スペイン語圏で開催される最大規模の本の見本市、グアダラハラ国際ブックフェアに専門家(翻訳者)として参加してきた。会期は11月29日から12月6日まで。
グアダラハラ中心街から車で30分ほどのところにある見本市会場。インテックス大阪によく似た建物で、内部は空調がとてもよく利いていて、食堂もいくつかあってとても快適に過ごせる場所。周囲をホテルが取り囲む。作家たちはヒルトンやシェラトンへ。私の泊まった6千円規模のホテルにはスペイン人やアルゼンチン人が多かった。
なかはとにかく広大。各国の出版社や公的文化機関がブースを出す国際エリアと、スペイン語圏出版社のブースが集まるドメスティックエリアに分かれる。上の写真はその中間ゾーンで、大勢の人々がここを休憩場所にしていた。
グアダラハラ中の学校が生徒たちに参加を促しているらしく、一般参加が可能な時間帯になると子どもたちで会場があふれかえる。特に私の滞在最終日だった土曜は通勤ラッシュ時の山手線みたいな混雑ぶりだった。
国際エリアはこのコロンビアのブースのようにいくつかの出版社が合同でブースを出している。ブース内の従業員で文学に明るい人はそう多くない。私も元々ここでマニアックな情報収集はするつもりはなかった。写真は撮ってこなかったが、キューバのお粗末なブースが愉快である。ちなみにアジアからは韓国と台湾と中国が積極的な売り込みに来ている。特に韓国が小説や絵本の翻訳を中心に積極的な活動をしていた。ハポンは影も形も見えず。詳しい方によると数年前まではブースもあったのだとか。
韓国の現代小説も翻訳がすすんでいる。日本でもよく読まれているこの作品もガンディ書店の「話題の書」平積みの目立つ場所に。こうやって形成されてゆくいわゆる世界文学のなかにムラカミ以外の日本文学はほとんど入ってないのだな、と改めて実感する。クールジャパンとか言って浮かれてるオジサンたちにはどうでもいいことなのだろうけれど。
教育関係で最大の企業サンティジャーナ。ブースも大きい。ここに限らず教育関係書を出している中小の出版社がスペイン語圏にこれだけあるのかと驚いた。メキシコ国内の各種大学出版局なども一堂に集結。このあたりは私の知らない世界である。
メキシコの知的良心、フォンド・デ・クルトゥーラ・エコノミカ。私も若いころからずいぶんお世話になってきた。今年で創業85年目を迎える。ここでは使い慣れた研究書たちを訪れて挨拶をしておいた。
21世紀になったら22世紀書店に店名変更するかと思ったらしなかったシグロ・ベインティウノは、ウルグアイの作家エドゥアルド・ガレアーノを看板に。彼の Las venas abiertas は岩波文庫の青背のシリーズに入ってもいいのではないかと私は思う。写真の5冊のなかの Los hijos de los días.の翻訳が先ごろ出た。『日々の子どもたち あるいは366篇の世界史』(久野量一訳、岩波書店)。久野さん、ご恵贈ありがとうございます。
お昼は会場内の食堂で。タコス三つとハイビスカスジュースのセットで300円程度。人が多いので、だいたい相席になる。メキシコでも相席どうしはスマホを見つめたまま。別にいいんですけど、なんか面白い本あった?くらいの話はしようよ。
今回はほんとにタコスばかり食ってました。こちらは四種もりとオルチャタ。いちおうお仕事なので日中は酒を慎んだが、夜はテキーラばかり飲んでいた。テキーラって焼酎とほぼ同じアルコール、私にとってはお茶のように飲める酒であることが改めて判明。会場内には輸出されていないテキーラを販売するブースもあり、そこのお嬢さんからいろいろなことも教えていただいた。
ハリスコ州は野球も盛ん。地元チームのグッズを売るブースでは謎のオジサンに呼び止められる。イチローとタナカの話でしばらく盛り上がり。その奥のガラス張りのブースがテキーラのお店。
帰りはコンビニへ。
タコスを一個だけ買うことができる。ビールだけでは足りなかったためホテルのバーでテキーラを調達。いい国だなあ。もっと頻繁に来ておくんだった。明日は二大グループのブースを紹介します。