
さて、前回は「次のエントリをどうぞお待ちくださいますように」と書いて終わりまして、実際にお待ちいただいていた、一部の奇特で酔狂かつありがたき読者の皆様、お待たせいたしました。
さんふらわあ しれとこの旅もいよいよ後半戦。
外洋を走る船にしては今回は全く特別で、恐ろしいくらい全く揺れません。べた凪の航海途上であります。
時間軸を2025年5月30日のお昼頃に巻き戻してご覧ください。
そして前編、中編なんか見てねえよボケとおっしゃる皆様は、どうぞこちらからご覧くださいますように。
いきなり余談なのですが、この「~くださいますように」という言い回しがとても大好きで、こうした旅行記の折によく僕も使っているのですが、この言い回しを昔、テレビ中継で使っていらした方がいらっしゃいまして、それがフリーアナウンサーでもとラジオたんぱアナウンサーの小林晧正さん。
千葉テレビの中央競馬ワイド中継とか中央競馬ハイライト等でよくお見掛けした顔とお声は、今でも脳裏に焼き付いて離れません、
もともと競馬実況のアナウンサーをなさっておいでで、実況が実際に音源として残っているのは、ハイセイコーの引退レースの有馬記念でしょうか。1974年の有馬記念、優勝はタニノチカラ。
競馬の血統にとても詳しく、これはどこかのラジオか何かで拝聴したのかもしれませんが、「僕はおしゃべりではとても勝てなかったから『違う何か』を勉強したの。それが血統だったんです」と、本かな? ラジオかな? どこかで見聞きした覚えがございます。
とにかく言葉の選び方がとても繊細で、馬に対して失礼な言い回しは絶対に使わなかった方で、馬に対して失礼な響きのある言葉は、たとえレース名に織り込まれていても絶対に口にしない、強いこだわりと誇りをお持ちの方で、僕が大好きなアナウンサーのおひとりでもあります。
え~。
余談はさておき。
余談をしなければいけないほど、船の中は暇なんですよ。
そうなんです。
船旅はだいたいこれで、時折スマホの電波が入ればついついネットを見ながら暇をつぶすくらい自由な時間を持て余すのですが、本当に何もないのです。

一応、ドライバーズルームの娯楽室と一般エリアの軽食コーナーでは、テレビが見られるからご自由にどうぞ…とあるのですが、ぴしゃりと消されておりまして、これがまた静寂が保たれるといいますか、共用のテレビなので、ついてしまえば映像がその場の空気を支配してしまう。ならばお互いにテレビをつけなければ平和が保たれるという絶妙なパワーバランスなのです。
ましてや今回のさんふらわあ しれとこのお部屋には、テレビモニターなどというものはついておりません。
そこには誰にも支配されない自由な時間が流れているということですね。
なので、とりあえずまあ飲みますわねw

お酒は深夜から朝5時までは売り止めをされているので、それ以外は待ってましたとばかりにいろんなところで買えますw
ここは気仙沼沖あたりだったかな。
時間は午前11時ほど。もうすぐ岩手県にさしかかろうとしております。

窓の外は相変わらずの曇天。
双眼鏡は持ってきたのに、なかなか出番がないのがなんともはや。
しかし陸が見えた時は重宝します。あと船と反航したり追い抜いたりしたときですね。

軽食コーナーは窓際のお席がちらほらと埋まっておりまして、パソコンを持ち込んで仕事に勤しんでおられる方、読書にふける方、スマホで映画をご覧になっている方など、様々な過ごし方で、実に何もない自由な時間が過ぎていきます。
べた凪で適度な振動がある図書館のような雰囲気さえ漂います。
そうだろうなと思って、今回はさすがに僕も文庫本を持ってきました。某東京都知事に関する文庫本ですね。出版されたときに話題になったと思いますが、当時は某コロナ野郎がはびこっていた時期で、なかなか読む機会がなかったのでこの機会に…ということで持ってきました。
というか、春先から読んでいたのですがボリュームがあってなかなか読み切れない。やっぱり十数分ごとに乗り換えがあると本はなかなか読めませんわな(・・;)
それでも今回は小分けにして船の中で200ページくらいは読めたかな。当然飲みながらですがw
ただしこの本、今現在も読了しておりません。
しかも春先についタイトルだけで買ってしまった、結構な分厚い新書本がもう一冊控えておりまして、これはもう1年がかりのつもりで読みます。
たった2冊で1年計画(・・;)
アタマが疲れたら、そりゃもう休憩タイムです。

ツマミには、柏駅高島屋の中に入っていた成城石井で買ってきた、エビの頭チップスを当てがいます。
成城石井だけあって一つ350円と、なかなかいいお値段がするのですが、こりゃなかなか美味しいですね。しつこくなくて。

実にゆったりとした時間が流れます。
時折部屋に帰ってベッドで寝っ転がり、時折部屋からのそのそ這い出して船内を徘徊し、時折サロンコーナーにまた本を持っていきちまちまと文庫本を読み進める。
そうしているとですね、人間は不思議なものですね。
これは最近なぜなのか本当にわからないのですが、何もしてないときに限ってお腹が減るのです(・・;)
これは本当に不思議で、朝からすきっ腹で動き回り、なぜかあまり昼食もほぼほぼ食思が動かないままに夕方からのプライムタイムに突入した方が、下手に朝も昼もがっつり食べるより何倍もキレよく動き回れる「気がする」のですよ。
これはなんですかね。空腹で感覚が研ぎ澄まされるような感覚になるのでしょうか。或いは肉体疲労しているけれど、とりあえず体内で物質を出してやるから動き回れと、身体から内なるサインがでているんですかね。
ただしこれは諸刃の剣、素人にはお勧めできない…という言い回しが、ブログ黎明期の2004年あたりにはまだ使われていたと思うのですが、死語ですね。
これは本当に諸刃の剣で、仕事スイッチがオフになった瞬間に腹が減る。
腹が減ると夕食をついつい一品くらい追加したくなっちゃうからスーパーに寄っちゃう。
2パック以上で安売りしているお惣菜に手が出る。ついでに余計なものも買ってしまう。
そうすると、自然とお札が財布の中から1枚消えているんですな。
え~。
そろそろお昼に致しましょう。
船内の自動販売機コーナーの案内表示もございます。

というわけで、ああ麗しの冷凍食品の自動販売機の前までやってまいりました。

さてさてなにがあるのでしょうか。
ビビンバに、野菜カレーにタコライスですか。

パスタにカツサンド。

ナポリタンにカルボナーラ、これもパスタですね。
なかなかこれは迷いますな。
というわけで選んだのは、ビビンバでした。

自動販売機の前に専用レンジがあり、メニューのボタンを押せばビシッと温めてくれます。

冷凍食品は普段はあまり手を出さないので、どれくらい美味しいのかなと思ったら、これはなかなかしっかりしたお味で、甘辛くてなかなか美味しい。
ちょっと小腹が空いたから満たすにはちょうどいいくらいの大きさで、どうしてもお腹が空いてがっつり食べたいんだと思う向きは、それこそ乗船前にスーパーなどで食料を買い込んでご乗船いただくか、ついでにカップラーメンあたりに手を出された方がよろしいかと思います。
いやーうまかった。
何もしてないから、ある程度小柄なパックでも結構お腹が満たされますな。
ついでなので、食後にパックの牛乳もいただきましょう。
牛乳は水分です。食事ではございません。断じてw

腹ごなしにまたもサロンに入り浸って、文庫本を読みふけります。

嫁さんもサロンの一角を陣取り、旅のメモや御船印帳をいろいろと作成している様子。
嗚呼。
とにかく何もない。
僕も手元にあるパンフレットやお土産品などを整理しながら、思い出したようにまた本を読みだし、飽きればまた横になるという、時間からの解放を思いっきり味わっておりました。
船は全く波で揺れる様子も全くなく、もちろん船舶独特の動揺自体はありますが、そろそろ青森県沖を抜けようかという時間帯に、同じ東北太平洋航路を走るフェリー会社様から、気になる一報が入ってきました。
ひゃっほう/(^o^)\
これによると、明日5月31日苫小牧発仙台行き「きたかみ」は運航するものの最大10時間遅れ予告ですってよ(・・;)
仙台~名古屋間の便も欠航になるなどの予告が出ておりました。
ではさんふらわあの大洗航路だとどうなるのか。
ネットであれやこれやと調べるまでもなく、案内所に紙1枚でボンッと貼ってありました。

折り返しになる明日深夜1時半苫小牧発大洗行き「さんふらわあ しれとこ」は欠航。
これは大洗を明日深夜1時45分発の「さんふらわあ かむい」も同じく欠航になる由。
今日の苫小牧発夕方便「さんふらわあ さっぽろ」については1時間早出し、17時45分に出港予定だから早く港に集まってね…という旨が、公式サイトに上がっておりました。
まだスマホの電波が繋がる状況でしたので、明日深夜23時59分苫小牧発シルバーフェリーの運航予定も確認すると、こちらもこの便に限って遅れの可能性ありという遅れ予告がなされておりました。
さあ来ました。
ついに我々が試される時がやってまいりました。
旅のプロ仕様「さんふらわあ しれとこ」さんが我々を今まさに試さんとしております。
が。
まーあんまりいまから慌てておたおたしてもしゃーねーべや(-。-)y-゜゜゜
今夜の苫小牧発大洗行き夕方便の早出しは、おそらく道中なるべくかっ飛ばして低気圧が発達しきる前に低気圧と離合してしまおうということだろうし、太平洋フェリー「きたかみ」の遅れ予告最大10時間(10時00分着→20時00分予定)というのは「出しますけれども、低気圧の発達状況によれば最大これだけ遅れますから、遅れてもいい人だけ
乗ってくださいね大丈夫ですか最大10時間ですからそれよりも早くなる可能性もあるでしょうけど、場合によってはどこかの内海へ入って停泊して低気圧をやり過ごしますから遅れますけどいいですかいいですか私たちはちゃんといいましたからね遅延承知でご乗船ください…という意味合いと思われ、がっちり10時間は遅れますよ…という意味合いでは出していないと思うのですが、とはいえ、我々が明日乗ろうとしているのは夜行便ですので、到着は6月1日日曜日。
もし太平洋フェリーを予定していたとして、仙台到着が朝10時のはずが夜8時になってしまうと、無理やりにでも仙台駅21時49分発東京行き最終「やまびこ70号」に乗るのは、これはかなりきわどいチャレンジ。
しかも僕は翌朝3時起きで朝6時には京成松戸線沿線の職場で仕事を始めなければならない身。
いくら天変地異は避けようがないとはいえ、遊びで連休を取っていて、休み明け朝6時の仕事に間に合いませんでしたでは、仕事に対するプライドもさることながら、国内旅行であるならある程度の経験値がある僕にとっては、これはもうこうまたろべえとしてのプライドが許さんw
まず10時間も遅れることなないだろうとは思うけれど、遅れ予告があり、同じくらい遅れると…。
まあ、なるようになるさ。
時は5月下旬。
夏至前であり1年で一番日が長い季節は、北を目指しても一向に日が沈みません。
そして青森県沖を出て外海に入ったのに、全く波がなく、怖いくらい静かです。
…いやあ、こりゃあ嵐の前の静けさってやつですか?(・・;)
そうこうするうち…。
見えた\(^o^)/

おお、北海道の島影だ…。
苫小牧から西方向にグッと際立つ山が樽前山だということはわかっているのですが、そっから先の西方向の山々がいまいちよくわからない。
この10年で何度か通っているのに、何度通ってもわかりません(・・;)
外も風がないので外に出てみましょう。
…いやちょっとまって一瞬太陽が見えるかも!


おおっ!
見えました!
この旅で初めての太陽ですよ。
いやあ…。息をのむほど美しい…。
これ全部スマホで撮っていたので、一眼レフなんかお持ちでいらっしゃったら、もう少し幻想的な光景を見られたのではないでしょうか。
これはスマホだから実際に見た目よりはう~ん…。残念。
だんだん日が陰ってきて、窓の外が青くなってきました。

やがて苫小牧西港の中にもう入っているのかな。あたりに近づいてきたのか、船の往来も多くなり、トワイライトのような空の色になってきました。


湾内に近づいたので、下船の時間も近くなりました。ロビーには三々五々下船客が集まっております。
そろそろ我々が一日お世話になった秘密基地にもお礼を言い、下船準備をしたいと思います。

ロビーでは下船準備をしていたトラックドライバーが、案内所の事務員の方か航海士の方かはわかりませんが、「おう、2日休みになってよかったじゃんw」などと会話がとびかっておりました。
嫁さんがサロンで旅の話に花を咲かせていらっしゃった旅の方もおいでになり、こちらは車で同乗で下船される由。
なんでも女性が、御船印を、しかもこの船(プロ仕様w)で貼っていらっしゃる方を初めて見たとおっしゃり、嫁さんも楽しかったと大変喜んでおりました。
嫁さんに変わりまして厚く御礼を申しあげます。本当にありがとうございました。
そして19時45分頃かな。
下船案内がかかって、意外と行列があるなと思ったらこれは車両甲板に降りる列で、徒歩下船はやはり僕ら以外にほぼいない様子。
ああ、あっという間の18時間、深夜便、おそらくこれが最後の「さんふらわあ しれとこ」の旅が終了してしまいました。
苫小牧西港のボーディングブリッジからまずは「さんふらわあ」の太陽のマークをいただいきます。

回れ右をすると、太陽に守られたトレーラーのシャーシが置いてありましたのでこちらも1枚。

あと、この深夜便は旅のプロ仕様でしたので、乗船から下船まで、さんふらわあに乗ったらこの曲だろうという曲は、いっさいかかりませんでしたね。
さんふらわあの唄 歌詞入り
さんふらわあ かむいの就航記念看板と、この後退役する予定の「さんふらわあ しれとこ」のコンボの写真を何とか1枚。

深夜便の就航船「さんふらわあ かむい」の模型も展示されてございます。

ありがとうしれとこ。
今回のしれとこの旅は本当に楽しゅうございました。

そんなわけで、2025年5月30日午後8時前、無事苫小牧西港フェリーターミナルに到着いたしました。

いやあ…。
本当に来ちゃったよ…。
来月からの俺の生活どうしようゲフンゲフン(・・;)


ちょっと今のうちに苫小牧西港ターミナルにいるうちに、お土産の買い込みですとか、なんかこうちょっとした自分に対するお土産品なども、西港のフェリーターミナルは夜11時まであいているものですから、ちょいと買い込むことにしましょう。
今の時点でお土産品の買い込みとかえお行う…ということは、明日はつまり、そういうことになるわけですよ。
これは時数とお話の関係で明日のエントリに回そうかと思いますが、そういうことになってしまうわけですね。
ジビエの売店とか開いていたからついつい寄っちゃう。

だって現実的に出港案内がもうこれですからね。

で、今回の嫁さんの「さんふらわあ しれとこ」に対する、率直な感想です。
。とにかく何もないのが逆に新鮮でよかった。
・いくらでも寝放題だしなにもない
・テレビもないからテレビで暇をつぶすこともないし、お話してくれた方が、シーズンの関係で今しか休むことが出来ないらしく、どこかの畑のお手伝いに行くのだとか。
・そうした昔の夜汽車であった旅の人同士の会話ってものすごく懐かしくない!?(←まさしくその通りだが、それを俺は仕込んだ記憶は一切ないぞw)
・本当に何もない
・揺れなかった。乗り心地がものすごくよかったし酔いもしなかった
・最初1日中乗っているのはどうかと思ったけれど、これだったら本当にいくらでもいつまでも乗っていられる。
・とにかく何もない
・自由すぎて最高
・本当に何もなくていろんなことが逆にはかどる
・楽しくて仕方がなかった
・久しぶりに「昔ながらの夜行の旅」をしたような気がした
・できればもう一回乗りたい。乗りたくて震える
…と、とにかく喜んでもらえてそれはなにより。
何よりなんだが、わしゃそこまで仕込んだ記憶はまったくないんだぞw
で、これは大事なことを書き添えておかなければいけないのですが、乗船の段に「深夜便は徒歩で来る客に対してはあまり考慮されていない」と記した通り、今日は5月30日の金曜日。
この時間になると、土日祝日以外、西港ターミナルから苫小牧駅方面へ行く連絡バスがありません。
土日祝日に限り、苫小牧西港20時35分発苫小牧駅行き道南バスがあるので、苫小牧駅前には定刻20時52分に着けます。
ただ、札幌方面は同着同発で札幌行き特急「北斗19号」が発車してしまい、後続は21時07分の札幌行き普通列車が連絡ですね。
この列車に乗って南千歳で、石勝線からやってくる札幌行き「とかち10号」に乗り換えると、札幌着が22時05分と若干早まります。
そんなわけでバスがないからどうしようかな~…とターミナルの出入り口の前でぼーっとしていたら、おそらく苫小牧23時59分、今夜初のシルバーフェリーに乗る方がタクシーでお見えになったので、ドライバーさんにお伺いを立てて乗車OK。苫小牧駅前にある「ホテルルートイン苫小牧」まで送っていただきました。
いやー本当にこのさんふらわあ しれとこの乗り心地はよかったし、思い出に残る船旅になりました。
というわけで、

投宿。

嫁さんは大浴場で整ってくるというので、僕は苫小牧、北海道に来て、ここに行かねばいかんだろうというところで、ホテルから10分ほど歩いたところにあった、ここへ行ってきました。

そらもうセイコーマート行くやんか。
そんなわけで気が付けば夜11時近くなり、ようやく疲れが回って来たようです。
余韻に浸っている嫁さんより先にバタンキューしてしまいたいと思います。
今回のさんふらわあ しれとこさんの旅は本当に楽しくて、これがもう来月に退役してしまうのだから、今回は少々無理をしてでも乗ってみて良かったなと。
やっぱりね。あのタイミングで配船票を見しれとこさんが出てきたら乗らなきゃ!!
今回の旅に関わったすべての皆様に感謝して、早々に夢の中にまどろみたいと思います。
おやすみなさい。
そしてありがとうございました。
(※↓この項続く)

さんふらわあ しれとこの旅もいよいよ後半戦。
外洋を走る船にしては今回は全く特別で、恐ろしいくらい全く揺れません。べた凪の航海途上であります。
時間軸を2025年5月30日のお昼頃に巻き戻してご覧ください。
そして前編、中編なんか見てねえよボケとおっしゃる皆様は、どうぞこちらからご覧くださいますように。
いきなり余談なのですが、この「~くださいますように」という言い回しがとても大好きで、こうした旅行記の折によく僕も使っているのですが、この言い回しを昔、テレビ中継で使っていらした方がいらっしゃいまして、それがフリーアナウンサーでもとラジオたんぱアナウンサーの小林晧正さん。
千葉テレビの中央競馬ワイド中継とか中央競馬ハイライト等でよくお見掛けした顔とお声は、今でも脳裏に焼き付いて離れません、
もともと競馬実況のアナウンサーをなさっておいでで、実況が実際に音源として残っているのは、ハイセイコーの引退レースの有馬記念でしょうか。1974年の有馬記念、優勝はタニノチカラ。
競馬の血統にとても詳しく、これはどこかのラジオか何かで拝聴したのかもしれませんが、「僕はおしゃべりではとても勝てなかったから『違う何か』を勉強したの。それが血統だったんです」と、本かな? ラジオかな? どこかで見聞きした覚えがございます。
とにかく言葉の選び方がとても繊細で、馬に対して失礼な言い回しは絶対に使わなかった方で、馬に対して失礼な響きのある言葉は、たとえレース名に織り込まれていても絶対に口にしない、強いこだわりと誇りをお持ちの方で、僕が大好きなアナウンサーのおひとりでもあります。
え~。
余談はさておき。
余談をしなければいけないほど、船の中は暇なんですよ。
そうなんです。
船旅はだいたいこれで、時折スマホの電波が入ればついついネットを見ながら暇をつぶすくらい自由な時間を持て余すのですが、本当に何もないのです。

一応、ドライバーズルームの娯楽室と一般エリアの軽食コーナーでは、テレビが見られるからご自由にどうぞ…とあるのですが、ぴしゃりと消されておりまして、これがまた静寂が保たれるといいますか、共用のテレビなので、ついてしまえば映像がその場の空気を支配してしまう。ならばお互いにテレビをつけなければ平和が保たれるという絶妙なパワーバランスなのです。
ましてや今回のさんふらわあ しれとこのお部屋には、テレビモニターなどというものはついておりません。
そこには誰にも支配されない自由な時間が流れているということですね。
なので、とりあえずまあ飲みますわねw

お酒は深夜から朝5時までは売り止めをされているので、それ以外は待ってましたとばかりにいろんなところで買えますw
ここは気仙沼沖あたりだったかな。
時間は午前11時ほど。もうすぐ岩手県にさしかかろうとしております。

窓の外は相変わらずの曇天。
双眼鏡は持ってきたのに、なかなか出番がないのがなんともはや。
しかし陸が見えた時は重宝します。あと船と反航したり追い抜いたりしたときですね。

軽食コーナーは窓際のお席がちらほらと埋まっておりまして、パソコンを持ち込んで仕事に勤しんでおられる方、読書にふける方、スマホで映画をご覧になっている方など、様々な過ごし方で、実に何もない自由な時間が過ぎていきます。
べた凪で適度な振動がある図書館のような雰囲気さえ漂います。
そうだろうなと思って、今回はさすがに僕も文庫本を持ってきました。某東京都知事に関する文庫本ですね。出版されたときに話題になったと思いますが、当時は某コロナ野郎がはびこっていた時期で、なかなか読む機会がなかったのでこの機会に…ということで持ってきました。
というか、春先から読んでいたのですがボリュームがあってなかなか読み切れない。やっぱり十数分ごとに乗り換えがあると本はなかなか読めませんわな(・・;)
それでも今回は小分けにして船の中で200ページくらいは読めたかな。当然飲みながらですがw
ただしこの本、今現在も読了しておりません。
しかも春先についタイトルだけで買ってしまった、結構な分厚い新書本がもう一冊控えておりまして、これはもう1年がかりのつもりで読みます。
たった2冊で1年計画(・・;)
アタマが疲れたら、そりゃもう休憩タイムです。

ツマミには、柏駅高島屋の中に入っていた成城石井で買ってきた、エビの頭チップスを当てがいます。
成城石井だけあって一つ350円と、なかなかいいお値段がするのですが、こりゃなかなか美味しいですね。しつこくなくて。

実にゆったりとした時間が流れます。
時折部屋に帰ってベッドで寝っ転がり、時折部屋からのそのそ這い出して船内を徘徊し、時折サロンコーナーにまた本を持っていきちまちまと文庫本を読み進める。
そうしているとですね、人間は不思議なものですね。
これは最近なぜなのか本当にわからないのですが、何もしてないときに限ってお腹が減るのです(・・;)
これは本当に不思議で、朝からすきっ腹で動き回り、なぜかあまり昼食もほぼほぼ食思が動かないままに夕方からのプライムタイムに突入した方が、下手に朝も昼もがっつり食べるより何倍もキレよく動き回れる「気がする」のですよ。
これはなんですかね。空腹で感覚が研ぎ澄まされるような感覚になるのでしょうか。或いは肉体疲労しているけれど、とりあえず体内で物質を出してやるから動き回れと、身体から内なるサインがでているんですかね。
ただしこれは諸刃の剣、素人にはお勧めできない…という言い回しが、ブログ黎明期の2004年あたりにはまだ使われていたと思うのですが、死語ですね。
これは本当に諸刃の剣で、仕事スイッチがオフになった瞬間に腹が減る。
腹が減ると夕食をついつい一品くらい追加したくなっちゃうからスーパーに寄っちゃう。
2パック以上で安売りしているお惣菜に手が出る。ついでに余計なものも買ってしまう。
そうすると、自然とお札が財布の中から1枚消えているんですな。
え~。
そろそろお昼に致しましょう。
船内の自動販売機コーナーの案内表示もございます。

というわけで、ああ麗しの冷凍食品の自動販売機の前までやってまいりました。

さてさてなにがあるのでしょうか。
ビビンバに、野菜カレーにタコライスですか。

パスタにカツサンド。

ナポリタンにカルボナーラ、これもパスタですね。
なかなかこれは迷いますな。
というわけで選んだのは、ビビンバでした。

自動販売機の前に専用レンジがあり、メニューのボタンを押せばビシッと温めてくれます。

冷凍食品は普段はあまり手を出さないので、どれくらい美味しいのかなと思ったら、これはなかなかしっかりしたお味で、甘辛くてなかなか美味しい。
ちょっと小腹が空いたから満たすにはちょうどいいくらいの大きさで、どうしてもお腹が空いてがっつり食べたいんだと思う向きは、それこそ乗船前にスーパーなどで食料を買い込んでご乗船いただくか、ついでにカップラーメンあたりに手を出された方がよろしいかと思います。
いやーうまかった。
何もしてないから、ある程度小柄なパックでも結構お腹が満たされますな。
ついでなので、食後にパックの牛乳もいただきましょう。
牛乳は水分です。食事ではございません。断じてw

腹ごなしにまたもサロンに入り浸って、文庫本を読みふけります。

嫁さんもサロンの一角を陣取り、旅のメモや御船印帳をいろいろと作成している様子。
嗚呼。
とにかく何もない。
僕も手元にあるパンフレットやお土産品などを整理しながら、思い出したようにまた本を読みだし、飽きればまた横になるという、時間からの解放を思いっきり味わっておりました。
船は全く波で揺れる様子も全くなく、もちろん船舶独特の動揺自体はありますが、そろそろ青森県沖を抜けようかという時間帯に、同じ東北太平洋航路を走るフェリー会社様から、気になる一報が入ってきました。
【低気圧の影響による運航状況】本日出航便を含め、低気圧の急速な発達により一部便において欠航及び大幅な遅れを見込みます。ご利用のお客様には大変ご迷惑をおかけいたします。最新の情報をHPをご確認ください。https://t.co/MMXPGE3PI8
— 太平洋フェリー (@taiheiyoferry) May 30, 2025
ひゃっほう/(^o^)\
これによると、明日5月31日苫小牧発仙台行き「きたかみ」は運航するものの最大10時間遅れ予告ですってよ(・・;)
仙台~名古屋間の便も欠航になるなどの予告が出ておりました。
ではさんふらわあの大洗航路だとどうなるのか。
ネットであれやこれやと調べるまでもなく、案内所に紙1枚でボンッと貼ってありました。

折り返しになる明日深夜1時半苫小牧発大洗行き「さんふらわあ しれとこ」は欠航。
これは大洗を明日深夜1時45分発の「さんふらわあ かむい」も同じく欠航になる由。
今日の苫小牧発夕方便「さんふらわあ さっぽろ」については1時間早出し、17時45分に出港予定だから早く港に集まってね…という旨が、公式サイトに上がっておりました。
まだスマホの電波が繋がる状況でしたので、明日深夜23時59分苫小牧発シルバーフェリーの運航予定も確認すると、こちらもこの便に限って遅れの可能性ありという遅れ予告がなされておりました。
さあ来ました。
ついに我々が試される時がやってまいりました。
旅のプロ仕様「さんふらわあ しれとこ」さんが我々を今まさに試さんとしております。
が。
まーあんまりいまから慌てておたおたしてもしゃーねーべや(-。-)y-゜゜゜
今夜の苫小牧発大洗行き夕方便の早出しは、おそらく道中なるべくかっ飛ばして低気圧が発達しきる前に低気圧と離合してしまおうということだろうし、太平洋フェリー「きたかみ」の遅れ予告最大10時間(10時00分着→20時00分予定)というのは「出しますけれども、低気圧の発達状況によれば最大これだけ遅れますから、遅れてもいい人だけ
乗ってくださいね大丈夫ですか最大10時間ですからそれよりも早くなる可能性もあるでしょうけど、場合によってはどこかの内海へ入って停泊して低気圧をやり過ごしますから遅れますけどいいですかいいですか私たちはちゃんといいましたからね遅延承知でご乗船ください…という意味合いと思われ、がっちり10時間は遅れますよ…という意味合いでは出していないと思うのですが、とはいえ、我々が明日乗ろうとしているのは夜行便ですので、到着は6月1日日曜日。
もし太平洋フェリーを予定していたとして、仙台到着が朝10時のはずが夜8時になってしまうと、無理やりにでも仙台駅21時49分発東京行き最終「やまびこ70号」に乗るのは、これはかなりきわどいチャレンジ。
しかも僕は翌朝3時起きで朝6時には京成松戸線沿線の職場で仕事を始めなければならない身。
いくら天変地異は避けようがないとはいえ、遊びで連休を取っていて、休み明け朝6時の仕事に間に合いませんでしたでは、仕事に対するプライドもさることながら、国内旅行であるならある程度の経験値がある僕にとっては、これはもうこうまたろべえとしてのプライドが許さんw
まず10時間も遅れることなないだろうとは思うけれど、遅れ予告があり、同じくらい遅れると…。
まあ、なるようになるさ。
時は5月下旬。
夏至前であり1年で一番日が長い季節は、北を目指しても一向に日が沈みません。
そして青森県沖を出て外海に入ったのに、全く波がなく、怖いくらい静かです。
…いやあ、こりゃあ嵐の前の静けさってやつですか?(・・;)
そうこうするうち…。
見えた\(^o^)/

おお、北海道の島影だ…。
苫小牧から西方向にグッと際立つ山が樽前山だということはわかっているのですが、そっから先の西方向の山々がいまいちよくわからない。
この10年で何度か通っているのに、何度通ってもわかりません(・・;)
外も風がないので外に出てみましょう。
…いやちょっとまって一瞬太陽が見えるかも!


おおっ!
見えました!
この旅で初めての太陽ですよ。
いやあ…。息をのむほど美しい…。
これ全部スマホで撮っていたので、一眼レフなんかお持ちでいらっしゃったら、もう少し幻想的な光景を見られたのではないでしょうか。
これはスマホだから実際に見た目よりはう~ん…。残念。
だんだん日が陰ってきて、窓の外が青くなってきました。

やがて苫小牧西港の中にもう入っているのかな。あたりに近づいてきたのか、船の往来も多くなり、トワイライトのような空の色になってきました。


湾内に近づいたので、下船の時間も近くなりました。ロビーには三々五々下船客が集まっております。
そろそろ我々が一日お世話になった秘密基地にもお礼を言い、下船準備をしたいと思います。

ロビーでは下船準備をしていたトラックドライバーが、案内所の事務員の方か航海士の方かはわかりませんが、「おう、2日休みになってよかったじゃんw」などと会話がとびかっておりました。
嫁さんがサロンで旅の話に花を咲かせていらっしゃった旅の方もおいでになり、こちらは車で同乗で下船される由。
なんでも女性が、御船印を、しかもこの船(プロ仕様w)で貼っていらっしゃる方を初めて見たとおっしゃり、嫁さんも楽しかったと大変喜んでおりました。
嫁さんに変わりまして厚く御礼を申しあげます。本当にありがとうございました。
そして19時45分頃かな。
下船案内がかかって、意外と行列があるなと思ったらこれは車両甲板に降りる列で、徒歩下船はやはり僕ら以外にほぼいない様子。
ああ、あっという間の18時間、深夜便、おそらくこれが最後の「さんふらわあ しれとこ」の旅が終了してしまいました。
苫小牧西港のボーディングブリッジからまずは「さんふらわあ」の太陽のマークをいただいきます。

回れ右をすると、太陽に守られたトレーラーのシャーシが置いてありましたのでこちらも1枚。

あと、この深夜便は旅のプロ仕様でしたので、乗船から下船まで、さんふらわあに乗ったらこの曲だろうという曲は、いっさいかかりませんでしたね。
さんふらわあの唄 歌詞入り
さんふらわあ かむいの就航記念看板と、この後退役する予定の「さんふらわあ しれとこ」のコンボの写真を何とか1枚。

深夜便の就航船「さんふらわあ かむい」の模型も展示されてございます。

ありがとうしれとこ。
今回のしれとこの旅は本当に楽しゅうございました。

そんなわけで、2025年5月30日午後8時前、無事苫小牧西港フェリーターミナルに到着いたしました。

いやあ…。
本当に来ちゃったよ…。


ちょっと今のうちに苫小牧西港ターミナルにいるうちに、お土産の買い込みですとか、なんかこうちょっとした自分に対するお土産品なども、西港のフェリーターミナルは夜11時まであいているものですから、ちょいと買い込むことにしましょう。
今の時点でお土産品の買い込みとかえお行う…ということは、明日はつまり、そういうことになるわけですよ。
これは時数とお話の関係で明日のエントリに回そうかと思いますが、そういうことになってしまうわけですね。
ジビエの売店とか開いていたからついつい寄っちゃう。

だって現実的に出港案内がもうこれですからね。

で、今回の嫁さんの「さんふらわあ しれとこ」に対する、率直な感想です。
。とにかく何もないのが逆に新鮮でよかった。
・いくらでも寝放題だしなにもない
・テレビもないからテレビで暇をつぶすこともないし、お話してくれた方が、シーズンの関係で今しか休むことが出来ないらしく、どこかの畑のお手伝いに行くのだとか。
・そうした昔の夜汽車であった旅の人同士の会話ってものすごく懐かしくない!?(←まさしくその通りだが、それを俺は仕込んだ記憶は一切ないぞw)
・本当に何もない
・揺れなかった。乗り心地がものすごくよかったし酔いもしなかった
・最初1日中乗っているのはどうかと思ったけれど、これだったら本当にいくらでもいつまでも乗っていられる。
・とにかく何もない
・自由すぎて最高
・本当に何もなくていろんなことが逆にはかどる
・楽しくて仕方がなかった
・久しぶりに「昔ながらの夜行の旅」をしたような気がした
・できればもう一回乗りたい。乗りたくて震える
…と、とにかく喜んでもらえてそれはなにより。
何よりなんだが、わしゃそこまで仕込んだ記憶はまったくないんだぞw
で、これは大事なことを書き添えておかなければいけないのですが、乗船の段に「深夜便は徒歩で来る客に対してはあまり考慮されていない」と記した通り、今日は5月30日の金曜日。
この時間になると、土日祝日以外、西港ターミナルから苫小牧駅方面へ行く連絡バスがありません。
土日祝日に限り、苫小牧西港20時35分発苫小牧駅行き道南バスがあるので、苫小牧駅前には定刻20時52分に着けます。
ただ、札幌方面は同着同発で札幌行き特急「北斗19号」が発車してしまい、後続は21時07分の札幌行き普通列車が連絡ですね。
この列車に乗って南千歳で、石勝線からやってくる札幌行き「とかち10号」に乗り換えると、札幌着が22時05分と若干早まります。
そんなわけでバスがないからどうしようかな~…とターミナルの出入り口の前でぼーっとしていたら、おそらく苫小牧23時59分、今夜初のシルバーフェリーに乗る方がタクシーでお見えになったので、ドライバーさんにお伺いを立てて乗車OK。苫小牧駅前にある「ホテルルートイン苫小牧」まで送っていただきました。
いやー本当にこのさんふらわあ しれとこの乗り心地はよかったし、思い出に残る船旅になりました。
というわけで、

投宿。

嫁さんは大浴場で整ってくるというので、僕は苫小牧、北海道に来て、ここに行かねばいかんだろうというところで、ホテルから10分ほど歩いたところにあった、ここへ行ってきました。

そらもうセイコーマート行くやんか。
そんなわけで気が付けば夜11時近くなり、ようやく疲れが回って来たようです。
余韻に浸っている嫁さんより先にバタンキューしてしまいたいと思います。
今回のさんふらわあ しれとこさんの旅は本当に楽しくて、これがもう来月に退役してしまうのだから、今回は少々無理をしてでも乗ってみて良かったなと。
やっぱりね。あのタイミングで配船票を見しれとこさんが出てきたら乗らなきゃ!!
今回の旅に関わったすべての皆様に感謝して、早々に夢の中にまどろみたいと思います。
おやすみなさい。
そしてありがとうございました。
(※↓この項続く)






※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます