Image、雑文を公開中。
Images In



 オープニングの激しい空中戦の後、欠員補充の新米パイロット、カンナミが着任し基地指令のクサナギに挨拶をする。これが物語の始まりだ。若い兵隊たちの日常を通じて、この奇怪な世界が徐々に全貌を現し始める。

 「キルドレ」と呼ばれる成熟しない子どもたちが「ショー」としての戦争に明け暮れる世界。

 戦死した兵(ユダガワ)の後任として着任した新兵。彼は、ユダガワとよく似た風貌を持ち、新聞を丁寧に折りたたむという同じ癖まで持っている。
 また彼ら(ミツヤとカンナミ)は子どもの頃の記憶までたどることはできない。いつから飛行機に乗り、いつから戦い始めているのか、覚えていないというのだ。彼らはクローン? そしてエンドレスに曲を奏でるオールゴールのように輪廻の輪から抜け出せずに、永遠に戦争に明け暮れる。

 真実に気づいたカンナミは、この世界に疲れてしまったクサナギに「君は生きるんだ!」という言葉を残す。そして彼の父で(という噂はおそらく本当だろう)、絶対に倒せないと言われている敵「ティーチャー」に一人立ち向かう。が、返り討ちにあい、壮絶な死を遂げる・・・
 エンディングロールの後、カンナミの後任が基地に赴任し、クサナギに挨拶をする。

 輪廻の輪から抜け出すにはこれしか方法がなく、カンナミの前にも、後にも同じことの繰り返しになることは容易に想像できる。クローンは父・ティーチャーを超えることはできない。ここにクサナギの苦悩があり、死にたいという絶望の源がある。
 超えられる者がいるとしたら、それは「突然変異体」しかないだろう。

 CGを駆使した空中戦は迫力満点! 主人公の乗機「散香(さんか)」は、未完成に終わった震電という伝説の戦闘機で、ティーチャーの乗機「スカイリィ」は、傑作機とたたえられたアメリカのP-51マスタングにそっくり。第二次大戦中のレシプロ機ファンにとっては涙もの(^^) この空中戦のシーンだけでもマニアにはたまらない。
 ゆったりと間を取りながら進むストーリーは、敢えてアニメじゃなく実写で行ったら、と思うほどの質の高さ。特に、人が無意識のうちにやってしまう仕草にこだわったという印象を受けた。

 強いて欠点を挙げるとすれば、「ショーとしての戦争」の説得力の弱さかな。というか、ここが物語の基盤だから突っ込めるようでは困るのだけれど。
 クサナギ曰く、「戦争はいつどんな時代にも無くなったことはない。それは、地上のどこかで誰かが戦っているという現実感が、人間社会のシステムには必要・・・」
 ここで言われている「現実感」を持っている日本人がどれだけいるだろう?
 言いたいことは分かる。「戦争」から「平和」を逆照射することにより、日常や平和の尊さ、人生の意味を見つけてください、ということだろう。しかし・・・
 このあたり、映画の中ではしょってしまった可能性があるので、原作にもあたってみたい。

 押井ファン、CGクリエーター、軍用機マニアにオススメしたい作品です(^^)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« フェルメール... 『チーム・バ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。