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グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

文藝春秋

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 やや長くなるが、筆者の執筆意図を後書きから引用する。

 グーグルは、強力な広告ビジネスを背景に、古い世界の秩序を壊し、伝統的な企業のビジネスを破壊しようとしている。
 グーグルは、ロングテールによって中小企業を再生させ、新たな市場を創出しようとしている。
 グーグルは、人々の情報発信を手助けし、企業や政府などの強大な権力と同じ土俵に上がらせようとしている。
 しかしその一方で、グーグルはそれら新しい秩序の中で、すべてをつかさどる強大な「司祭」になろうとしている。それは新たな権力の登場であり、グーグルにすべての人々はひれ伏さなければならなくなるかもしれない。

 おそらく、IT関連の仕事をしている人の見方は上記の内容と重なるのではないだろうか。まとめてしまうと以下のようになるかと思う。
 プログラムによる情報検索というダイナミズムによって、情報へのアクセシビリティをGoogleは劇的に変えた。今までなら探せない、探すのに膨大な時間がかかる情報にすぐにアクセスすることを可能とした。この機能の提供によって、個人が発信する優良な(=アクセス数の多い)情報は大企業・政府が発信する情報と肩を並べ、今までならペイしないようなニッチ市場にも広告を打ち、顧客ニーズを汲み上げられるようになった。

 問題はこの先、もう一歩か二歩踏み出したところにある。

 グーグルで検索できない情報は存在しないことになってしまう、ということ。

 著者の佐々木氏はグーグルを「司祭」と絶妙の比喩で呼ぶ。これが「神」にまでなってしまうと行き過ぎだという論が目に付くようになってきた。(例えば文芸春秋6月号「”怪物”グーグルが世界を支配する」)この問題については、項をあらためて書きたい。

 先日取り上げた『Web進化論』と合わせて読むと、Webの現在・近未来が概観できる。なにより、Googleをポジティブに捉えつつ、問題点は問題点として指摘する態度に好感が持てる。
 Web解説本は、まさにWebと相似形で玉石混交で読む価値のない本も数多くある。例えば、否定的な見解しか述べられていない本。やはり、相手を肯定した上で問題点を指摘するのが大人の態度だと思う。
 そういう意味でも本書はぜひ押さえておきたい一冊である。

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