アメリカ側の視点と日本側の視点で、しかもハリウッドで2作品作るという力技。さすがイーストウッドというべきなんだろうな。
おもしろい、おもしろくないで論じるのは違ってると思うが、あまり面白くはない。特に『父親たちの星条旗』(^^;
オープニングは『プライベート・ライアン』かと思ってしまったし、「実際は何もしていないのに写真に写っただけで」ヒーローに祭り上げられてしまった若者たちの数奇な運命を描いてはいるが・・・しいて言えば、心に染み込むものが少ない。
戦争映画というのは、人の死が前提されているから、心の感度を下げて見ているところがあるかもしれないのだけれど。
ただ、この作品を弁護すると、非常に丁寧な作りのいい映画だと思うし、実在の人物をモデルにしてきれいごとだけじゃすまさないということについては、ある種の凄みを感じる。
『硫黄島からの手紙』も、パン屋だった若い兵隊を狂言回しとし、栗林中将、西中佐が高潔な軍人として描かれているだけで、目新しさはない。中村獅童が「イヤな」上官を好演していたな、くらいか。獅童というのはおもしろい役者で、本当にその役になりきってしまうところがすごい。何年か前のNHK大河ドラマ「新撰組!」で、ステスケという馬鹿役の嵌り具合は今もしっかり焼きついている。
ただこちらの作品も、作り手の丁寧な描写を感じた。
敗れた日本側の視点で描かれているせいか、悲惨さは『星条旗』を遥かに上回っており、それがこの二つの映画をセットで見る理由になる。友好的な解決はできなかったのか、そんな思いがこみ上げてくる。
両作品を通じて特筆すべきなのは、音響効果のすばらしさ。そんなによいAVシステムを持ってなくても、ややボリュームを上げてみるとその迫力に圧倒される。
見終えた後、確実な厭戦感だけは残ったかな。
最近増えているという、将来が見えずに「戦争が起こればいい」と口にする若者たちは、この映画をどう見るだろう。
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