ざんまでして隠蔽したという重大な違法行為を行っていながら、上記のように不十分な処分、対応しかできないのは、原子力安全・保安院が、原子力推進の立場である経済産業省の一機関(外局)だからと考えざるを得ず、わが国の原発の安全規制システムの欠陥を露呈するものと言わざるを得ない。
ところで、この意見書は、経済産業省に提出したとあるが、誰が責任者として受け取り、どのように対処したのだろうか。
前回のエントリ「署名活動について考える」にも書いたが、100万筆、85万筆余りの署名を経産省に提出しても無駄だった。おそらく、この日弁連の意見書も同様だろう。
一度始めたらやめられない公共事業と同様、経産省そのものにも政府にも、これまでの原子力政策を変更するための仕組みがないのだ。
14年以上ぶりに運転再開したもんじゅが連日のように事故やトラブルを繰り返していても、誰も即時に止めることができない。
だから、政治家、すなわち国会議員が、新しく仕組みを作るしかない。そのためには、「今の日本の原子力政策を見直し、脱原発を前提としたエネルギー政策に転換する」という議員を、多数国会に送り込まなければならない。
今の与党内には、おそらく原発推進派が多数を占めており無理だろう。小沢環境大臣が、地球温暖化対策法案に原発を追加しても、それを阻止する力はあまりにも弱すぎたようだ。
だが、意見書を読む限り、また意見書後の原発事故に関しても、今の日本の電力会社に原発を任せたままでは、取り返しのつかない事故が発生するリスクがあまりにも高すぎる。
せめて、国会議員を入れ替えるまでに少しでも氷山の全体像に近づけるよう多くの情報を広めるしかない。
私はまず、日弁連のメンバーかつ内閣の一員でもあり、与党内で脱原発を主張する唯一の政党、社民党の党首でもある福島みずほ議員に、この意見書を読んでいただくようお願いするつもりでいる。さらに、Twitterでフォローしてくださっている議員にDMを送ったり、他の議員のHPからメイルを送ったりしようと思う。
意見書のPDFを読まれて、同様の意見をお持ちになった方がいらっしゃれば、是非ともこの情報を政治家、そして政治家を選ぶ有権者に広めてくださるよう、心からお願いいたしたい。