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廃棄物彩生処

主にジムニーの廃品利用による改造、メンテ、及び4×4トライアル競技などを掲載する場として・・・・!

ジムニートランスファ変更

2009年01月12日 | トランスファ
 知人から依頼での、ジムニーJA11トランスファを低速タイプのSJ30用に交換し、これに2本シフトレバーを組込むこと、について取り組んだ。

主な製作・作業としては、以下の3項目が必要となる。
①2本シフトレバーの作製
②トランスファを分解し、操作ロッドのインターロック鋼球の除去
③プロペラシャフト連結用フランジの対応

①2本シフトレバーの作製

 まず、2本レバーの作製では、30用など旧タイプのレバー2本を使って、半割のレバー2本を作るのだが、これについては以前の試作品があるので、これを流用することとした。 (当ブログの2007-05-14参照)

 なお、この2分割レバー作製に当たっては、極力レバーのガタつきがないようにするため、各部寸法をきっちり加工した。この結果、セット用のスプリング押さえキャップのセットがし難くいことから、これを改善すべくキャップ上部に溶接盛りつけにより突起を設けた。これはキャップを押し込んで回転させるときに手が滑らないようにするものある。 金もない、力もない(あんまりいい男でもない)自分にはこのレバーのセット工程が最も嫌な作業であるので・・・・!

 2本レバーは遊びが少なく、シフトフィーリング善し、ケースセットは力がいらず結果はすこぶる良好だぁ~

 押さえカップへ付けた突起

②インターロック鋼球の除去

 次にインターロック鋼球の除去だが、これはTFケースを3分割に分解しなければ除去できない。
(フロントケースのみ外し、2W/4Wシフトフォークシャフトを引き抜いて鋼球を除去することはできるが、同時に必要な鋼球が外れてしまい、3分割にしないとこれをセットできない)

 下図は、分解前の30用TFで、画像ではきれいに見えるが実物はアルミ粉が厚く付着し、また滲みオイルの固着がひどく、これらの除去・清掃に相当の労力と時間を費やした。これは機能的には何ら関係ないのであるが、そのままにできない性分で、いつものことだが余分な時間を費やしている。

 改造前のSJ30用TF、旧型

 鋼球除去が済んで、ケース合わせ前の状態

 この30用TFのガスケットは、液体ガスケットであり新型JA11用のペーパーガスケットと異なる。

 分解・組立の注意点は種々あるが、ここではワンポイントアドバイス?として・・・!

 リヤアウトプットシャフトの後端に挿入されているスペーサスリーブには、スピドメータードライブギヤとの接面に大きなOリングが入っている。これは細いので見落としやすいので組立時に注意する必要がある。
 このスリーブは、組立完了後に外からでもセットできるので、そうする方がよいようである。

 注意すべきOリング

 組立完了

 2本レバーを組み込んでの完了品

③プロペラシャフト連結用フランジの対応

 最後に、プロペラシャフト連結用フランジの対応だが、その必要理由は、
・30用TFのプロペラシャフトとの連結用フランジ3個の内、ミッション側とフロントデフ側の2個は、ボルトピッチが小さくJA11プロペラシャフトと連結できない。
 フランジボルトピッチ(対角)は
   JA11用=79mm 、SJ30用=73.5mm  
・シャフト径がJA11用より細く、JA11用フランジが組み込めない。

 ただし、リヤドライブ用はセンターブレーキ(駐車ブレーキ)装置を取り外して、そこへJA11用フランジ(リヤ用)を組み込めばよい。スプライン径が同じなのである。

 この対応としては、通常は適合する特注フランジに交換するのだが、ヤフオクで送料込み¥6,000程度を要する。
 このため、廃棄パーツを持つ彩生処としては安上がりな方法として、プロペラシャフトのフランジヨークをJA11用に組替えすることで対応することとした。
 このフランジヨークの組替えは、以前に経験があり容易であることが分かっているので・・・・。 (当ブログ:プロペラシャフト・フランジ組替え 2008.11.10参照)

 フロントドライブ用フランジヨーク交換済み。下は外したJA11フランジヨーク

 ミッション側については、今回の作業の中で種々のプロペラシャフトを比較する中で、JA11用とSJ30用はフランジボルトピッチ以外は同じで互換性のあることを発見した。
 よって、最も簡便な方法として、SJ30用シャフトをそのまんまで取替・利用することとした。

 その外観比較画像は、以下のとおり。

 ミッション側プロペラシャフト比較 上:JA11用 下:SJ30用 フランジ以外は主要寸法が同一

 以上で2本レバーSJ30トランスファのJA11仕様が出来上がった。載せ替えは知人がやるので、これで終了だぁ~。
 今回の作業は、清掃と塗装に約半分の時間を費やした。特に他人のものは気遣いするので、時間がかかる。

今回作業で分かったことは

1.30用トランスファの仕様について
 今回改造対象としたTFは、今まで扱ったものと仕様が異なっていた。
・シフトレバーボールシート(レバー球部下のプラスチックシート)が入っていない。
 不足しているものと思い、これを入れたら高さが合わず、寸法・形状を確認したところ、球の当たり面取りがされておりシートが要らない構造であった。



 これまで扱ったTFは下図のシートが入っている。仕様は2種類で
JA11用=高さ9.5mm、 SJ30用=高さ5mm である。

 ボールシート 左:30用、右:11用
  
・スピードメータードリブンギヤ・ケース(スピードメーターケーブルを差し込むケース)がプラスチック製であった。これも初めてであった。
 察するに、今回のTFは旧型の初期型なのか

2.ミッション側プロペラシャフト互換性の発見
  このプロペラシャフト互換性の発見は、今回の大きな収穫だった。

おわり

ジムニートランスファ分解時の注意点について

2008年08月20日 | トランスファ
 これまでにJA11以前のトランスファの分解を10台ほど行ったが、その中には分解時の作業ミスが原因と思われる部品損傷が何点か見受けられた。

 ここでは、下図画像のようなTFケース割れについて紹介する。

 割れをシール剤で補修したケース

 このアルミケースは、3分割の内の後部側ケースで、ケース左側中段から下方に黒い帯状の太線があるが、これはケース割れをシール剤で補修した跡である。

 この割れは、スピードメータードリブンギヤ挿入穴から始まっており、割れた原因は以下のように想定される。

〔想定原因〕 
 ケースからアウトプットシャフトを抜く際に、ドリブンギヤを抜かずにセットされた状態で、シャフトをハンマーで強くたたいたか、或いはプレスで押し抜こうとした。 ドリブンギヤがセットされた状態ではシャフトは抜けないので、ケースが割れてしまった。


 このミスは、トランスファの分解に慣れてくると犯しやすいのである。 自分も2度ほど経験しているが、プレス機を持っていないのでケース割れにはいたらなかったが、ハンマーで強く叩いたことによりシャフトのねじ山部が変形して使用不能になったことがある。


 同様の注意点として、シフトホーク用シャフトの位置関係がある。
ケース分解時は、4W/Hiの位置にした状態で分割するか、あるいはこの状態で2W-4W切替用シャフトを先に抜いて置いて分割する。

 2W/Hiの状態ではHi-Low側シャフトは、インターロック鋼球が効いていて、移動できないためケースの分割ができない。これを無理に分割しようとすると、シャフトに鋼球が食い込んで筋状の凹みが生じて、後々にトラブルの元となる。

 このトラブルの具体例としては、林道ツーリング時にTFがニュートラル状態でロックしてしまって、シフトレバーが動かず。 やむなく林道に車を置いてきた、というものである。

 この時、自分も同行していたのでトラブルの原因を推測し、復帰させようと試みたが成功しなかった。シフトレバーが曲がるほど力を掛けたが鋼球がシャフト凹みに食い込んで動かなかった。


 トランスファだけではない。物を分解する時は構造を知った上で行うことは勿論のことであるが、知っている場合でも通常の力を掛けても外れない時は、力ずくの作業はせずに、そこで立ち止まり一呼吸することが必要である。

 歳をとると物忘れがひどくなることから、これらのことに十分注意せねば、と自分に言い聞かせる今日このごろである。

ジムニーメンテ:トランスファ油漏れ

2008年06月04日 | トランスファ
 先日のJA11Cクラッチのメンテに際し、トランスファのフロント側シャフトからのオイル漏れを修理することにした。

 車体から下ろして、フランジを揺すってみるとシャウトに若干ガタがあり、ベアリング摩耗→オイルシール不良、との診断。

 TF分解に先立ち、このフランジを外したところ、な・なんとオイルシール部からのオイル洩れはな無く、シャフトとフランジの接合部分からのオイル漏れであった。

 フランジ内側からのオイル漏れ


 このTFのオイルシールド構造は、シャフト面にオイルシールが接するのではなく、フランジ軸面に接するようになっている。
 このため、シャフトからのオイルはフランジのセンターナットを締め上げて止める構造である。

 ところが、このフランジ固定ナットの締め付けが不十分であったため、オイル漏れすると同時にガタがあったことが判明した。ベアリングのガタではなかったのである。

 このフランジ締め付けは、おそらく自分がやったと思うがこのナットは締め付け後に緩み止めとして2箇所をカシメるようになっているため、再使用するとナット締め付けが結構固い。また、緩み止めを施すため緩むことはない、とのことから締め付けが適当にしたように思われる。 大いに反省すべき点である。

 以上から、オイルシールとベアリングを交換する積もりであったが、この必用がなくなった。


 なお、このフランジ責め付けナットのカシメを戻す際は、従来、マイナスドライバーを使用していたが、今回、ポンチを使ってみた。 これが非常に良かったので紹介しておきます。 既に使っている方もいらっしゃるとは思いますが、念のため。

 ポンチでナットのカシメ解除



 

ジムニートランスファ2W-Lowのトラブル改修

2008年01月03日 | トランスファ
 先に改造したジムニーT/Fの1レバーによる2駆LOW切替については、2本の操作ロッドの同時移動防止用のインターロック用鋼球を装着しなかったことから、2本同時移動によるトラブルが発生した。
 このトラブルは、レバー操作時の配慮によって防止することができ、また、万一トラブってもレバーでもって復帰することも可能ではあるが、好ましい構造ではない。
 また、構造的改善方法が既に判明しているため、今回これの対策改善を実施することとした。(改修方法はホームページ参照)

 改善内容としては、Low/High切替用ホークロッドの所定の位置に切り欠きを追加し、2本のロッドの間にインターロック用鋼球を挿入するものである。

 このためには、T/Fを車体から下ろして分解~ロッド加工~組立~車体取付の作業となる。今回のT/F下ろし作業は、全て車体の下部側から実施した。


ジョイントを分離した3本のプロペラシャフト及びマフラーを、T/F上げ下ろしに邪魔にならない位置に針金で仮止めした。


・車体取付け用のブラケット2個を取り外す。
・インプットシャフトのプロペラシャフト連結用フランジを取り外す。
 なお、シャフト回転をロックするには、上図のようなローターフォルダーを用いると作業がし易い。
 今回の改造ではアウトプットシャフト(F&R共に)のフランジは外さ無くても良い。(今回は勘違いで上図のとおりリヤドライブフランジを外してしまった)


 H/L切替用ホークロッドのギヤシフトロケーティングスプリング+鋼球を外す。ヘキサゴンレンチ6mm使用。


 T/F分解では先ずはフロントケースを、フロントドライブシャフトを付けたまま外す。
なお、フロントドライブ用ハブはセットしたままでケース分割が可能であり、外す必要はない。ただし、組立時にスリーブを挿入しながらケース接合をする必要がある。


 センターケースとリヤケースを木ハンマーで分割。


 H/L切替用ホークロッドを取り出す。


 H/L切替用ホークロッドにインターロック用の切り欠きをディスクグラインダー+万力で追加加工した。
切り欠き位置は、Low位置決め切り欠きの反対側に。
切り欠き深さ・巾は、既存のインターロック用切り欠きと同じサイズで。


 シフトレバー球部の硬質ゴムシートが経年劣化していると思われるため、ついでに新品と交換した。

《T/F本体の組立》
 T/F組立は、リヤケースを下側として、各パーツをセットし、センターケースを上からかぶせる形でセットした。
・センターケースには2W/4W切替用ホークロッドとカウンターギヤシャフトを、セットした状態で。
・カウンタギヤシャフトの両サイドのスラストメタルには、グリースを塗布し、これの粘着力により両ケースの所定位置に貼り付けておいて、これが脱落や移動せぬよう慎重にセンターケースをかぶせる。
・2本のシフト用ロッドの間に組み込むインターロック鋼球をリヤケースの穴に挿入し、これが脱落しないようなケース角度を保持してセンターケースをかぶせる。
・この両ケース接合時には、フロントドライブ用ハブとスリーブ、及びホークを噛み合わせてセットすることが必要である。
・フロントケースをセットする。アウトプットシャフト内のベアリングにグリス塗布して。
・ケース接合したら締め付けボルトをトルクレンチにて均等に締め付ける。
・フロントドライブ用ハブのサークリップ、ギヤシフトロケーティング鋼球+スプリングをセットする。
・車体取付け用のブラケット2個を取付ける。
・ギヤオイルを注入する。

 以上のとおり改造・組立を完了したT/Fを車体に取り付ける。


今回の作業での失敗事項は、以下のとおり
・今回はT/Fのオイルを抜かずに下ろす計画としたが、スピードメーター用ケーブルの取り外し時に、このドライブギヤを引き抜いてしまったことから、オイル漏れのハプニング・・・。
・フロントケース接合時にガスケット挿入忘れ。
・フロントハブのスリーブ挿入忘れ。
・取り外し不要なリヤシャフトのフランジ外し。

END

ジムニートランスファ改造の改善

2007年09月25日 | トランスファ
 先にジムニーJA11用トランスファの1本レバーによる2W/Low切替機能を追加する改造を行ったが、これがシャフト移動によるシフト異常のトラブルが発生した。(滝汗)
 この改造方式では、2本のシャフト移動に対するインターロック機構を解除することとしたが、これは構造的に欠陥であることが判明した。純正品にはインターロックがかけてあるが、その理由は「予期せぬ外力によってシャフトがスライドするのを防止するため」と解釈して、これの対策として位置決め用スプリングの強化策を講じたのであるが、今回のトラブルを分析の結果、これは素人の全く幼稚な解釈であったことが判明した。

 このインターロックの主たる目的は、レバーで2本のシャフトを同時にスライドしてしまう事態を回避するために設けているようである。構造的にこれが容易に生じるのである。シャフト間の間隙寸法とレバー先端の厚み寸法を勘案すれば容易に解ることなのであるが・・・。
 今回のトラブルによって、その対策を検討しインターロック方法を探り出したのだが、念のため自分の古い資料を確認した結果、同じ方法がメモに記載されていた。平成8年7月27日と几帳面に日付まで書いてある。その事をすっかり忘れていた。歳はとりたくないものである。

 そのインターロック方法は、前記画像の通りである。詳しくは近日中にホームページに詳細図面を付して掲載する予定である。
 ただし、このホームページの図面はエクセルで作成したファイルをHTML変換するのであるが、ブラウザをFirefoxで立ち上げないと見えないので困っているところである。
 このブログ、ホームページ共に、表題に「廃棄物」の文字を使っているが、内容ばかりでなく作成者が廃棄物であったか、と気付いた次第である。

ジムニー前輪駆動への切替装置

2007年07月18日 | トランスファ
 四輪駆動車ジムニーの駆動方式に、前輪駆動(FWD)方式を追加するため、その切替装置を製作したので、ここに紹介する。
 この装置は、1996年に考案し製作したもので、その1号試作機を改造クラス競技車両に組み込んで現在も使用している。試作機でありながらトラブルなく今も機能を維持している。

 試作機をJA11のT/Fにセットした状態

 その後改良したもの。このスペーサープレートに秘密あり・・・?

 
 このFWD切替方式は、後輪プロペラシャフトを切り離す極簡単なもので、トランスファのアウトプットシャフトとプロペラシャフトの接続部にその機構を組み込むものである。以前のジムニーはトランスファアウトプットシャフトにセンターブレーキが設置されていたため、この部分に38mmのスペースが今も残っており、また固定用の4個のボルト穴も残されている。ここを利用することとした。

 若干コンパクトに改良したケース&操作レバー

 これは、機構部をケースに収め、そのケースに後輪プロペラシャフトを断続するハブと操作レバーを組み付けたものである。

 前輪駆動切替方式としては、トランスファ内部で後輪回転をフリーにすることが考えられ、数種類の設計と一部部品収集も行ったが、強度や操作の確実性などに自信が持てず、シンプルかつ信頼性が高い?と思われるこの方式を考案・製作したものである。

 製作に要した費用は、ニードルベアリング購入費と旋盤加工費のみで、1万円程度であった。 (その他の材料やトランスファパーツは手持ち品を活用)

おわり

ジムニートランスファ2駆Low切替

2007年07月10日 | トランスファ
 ジムニーのトランスファのシフトに2駆Low切替機能を付加する改造を実施した。
 そのシフトレバーの操作は、下図②のとおりである。(①はノーマルの操作線図を示す)

    


 この機能を付加するための加工は、操作ロッドの2W/4W切替側にシフトレバーを引っ掛けるための”切り込み”を1個追加するだけでよい。追加位置はHi/Low切替側ロッドをLowポジションとした時の切り込みの真横とする。
 ただし、単なる追加では、2W-Lowシフト時にシフトレバーがフロア枠に当たってしまうため、一般にはフロアをカットしているようである。


 今回の改造はこれを避けるため、3個の切り込み位置をフロント側へ造り替えている。その加工画像が下図である。



上記のとおりフロア当たり防止策を講じたが、実機搭載の結果、今度はフロア後方に当たってしまった。 この対策に悩んだ末、簡単な方法としてシフトレバーを曲げることとした。
 とは云うものの、このレバーはそう簡単には曲がらない。(ヤサ男でも簡単に曲げられる秘法を用いた。 念力か・・?)



 このトランスファを2W-Low切替するには、2本のシフトロッドのインターロック(スライド防止機構)を解除して置かなければならない。これを解除すると、予期せぬスライドによって4駆抜けなどが生じる可能性を秘めてくる。(推測であり、実際にスライドするかどうかは解りませんが、メーカーはこの機構を組み込んでいるので)
 この対策の一つとして、位置決め用スプリングを強化する事が考えられ、具体的には2W/4Wロッド側のスプリングを後期タイプのように”2層”とし、かつ”プレート”を入れてバネ係数を変えることとした。厚さ0.5mm。 挿入厚さはこれが限度である。




ジムニートランスファのワンレバー自在シフト方式の製作

2007年07月07日 | トランスファ
 先日、ジムニートランスファの2本レバーを製作したが、今回は1本レバーで2W/Lowに切替えする改造に再挑戦。10数年前にこの切替改造を行い、超低速トランスファに組み込んだが、試走も含めて使用したことはなかった。この種のトランスファはオークションによく出品されているが、大方の方式はレバーを4W/Lowポジションから左に寄せて前方へ押すものである。(下図②)
 この方式は操作性に優れるが、2本のフォークロッドの移動防止ロック機構を解除するため、駆動系衝撃等で万一、4駆抜けやニュートラルへの切り替わりが生じると、レバーで復帰させることができない。(レバーを抜いて復帰させる必要あり)

 これを改善する方式を思いつき、早速試作し実車搭載による確認試験を実施した。 そのシフトレバーの操作図を下図③に示す。
 その特徴点は、2W-Lowへの切替ができる他、2WのままHi/Lowをスピーディに切替ることができ、また、万一、4駆抜け等が生じてもレバー操作で復帰することができる。

 このワンレバー自在シフト方式の特徴は、シフトレバーの前後移動経路を3列としていることである。中間に経路を設けて、2W/4Wシフト側とHi/lowシフト側へ自由に移動し、自由自在なシフト操作ができるようになっている。
機能は異なるが、トランスミッション・シフトレバーのニュートラルのようなものである。

 ここまで話すと賢明な訪問者は、内部の改造方法は大方検討が付くと思われるため、詳細説明は割愛する。




 実走行試験を実施した結果は、レバー操作が自在にできる事の裏返しとして、今どのポジションにあるのかがとっさに分からない。これは緊張の中で切替えする競技用としては落第であろう。
 改造製作に半日、乗せ替えに半日を費やし、意気揚々と乗り出したんだが、意外に期待外れであった。 機能的には優れた方式だと思うんだが・・・(T_T)
 ただし、操作に慣れてくれば問題ないとも思われるので、このまま我が愛車JA11Cで使用することとした。


 今回の試料トランスファは2型であったが、年代によって細部に違いがあることが分かった。気付いた点は以下のとおり。
 ・最新型のフォークロッドのロック用スプリングが2W/4W側は2層である。
 ・Low/Hi側のスプリング締め付けボルトが当初は、6角ボルトである。
 ・オイルドレン、同注入口が、当初は6角ボルトである。その後6角穴付きボルトに変更。
 ・オイル注入口周囲の形が異なる。
 ・切替用のスプラインスリーブ(大きな円環)の形状、材質(色)が異なる。
 ・オイルシール(インプット、アウトプットフロント)の形状が異なる。
 ・4W表示センサーのリード線色やコンパウンドが異なる。最新型はリード線引き出し部にキャップが用いられている。
 ・操作レバー先端の形状が丸形→角形へ
 ・操作レバーの握り部が数回進化している。

 これらの変更については、いずれも互換性があり特に気にする必要はない。






ジムニー用超低速化トランスファ

2007年06月09日 | トランスファ
 ジムニー用超低速化トランスファを10数年前に試作したが、一度も使用せずに放置していたが、今回活用すべく分解して内部確認をした。カウンターギヤの軸偏心による回転振動が懸念されたが、それは起きにくい加工が施されていた。自作したにもかかわらず、その加工方法をすっかり忘れていた。試作検討段階で種々の案を考えたが、その中でも軸偏心し易い案が記憶に残っていたようである。分解してみてその方式に我ながら感心した。
 
この超低速化トランスファの改造部品は市販されており、加工方法は異なるものの、基本的には同じ方式である。
この方式は、カウンターギヤをJA11とJA51のものを組み合わせて加工するもので、51用カウンターギヤのハィギヤを旋盤で切り落とし、ここへ11用カウンターギヤのハィギヤのセンターをくりぬいてはめ込んだもの。
 この組合せによる減速比は、以下のとおり。
  Hi レンジ = 1.581
  Low レンジ  = 4.163

 以前に某ショップ市販品を写真で見たが、これは51用と11用のカウンターギヤを軸の中央で切断し、溶接接続せれているようだが、これは軸偏心対策が難しいと思われる。これを避けるため、より偏心が起きにくい方式を採用したのである。

 これの製作には、JA11、JA71、JA40いずれかのトランスファを1台用意し、JA51用カウンターギヤとアウトプットローギヤを購入すればよい。
費用はパーツ代1万円程度+旋盤加工費でok。

素人のためてんぷら溶接ビートとなっているが、接合面に鋼ピンを数本打ち込んであるので、強度的には問題ない。



トランスファ2本レバー

2007年05月14日 | トランスファ
 SJ30用トランスファ(旧タイプ)のレバーを2駆/4駆切替と、高速/低速切替をそれぞれ個別のレバーで操作出来るように改善することとした。このためには、レバーを2本にする。

 この2本レバー方式は以前にも発案したが、転倒時のゴムブーツからのオイル漏れ対策が困難なため断念したが、最近、この方式を採用している車を拝見したため、挑戦することとした。

 レバーを2本用意して、半割形状に削ったが、いざセットの段階で種々の問題にぶち当たった。
 先ずはスプリングは新タイプT/F用を用いることとしたが挿入に手間取る。スプリングは入ったものの、カップ状の押さえ金具が入らない。悩んだ末に割りを入れることとした。更にゴムブーツだが、上部をカットして無理やり押し込んだ。

 これをT/F本体にセットした結果、ガタつきも思ったより少なく良好な仕上がりであったが、問題がまた1つ。本機は低速側シフト時は、4駆切替が抜けないように鋼球によるインターロック機構が組込んである。この機構を外すには本体を分解しなければならない。

なお、旧型のトランスファのケース合わせ目のガスケットは、液体パッキンを使用するため、新型のようにペーパーガスケットを準備する必要がない。

 ところで、新型T/Fのガスケットだが、分解毎に新品に交換するのがベターだが、これまでの経験から破損がない限り再使用してもオイル漏れはしない。オイルシールも劣化品は別として、有害な変形をさせなければ再使用しても問題ない。