『国家の品格』 藤原正彦

　読者を説得するため、やや筆が滑るきらいがあるが大目に見よう(^^;)。個人的には日ごろの想いと重なる部分が多い好著。下手にまとめないで、端書きを引用してみる。 「日本は世界で唯一の「浄書と形の文明」である。国際化というアメリカ化に踊らされてきた日本人は、この誇るべき「国柄」を長く忘れてきた。「論理」と「合理性」頼みの「改革」では、社会の荒廃を食い止めることはできない。いま日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神であり、「国家の品格」を取り戻すことである。すべての日本人に誇りと自信を与える画期的提言。」 　とまあ、こんな感じの本である。数学者でもある筆者が論理に限界を感じ、新たな座標軸として思いついたものが日本に古くから根付いている「情緒」と「形」。このあたり、誤解を招くといけないのでわずかでも興味を持った方は一読をオススメする。 　自分が膝を打った箇所。「・・・このように知識や技術は蓄積する。しかし、人間としての賢さとか情緒力は一代限りです。」含蓄のある言葉だと思う。 　ちなみに筆者は新田次郎（好きな作家の一人）の次男だとか。言われてみると、そうかという気もする(^^;)

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