さりぎわの歩き方>著者:中山知幸
第101回文学界新人賞受賞作
人にとってそれぞれの青春、というものはいったい、どのように始まり、終焉を迎え去っていくのか。
青春のほろ苦さ、オールディーズはもう戻らない。
主人公の小幡は、東京、広尾の閑静な住宅街にあるシェアオフィスビルで働くライターである
世界中に発信されるニュースをインターネット検索により取り込み、厳選しためぼしいニュースに多少のアレンジを加えて
ニュースサイトに載せる。有料で契約している読者に評価されれば、その成果に応じて所属の主宰するニュースサイトから報酬が
与えられるというのがその業務である。
このシェアオフィスビルのおなじフロアでは小幡と同じ29歳の男たちが他に3名、パーティーションで仕切られ
たブースでまったく異なる仕事をしている。そのひとり鈎笹は地方にある旅行代理店の東京支店を切り盛りして
いる。鈎笹は「青春を謳歌する夏ツアー(合コン)」を3名に持ちかけ、他で募った4名の女性も参加すると盛んに営業を
かける。じつは小幡には披露宴でBGMにどの曲を選ぶかで悩んだりする、おなじく29歳になる婚約者アヤが
いる。結婚すれば自由な独身に別れを告げなくてはならない、合コンだから独身生活の最後に女性との一夜の
アバンチュールを楽しめるかも知れない。アヤには適当な口実をもうけてツアーに小幡も無論応じる。
やがてツアー当日、青春本番のはずがそうやすやすと事は運ばない……。
小幡は自分の仕事に関わってくる元小学校の教師で、学生時代の同級生今村がいた。今村は生徒への猥
褻行為の冤罪を晴らし名誉挽回を勝ち得たが、その後運命に翻弄され、ついに拘置所で自殺する。
今村の死を事件として書くことを契機に、主人公小幡には更にノンフィクションライターとしての道が開
けようとしている。
ここでは取り上げなかったが、この作品には「いまどきまっとうな青春小説」というタイトルの本が度々登場す
る。時の経過に比例して書店での売り上げが急上昇し、やがて大ベストセラーになる。もちろん作品中の本だが
作者の主張を代弁する隠喩としての役目を果たしているのだろう。加えてこの小説のタイトル
『さりぎわの歩き方』から推して“青春の去り際”ということは、明らかであろう。それならば青春に関しての記述
があまりにも希薄である。
月刊文学界12月号(文芸春秋)
に掲載された全文にもとづいたものである。
ましてや人生のさりぎわは美しくありたいものの、ひとそれぞれの終焉が待っているので、よほどその散り際はむつかしく思えます。
営業では、去り際の鮮やかな後輩がいましたよ。
話に余韻のある内に退席するのです。
もう少し話したいなぁと思える、思わせる術を心得ているのでしょう。営業の業績も挙がっていました。
ファミレスで接客の店員は、腰を落として座った顧客と同じ目線で話していました。
大事で難しいもの
清原が大阪・関西に帰ってくる
彼の故郷。“岸和田だんじり祭り”に来年はオリック
スのユニホームで飛び入り参加を期待するファンも多
いかも。亡きおおぎさんに「花道は作ってやる帰って
来い」と言われたとコメントしていた。去り際を用意
してあると清原はとったんでしょうね。