主人公のデイヴはローカル局の天気キャスター(ウェザーマン)。朝、コーヒーを手にしながら、天気予報の身振り・手振りの予行演習に余念がない。
仕事はそつなくこなす彼もプライベートでは曇り時々雨。
離婚した妻に二人の子供。兄・マイケルの方は精神的な病(薬物依存症?)をかかえカウンセリングを受けている。妹・シェリーは訳のありそうなおデブちゃん。
デイヴの母はそんなシェリーを「天使」と呼ぶが、ピュリッツァー賞を受賞した有名小説家の父は「問題児」だと見抜いている。事実、ダンススクール帰りに迎えにいったデイヴから「ノートを買う」と言って貰った金でタバコを買ってしまう。
もうひとつ、パッとしないデイヴにのしかかるのは、よくある話だが「偉大な父親」の存在。デイヴはなんとか認めてもらおうと、自ら書いた小説について意見を求める。妻にはさんざんな評価だったそれの。
また、デイヴの父はふたりの孫もよく観察していて、何かとデイヴにアドバイスする。気のついていない点を指摘され、またまた父に劣等感を感じてしまうデイヴ・・・
ぐだぐだな生活、どうするの? と内心突っ込みを入れながら見てる。
デイヴは元妻ノリーンに未練がある。「そこだ、がんばれ!」思わず肩入れしながら見ていると、彼女に寄り添う男の影が、という具合。ストーリーはなかなか進展しない。
でもこの作品は30代以上の人で、傷の一つや二つ持っている人なら、光の点描で描かれた後期印象派の絵のように脳内に像を結ぶと思う。
やがてストーリーが動き出す。
病院の検査に送って行った父とばったり会ったデイヴは、死に至る腫瘍が見つかったことを聞かされる。
デイヴの胸に強い情念が湧き出す。八方塞がりの彼にとって9回裏のさよなら満塁ホームランに匹敵するのが、全国ネット番組「hello america」の天気キャスターに抜擢されること。父に存在を認めてもらい、ニューヨークで子供たちと新しい生活を始めるための、それはカンダタの糸だった・・・
うまくいかないことも、心から誰彼かまわず感謝したくなる幸運も、両方やってくるのが人生。
若い時分は雲ひとつない青空を望みがちなものだが、雨の上がりかけに薄く日がさしかけた空も悪くない。ちなみに今の時季、紫外線が怖くて曇天がいいとなったら間違いなく中年だ(^^;
爽快ではない。が、再鑑賞に堪える映画。
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