金曜日は冷たい雨が降り、師走の寒さ。土曜日はお天気になるというので夜洗濯してベランダに干しておいた。朝起きたら本当にいい天気で、洗濯しといて正解だったね!だった。ってことで昨日は天気に恵まれたので、府中市美術館まで少々遠出した。
府中の森公園内にある美術館
チケットを買ったらエスカレーターで2階へ
都美でゴッホを見た時に見つけたチラシで興味を持って、行かねばと思ってた。でも11月末までなのでちょっと気が緩んでた。そしたら若冲の「象と鯨図屏風」は10/24までの前期のみ展示と知って、こりゃ急がねば!と昨日出かけた。
若冲の作品は「象と鯨図屏風」と「八相涅槃図」が並んで展示されていて、ちょっと感動。象と鯨の屏風は六曲一双の右にうずくまった象、左に塩を吹き上げる鯨が描かれている。音声ガイドでは。描かれた象の姿は当時の人が見れば弔いを表しているという印象を持ったであろうと言っていた。そしてその隣に涅槃図。象などの陸の動物だけじゃなく、鯨などの海の動物も悲しんでいる様子が描かれた涅槃図は、ずっと見ていたかった。
若冲の作品はこれ以外にも鶏と亀があり、つくづくことしは我が家にとって伊藤若冲の当たり年だったねぇ〜って話をした。
日本の絵画においては、動物だけが描かれることは少なくない。でもヨーロッパでは動物は何かのシンボルとして描かれることが多いので、動物だけを描いた絵画は意外に少ないという。例えば犬は忠実さや貞操のシンボルで、当時いろんな男性と浮名を流した女性の肖像画には、傍に寝ている犬(貞操どっかに置き忘れ〜、みたいな)が描かれていたり、ライオンがどこかに描かれている学者は、聖ヒエロニムス(修道院に入ってきたライオンの足に刺さった棘を抜いてあげて以来、懐かれちゃって一緒に暮らした)の証だったり、謎解きのヒントというお役目を持っている。色にも意味があるので(聖母マリアのマントが青なのは真実を意味する、とか)、動物ってそれと同列なんだね。
アルブレヒト・デューラーの版画「アダムとエヴァ」は目を凝らしてよく見ると、背景に動物がたくさん描かれている。そのうち鹿・兎・猫・雄牛は人類が原罪を犯した後に生まれた「4気質」を象徴しているらしい。ピカソさまの御作品も一点展示されていた。「仔羊を連れたポール、画家の息子、2歳」。犬でも猫でも仔馬でもなく仔羊、自分の息子をキリストに見立てた肖像画、という解釈も成り立つ。
そうやって西洋絵画の動物を見ていくと、なかなか興味深いけど疲れるんだよね。知識量が絵から得られる情報量に直結してて、鑑賞の仕方も変わるっていう頭でっかちな感じが。一方で例えば鶏を大胆な筆で描いた若冲の作品や、じゃれあう仔犬をただ仔犬を描くために描いた俵屋宗達の作品に、ほっとしたりむしろ筆遣いや構図に素直に集中できて楽しめる、「ほえ〜」とか「はぁ〜」って思えるのは、そういうことなんだなぁと改めて実感した。
今回どうしても府中まで行きたかったもう一つの理由は、徳川家光のヘタウマな絵を見たかったから。言わずと知れた江戸幕府の基礎を築いた三代将軍なんだけど、このゆる〜い絵をこの目で見てみたかったんだ。(絵はネットから拾ってきました)
切り株の上の兎
木兎
この程度に下手なのに、将軍さまの絵だってことで重厚な箱に収められて大切に受け継がれていたらしい。下手だけど、よく見るとうさちゃんは大きなお目目で可愛いし、「待ちぼうけ」を揶揄する「切り株に激突して死ぬうさぎばかりじゃない」というメッセージがあったりして、それはそれで面白かったりする。木兎だって、翼と胸辺りの羽根を描き分けていて、なかなか芸が細かい。頼めばどんな偉大な画家だってお師匠さんにできただろうに、我が道を行くこの脱力感、なんかいいなぁ〜と思って。
というわけで、山手線の内回りが止まってんのにわざわざ府中まで出かけて行った甲斐があった土曜日であった。さて、日曜日は✖️つけない判事の名前を書いた紙を握りしめて、期日前投票に行かねば。そのあとは、仕事の準備に費やしまする。
幼い時の絵でしょうね 表情がよく描かれています。
これを描いたとき 春日局がものすごく褒めたでしょうね。
日経大人のオフって雑誌の今年の一月号が美術館特集で付録にカレンダーがついてました。
9.10月がまさにこの家光の絵だったのですよ。
ワタシは「このボンヤリした絵は何なんだろー」などと思っていたのですよね。
若冲見られてよかったですね。
家光が側室の桂昌院のために建てたのがうちの近所の護国寺、くらいしか知りません。春日局が母なんですね〜
なんと、これは大人になってからの「作品」です、プププ
執務中にも描くことがあり家来にあげてたらしいです。
あたしも府中は別の用事で何度も通いましたが、私立美術館は初めてでした。
大人のOFFやりますね、いいチョイスだと思う。おっしゃる通りボンヤリしてるんだけど、なかなか味があります。
若冲はラッキーでした