キューピーヘアーのたらたら日記

ガンバレ日本!!!TB&コメント大歓迎♪

一平ちゃん

2006-08-16 17:01:25 | 雑文
今日、精神病の大先輩Aさんのアパートに遊びに行った。

部屋は僕が来るので気を使ったのであろう、

きれいに整頓されていた。

奢ってくれると言うので、近所の中華料理屋で

冷やし中華をご馳走になった。

部屋に帰るとAさんは、ギターを弾き始めた。


Aさんはギターが好きだ。

毎日、7時間練習している。

(朝6時から9時まで、パートの仕事を終え、2時半から6時半まで)

もう、30年も練習している。

入院していた頃は、乾燥室で弾いていた。


町金融で借金をし、貯金とあわせて、

300万のギターと180万のギターと50万のギターを持っている。

生活費を極限まで切り詰め、余った金は楽譜や教則本を買うのに使っている。

まさに、ギターのために人生をささげたと言っていいくらいである。


Aさんは、四分音符も十六分音符も全て八分音符で弾く。

おまけに、ところどころはしょる。

聴いている方は、演歌なのか、クラシックなのか、フラメンコなのか

わからない。


実はAさんはギターがまだ弾けないのである。

否、正確に言うと「禁じられた遊び」一曲だけ、つっかえつっかえ

しながら何とか弾くことが出来る。

でも、レパートリーはそれだけである。

もう、十何年の付き合いになるが、

一歩も進歩していない。


ギター教室にはいったら?と、

カルチャーセンターに連れて行ったことがある。

でも、初心者と一緒にされるのは嫌だとか、遠いとか、

お金がもったいないだとか、いろいろ理由をつけて行こうとしない。


Aさんは体格もよく、腕力もあり、

入院してたころは牢名主的存在だった。

僕はかわいがってもらい、世話にもなった。

一度、夜中に握り飯を食わせてもらったことがある。

Aさんの握った塩味のきいた大きなおにぎりは最高だった。


Aさんのことを思うと徒労感にさいなまれて仕方がない。


僕がそろそろおいとましようかなと思いながら、

ふと、「夜店の焼きそば 一平ちゃん」があるのを見つけ、

「これ、おいしいやろ。」と言うと、

「持って帰んねの。」

「いいよ。」と言うと、

「持って帰らんとこれやぞ。」と、こぶしを振りかざす。

精神病院のなかでやっていた、いつもの冗談である。


一平ちゃんを土産に、僕はアパートを後にした。


人は誰しも心の病を少しは持っている。

完全な人間なんていない。

僕の放送大学だって、無駄な足掻きと解釈している人もいるだろう。

特に病識(自分が病気だという自覚)がないのが、この病気の特徴だ。

僕の心の闇は、果てしなく暗くて深い。

だが、現在はその闇にふたをし、その上に新しい人生を築きつつある。

多くの人も程度の差こそあれ、同じようなものだろう。


覚えていて欲しい。

心の闇のふたをしそこなった人のことを。

不器用にしか生活を築けないひとのことを、、、。

そして、そんな人たちに優しい言葉をかけて欲しい。

その言葉は、あなたのなかにある言葉ですよ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« プリティ・ヘレン | トップ | ヒトラー~最後の12日間~ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

雑文」カテゴリの最新記事