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 どうせ見るならIMAXでと思っていたから、超人気でなかなか予約が取れず、昨夜レイトショーでようやく見てきた。よかったよ~!

 まずは話題の3Dシステム。

 さすがに赤と青のセロハンをはったメガネじゃないのは知ってたけど(^^; ゴーグルのような大きなメガネは、光に透かすと左と右でかすかに赤と緑に塗り分けられているのが分かる。原理は昔から一緒。
 まず本編前の予告で度肝を抜かれた。紹介作品は「不思議の国のアリス」。
 出始めということもあって、いかにも3D効果の高い場面が選ばれていたと思うが迫力満点。本編でもすぐ目の前に見える「物体」をつまめそうな錯覚に何度も陥った。

 3D効果はスクリーンが大きいほど高いので、体感したい方にはできるだけスクリーンの大きいIMAX劇場などに足を運ぶことをオススメしたい。それと座席はできるだけ中央で^^


 さて内容はというと・・・
 貴重な資源が眠る惑星パンドラとその資源に目をつけている資源開発会社RDA。その高価な資源を採掘するためには埋蔵地点の森に住むナヴィという種族がジャマ。そこで彼らを移住するように説得するAプランと、武力で彼らを一掃するBプランが同時に進行し、最終的には利益優先の企業の論理が勝つ。そこで組織の論理と自己の良心のはざまで苦しむ主人公、というストーリー設定。
 このあたり本作で監督を務めたJ.キャメロンが2作目をプロデュースした『エイリアン』を彷彿とさせる(乗務員の生命や地球の安全よりも、兵器に転用できそうだという理由でエイリアンを生かしたまま地球へ連れ帰るミッションが極秘に優先された)。

 Aプランの実行にあたり、人類にとって有毒なパンドラの大気(高濃度の二酸化炭素を含む)と、人間とは体格・外観が大きく異なるナヴィに親近感を抱かせるため「アバター=化身」の体に人間の精神活動をシンクロさせるというのが本作の見どころのひとつ。
 このCGで描かれたアバターの動きは、過去のCGキャラクタとは一線を画す見事さ。
 通常、「モーション・キャプチャ」と呼ばれる俳優の演技をCGのボディに反映する技術をキャメロンが「エモーション・キャプチャ」と呼ぶのも頷ける。

 主人公のジェイクは両足の機能を失った退役兵だが、車いすの生身と森を自由自在に駆け巡るアバターとの対比が見事。また、生身の体に危機が及ぶとアバターも「死んで」しまうわけで、この関係も物語によい緊張感を与えている。
 ジェイクは現地の動物に襲われるという危機を村の娘ネイティリに救われ、彼らのむらに潜入するという任務にまんまと成功する。その後幾多の試練を経て、ネイティリと恋に落ち・・・というストーリーはありきたりだが、それに緊張感を与えているのは「生身」と「アバター」の関係。

 体が「生身」のみであれば「引き裂かれ」は精神のみに限定される。つまり「組織への忠誠心」と「個人的な良心」という葛藤だ。このあたりは今まで多くの作品がテーマにしてきたし、永遠のテーマなのだろう。
 一方、「アバター」においては肉体の「引き裂かれ」も起こる。2つの肉体(生身、アバター)に2つ(忠誠心、良心)の精神が宿る。ひとつの肉体に葛藤を宿す場合、もう一方を隠すことは比較的容易だ。が2つの肉体を生きる場合、精神はたちどころに外部に現れて隠すことはできない。
 この点が策を弄するいとまを主人公側に与えない「解決されねばならない分裂」となり、作品を一気にラストへ導いて、温いだけのSFファンタジーになってしまうことから救済しているように見える。

 なお、本作には純粋な娯楽といったポイント以外にいろいろな要素が見え隠れしている。自然との調和がテーマとなることの多い「ジブリ作品」を見てとる人は少なくないだろう。「米国の国益対他国の独立」といった構図は少々露骨に感じた。
 このあたり関心のある方は次のエントリなどを参考にされたい。

『「アバター」が映すアメリカの苦悩』(日経ビジネスオンライン)

 とはいえ、一級の娯楽作品に仕上がっているのは間違いないし、話題の3D抜きでもVFXの見どころは多い。ナヴィの豊かな生態系は本当にリアルだ。個人的には、そこらじゅうを飛び回るハエのような小さな虫に森のリアリティをかんじた。
 また兵士の操縦する2足歩行ロボット(これも「エイリアン 2」を思い出す)や軍用機群と、ナヴィの最終決戦は圧倒的な迫力と悲惨さをもって眼前に繰り広げられる。
 子どもといっしょに吹き替え版を楽しむもよし、CG鑑賞に足を運ぶのもよし。

 最後にtwitterで誰かがつぶやいていた私のお気に入りのジョークを紹介して本エントリを締めたい。
 「カツマカズヨさんがたくさん出てらっしゃいました」(^^;

The ART of AVATAR ジェームズ・キャメロン『アバター』の世界 (ShoPro Books)
ピーター・ジャクソン(序文),ジョン・ランドー(前書),ジェームズ・キャメロン(エピローグ),リサ・フィッツパトリック
小学館集英社プロダクション

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