goo blog サービス終了のお知らせ 

Crónica de los mudos

現代スペイン語圏文学の最新情報
スペイン・米国・ラテンアメリカ
小説からグラフィックノベルまで

メキシコの新しい文学

2020-03-13 | ニュース
 バレリア・ルイセリ『俺の歯の話』についていくつか書評が。『TV Bros(テレビブロス)』4月号で豊崎由美さん、『週刊SPA!(スパ)』3月17日号で辻本力さん、『PEN(ペン)』3月15日号で今泉愛子さん、『VOGUE JAPAN(ヴォーグジャパン)』で実川元子さん、『ダ・ヴィンチ』4月号で山崎まどかさんに取り上げていただきました。皆様、とても丁寧に読んでくださいまして、訳者として心より御礼申し上げます。
 ルイセリは英語とスペイン語の両方で書き、米国文学やラテンアメリカ文学といった従来の地域/言語別文学の枠組みでは分類しにくい作家。疫病がきっかけで米国をはじめ世界が鎖国へと向かういまこそ読まれるべきかもしれません。英語の新作『ロスト・チルドレン・アーカイヴ』(本人がメキシコ人作家と共訳したスペイン語版の題は『音のする砂漠』)もジャンル分けが難しい優れたハイブリッド小説で、これから世界中で読まれることになるでしょう。
 本作『俺の歯の話』はいくつもの仕掛けが施された実験小説なので、ややとっつきにくいという印象をおもちの方もおられるかもしれませんが、なんとなくメキシコという国に興味をもっている、あるいは単に「メキシコが好きだ」という方にも読んでいただきたいと思います。
 彼女はメキシコを代表するマイナー出版社セクストピソの実質上のエース格。米国在住の二言語ライターという特殊性にもかかわらず、メキシコでは40代以下の新しい文学を代表する存在となっています。この世代にはほかにもブレンダ・ナバーロ、フェルナンダ・メルチョール、ベロニカ・ゲルベル・ビセッチ、ライア・フフレサ、ブレンダ・ロサーノ、ビビアン・アベンシュシャンといった女性作家がひしめきあっていて、女の作家を読まねば現代メキシコ文学はわからないと言っても過言ではない状況を呈しています。ここでもいずれそういう作家たちの本を詳しく紹介していきたいと考えています。

2019年12月、グアダラハラ国際ブックフェア、セクストピソ社のブースで。


コメント    この記事についてブログを書く
« 必要で緊急な外出 | トップ | 蛇の夢を見る »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。