夢現（ゆめうつつ）再び

また爺やに、貸切りをお願いしてしまった。
また爺やは、昔の知り合いを使ったようだ。

一時期迎賓館などにも使われてきた有名な朝香宮邸だ。
普段は一般公開されている。美術館になっているのだ。
建物自体が美術品である。
その部屋の内装も所謂アールデコ。
それから、その庭園のすばらしさ。
そう、ここは東京都庭園美術館なのだ。

建物が近づいてくる。おお、瀟洒な建物だ。



もっと近づく。



正面。空と雲が、マグリットの絵のようだ。



後ろを振り向くが貸切りなので、だぁーれもいない。少しさびしい。





さて、入ります。





中はギンギンにエアコンが効いている。涼しい。
なんだか悪いなぁ、俺１人の為に。
まして、省エネが声高に叫ばれている時代に。
と思ったら、実は今ここで開催されている展覧会の展示作品保護の為に、エアコンを効かしているのだった。
「お坊ちゃま、なんでも自分のためだと思う、ジコチュウな考え方はいけませんよ」
と、爺やにたしなめられた。
「そうだなぁ、世間知らずなんだよなぁ。それにしても爺や、ジコチュウなんていう言葉をよく知っているなぁ」
「お坊ちゃま、新しいことに関心がなくなったらお仕舞いですよ」
「そうだ！　爺やのおっしゃるとおり」
爺やは、少し満足そうな顔をした。
ジコチュウなんていう言葉は新しくも無いが、それは口に出さなかった。



展覧会はこれでした。






という、夢を見ました。