読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

ニュータウンに住み続ける~人間のいる場所3 三浦展2022

2023年02月18日 | 国土・都市(国土政策局・都市局)

第3章は「郊外に居場所をつくる方法」。アメリカでもまちに出かけて立ち寄りたくなる縁側のような空間や自由に過ごせる場が足りない。椅子があって、使う人が好きで使う、使い方はこだわらない緩い感じのする場所をつくる。賑わいは結果であって賑わいを目指してはダメ。座る、眺める、適度な囲いがある、日陰になる、食事ができる、夜に人がいて明るい、話ができる、巡り歩ける場。自然監視が防犯にも寄与する。

第4章
 欧米では否定されたコルビジェ式の都市開発が、日本ではみなとみらいや豊洲で進行中。車を効率的に走らせるための街区の横に歩道がついているだけ。真っすぐで退屈、植栽だけでお店も何もない。快適な歩行空間ではない。高層ビルの低層階には商業空間ができるが、みな全国チェーンの同じ顔ぶれ。

(海外のニュータウン事情)

イギリスのクロウリーではローカルタウンセンターが結構にぎわい、対面販売の店が成り立ち、パブでは人が時間を過ごしていた。ミルトンケインズはエリアによって違い、高級住宅地はよく整備され、ゆったり犬を散歩させる人が。レッチワースの商店街は非常に落ち着いた街並みで、住宅地は植栽豊かで生け垣があり規制に整備されていた。

アメリカの郊外は基本的に「白人の住宅地」として発展した。都市の黒人人口が増加し、並行して都市は荒廃し、白人ミドルクラスは郊外に転出した。

フランスでは第二次大戦後植民地からの引揚者用に住宅団地が建てられ、70年代後半からそこに代わって移民が多く移り住み、暴動など様々な社会問題が集中する貧しくゲットー化した場所として認識されるようになった。

フランスでは1971年に大規模団地建設を禁止する法律ができ、以降高層団地のイメージがすごく悪くなった。ロンドンのブルジョワは郊外に住宅地を形成したのに対し、パリは再開発して労働者を郊外に追い出し、市内をブルジョワ層向けにつくり変えた。郊外に共産党自治体が多く誕生し、半貧困対策として住宅を建設、提供した。


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