<子(夜半)は長し、丑(午前2時)は一日、寅(午前4時)は半、卯(午前6時)は一時とかねてしるべし>。降り始めた時刻で、その雨がやむ頃合いを推測している。◆<七つさがり(午後4時過ぎ)の雨と四十過ぎの道楽はやまぬ>と言い、あるいは<朝雨は女の腕まくり>で恐るるに足らずと言う。人は経験を頼りに雨と暮らしてきた。”経験”の知恵に、今は”未経験”の恐怖が取って代りつつあるらしい◆「これまでに経験のないような大雨になっている。ただちに命を守る行動を取っ下さい。◆秋田県と岩手県、記録的な大雨に見舞われ、気象庁は住民に最大級の警戒を呼びかけた。土石流や土砂崩れ、家屋の浸水などで大きな被害が出ている。島根.山口両県を襲った7月の豪雨でも同じ表現の警報が出された。西に東に、異形の雨がつづく◆民謡『秋田音頭』の一節、<秋田の国では雨が降っても傘などいらぬ 手頃の蕗の葉サラリとさしかけ サッサと出て行くわい。。。昔なじみの優しい雨に、早く戻ることを祈るのみ。「蕗の葉のうち重つて沢となる 山口青邨」「この暑さ草いきれにも思い出湧く 殿村莵絲子」。(暮色きて 暑気下がれずに 月のこし ケイスケ)