先日、街並みのグリッド構造について述べたが、
数学的には気になる点が一つある。
「(長方形分割の)グリッド型都市は本当に効率がよいのか?」
ここでは話を極力単純化して、川や山などの障害物は一切ない
平面上に都市を作ることを考えよう。
道路を敷いて区画を分けていくことを考えるのであるが、
(0)都市構造はできるだけ単純にしたい(規則性、周期性がある)。
(1)目的地に着く最短経路が直線距離と比べてあまり大きくならないようにしたい。
という条件を課すことにする。
(0)を、例えば「各区画が全て合同な図形(正多角形)」という条件だと解釈すると、
それでも正方形以外に正三角形と正六角形という候補がある。
(これ以外の正多角形では平面を敷き詰めることはできない)
さらに各交差点は各区画の頂点がくっついてできているものとする。
正三角形の区画で都市を造ると、最短経路は直線距離と比べてたかだか1.154…倍で収まる。
これは正方形グリッドの場合の値(1.414…)よりかなりよい。
ただ、この場合は
・一つの区画面積が道路敷設距離に対して小さくなる。
(正方形グリッドと比べ効率が0.577…)
・3本の道路が交わる交差点での交通整理が大変。
という欠点が生じる。
正六角形の区画で都市を造ると、最短経路と直線距離の比は最大で1.5倍になる。
正方形と比べてやや悪い。一方で、メリットは
・区画面積が広くなる(正方形グリッドと比べ1.732…)
・交差点は全て三叉路になる。
正方形グリッドの場合は、右折車が交差点で待機時間が長くなり
イライラするのは皆さんも経験があると思う。事故の危険性も高い。
一方、三叉路は、3周期信号になる。
左折できる時間が右折の2倍になる。
正方形型のように、直線道路を車で飛ばすという運転はできなくなるが、
実際は直線道路でも信号にひっかかるのだから、
正六角形でも効率がさほど悪くなるわけではないと思う。
というわけで、正六角形をベースとした都市計画は個人的には
なかなか楽しそうなのだが、いかがだろう。
ちなみにパリに行った人なら分かるのだが、この街はグリッド構造から程遠く、
交差点では道路が5本も6本も斜めに交差している。
信号システムなどが複雑そうだが、それでも向こうの人はそれなりに生活している。