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そこはかとなくかきつくれば

日々のとりとめのない気付きを結晶に

平和教育のための教員研修4:印象操作

2014-08-13 | 教育

平和教育の授業で

太平洋戦争を学び、広島・長崎を学んだあと、

 

「じゃあ、平和を作るため私達にできることはなんだろう?」

 

というまとめに入ることになるのだが、

小学校くらいだととりあえず

「クラス内でいじめをなくしましょう」

くらいのところで〆ることになる。

 

しかし、冷静になればすぐ分かることだが

「いじめ」の問題と「戦争」の問題は乖離が大きすぎる。

いっしょくたに扱うこと自体に問題がある:

クラス内のいじめをなくせば戦争はなくなるのか?

そもそもこんな授業でいじめはなくなるのか?

 

しかし、現場ではこれに加え

人権問題や差別問題もちゃんぽんになって

教えられているようである。

いずれも自称リベラル派が大好きなテーマだが、

関連付けるのはそもそも無理がいろいろ伴う。

文脈的に破綻してしまい、印象論にしかならない。

 

この教免講習で配られた冊子も、講師も、

同じ愚を犯している:

なぜか東日本大震災の原子力発電所爆発の問題が

その冊子に出てきたが、

これは広島・長崎とは別個に扱うべき議案である。

 

このように、自称リベラル派の文章および主張は

よくよく読むと文脈の破綻がしばしば見受けられるのだが、

彼らは「印象」さえ与えられればそれでいいと思っているのか、

意に介さない。

 

そして、これは朝日新聞の好む手法でもある。

 

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現状、行われている平和教育といえば

やはり広島・長崎の原爆の話(など)で

「戦争の悲惨さを学ぶ」

というのがメインのようである。

 

確かに資料館などに赴いて、映像などを見れば

それは子供心には衝撃であることは間違いないし、

実際に知っておくべき事柄であるとは思う。

 

しかし、本来はそこから

「じゃあどうしたら二度と同じことが起こらないようにできるか」

を子どもたち自身が考えられるようになるところまで

導かなければ、これもやはり印象論で終わってしまう。

 

そして、印象操作のみというのは危険なのだ。

冷静な論理思考を麻痺させるし、

意図をもって誤誘導することもできる。

 

前々回で紹介したように、「フォト・ランゲージ」

によって教員が政治主張をすることなく、

子どもに加害意識を植え付けることくらいは簡単にできるのである。

 

本来、本当に教えないといけないのは

このような誤誘導に惑わされない、

強い論理的思考を養成することだ。

 

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配られた冊子には次のようなことが書かれていた:

「よりよい平和な社会に近づいていくために、平和を作る必要があります」

 

そしてそのために「積極的平和」の構築が必要、

と書いてある。

 

「積極的平和」とは初見の言葉だったが、

自衛隊のPKO活動とか集団自衛権の話ではないらしい。

 

貧困・差別・不公正がない社会を作ることで

騒乱の種を除去するということらしい。

しかしそのために挙げられた要件:

 

福祉の充実、人種的平等、などなど

 

と聞くと北欧の惨状を思い出す。

フィンランド等の国が、積極的に移民を受け入れ、

上の要件を満たすよう法整備を進めた結果どうなったか。

 

国内の治安の悪化、暴動の頻発である。

平和構築どころか、それに逆行している。

 

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平和と戦争は裏表の関係だ。

綺麗事では決して語れない。

 

平和を守るためには手を汚す必要さえある。

このことを、小学生とかに教えるのはまだ難しいかも

知れない。

 

しかし、明確な悪意をもちながらそれを隠し、

教育でさりげなく上辺の綺麗事を述べながら

政治的思惑の刷り込みを行おうとする

勢力には敏感になっておかないと、危ない。

 

以上、この講習で平和教育の問題で

感じたことを書き留めておく。

 


平和教育のための教員研修3:自衛隊

2014-08-13 | 教育

今回の教員研修

「これからの平和教育」で配布された冊子を

素人の立場で読んでみたのだが、

 

自衛隊

憲法第9条

在日米軍基地

 

などの話が全くと言っていいほどない。

これらは賛否両論こそあれ、

日本の安全保障を語る上で絶対に避けては通れないものである。

 

これらを抜きにして一体どういう

平和教育をしようというのか。

 

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現場の社会科の先生に聞いてみると、

教員が自身の政治的立場に基づいた意見を

教育の場で発信することはタブーとなっているらしい。

 

自衛隊はそもそも憲法違反なのかどうか、

というところで極めて微妙な法的問題を抱えている。

だったらその事実くらいは述べてもいいのではないかと思うが、

お上からの視点に敏感な現場の教員は

過剰な防衛反応を起こしてそもそも話題にすら

挙げることが難しいらしい。

 

しかし、それであるならば

平和教育は実践的かつ本質的な部分を

教えることができないのが現状であると言える。

 

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今、教育委員会は左翼的な思想にかなり

影響を受けていることは警戒しておいた方がいい。

 

そして、平和教育で彼らが自衛隊の話を

出したくないのは当然である。

 

今の自衛隊が日本の安全保障において重要な役割を

果たしていることは、事実を羅列するだけで否定しようがない。

すなわち、教育の場で議題に挙げればそれは

そのまま自衛隊の存在の(積極的)肯定が結論となることが

目に見えている。

 

それは日本の左翼が望んでいる「平和教育」の効果ではないのである。

 

はっきり言おう。

中国の息がかかっている彼らの目的は、

子どもたちへの教育によって日本の加害意識を強めることで

最終的に日本の防衛体制を弱体化させることにある。

 

忘れてはいけないが、

インテリジェンス外交で真っ先に攻撃対象になるのは

メディアと教育である。

 

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この「これからの平和教育」の講師は

今の教員免許更新講習制度について批判的で

(私もどちらかというと批判的である)

「この制度は自民党が推進してきた制度で、

民主党政権がもう少し続いていれば中断できたかもしれないん

ですけどね…」

と述べていた。

ちなみに、このセリフは他の更新講習の教員からも

聞いたことがある。

 

さて、この民主党政権が一方で何をしていたかというと。

 

日本の自衛隊の機密情報を中国にリークしていた。

 

これは自衛隊の命、ひいては日本全体を

危険に晒す行動であることはいうまでもない。

 

(中国がその情報を見て海上自衛隊の防衛体制の

あまりの凄さに結局開戦論が潰れたというのは

日中ともに予期しない副産物であったが)

 

我々は、このようなことを平気でするような政党を

このとき投票によって支持してしまっていた。

教免講習制度は反対だが、

民主党の裏でしでかした悪行は桁が違いすぎる。

 

であれば。

国民全体に、きちんと安全保障と国際情勢

(とインテリジェンス外交)について知識を与え、

このような愚かな投票行動を二度とさせないこと、

というのは今の平和教育の喫緊の課題ではないだろうか。 

 

しかし、上でも述べたように、教員は

「政治的発言をしてはいけない」という縛りによって

現場の平和教育ではまずこのような話はできない。

 

一方でこの講義のような左翼思想の教員による

巧みな印象誘導は何もお咎め無しのようなのだが。

 

ちなみに勿論、件の講師は上の民主党の悪行のことは

一言も触れていない。

 


平和教育のための教員研修2:加害者意識

2014-08-13 | 教育

先ほどの記事では

大久野島毒ガス製造施設と重慶爆撃について扱った。

なぜか。

 

私事だが教員免許更新のための講習に

しばらく出席していた。

その講習の中の一つが「これからの平和教育」

というものであった。

 

要するに、小・中・高で設けられる平和教育の授業を

教員がどのようなものにするか、どのように展開するか、

という話である。

 

受講にあたって、私の中に些か黒い目的があったことは否定しない。

この講習が、自称リベラル派の思想刷り込みに利用されているのでは

ないかという推測が前提にあり、その仮説検証が受講目的であった。

 

果たして、上の予想は的中した。

 

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平和教育を語る上で、どうやっても太平洋戦争は

題材として避けては通れない。

講習冒頭で「フォト・ランゲージ」

(戦争関連の写真を見せ、その内容を小グループで議論するもの)

があったが、そこで取り上げられたのが重慶爆撃の写真だった。

(引用は前田哲男の本から)

 

なぜ、多くある題材のうちからこの爆撃を選んだのだろう。

 

また、講師は話の中でさりげなく

「大久野島で毒ガスが作られ中国で使用された」

ということを述べた。

気になって調べてみたのが前回の記事である。

 

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配られた配布資料の冊子には

「日本の戦争被害だけでなく戦争加害も教えるべき」

というスタンスであったが、

その割には上述のように加害の側面ばかりが強調されていた。

 

(ちなみに確認しておくが当時の中国は国民政府であり、

今の中華人民共和国は戦後できたものである。

従って日本が国として中華人民共和国に謝罪・賠償する責任は一切ない)

 

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話が少しそれる。

配布された資料の中には、戦前の教科書抜粋も掲載されており、

その中で木口小平の

「キグチコヘイ ハ テキ ノ タマ ニ

アタリマシタガ シンデモ ラッパ ヲ クチ カラ

ハナシマセン デシタ」

のページがあった。

 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E5%8F%A3%E5%B0%8F%E5%B9%B3

 

戦前の修身教育の一端を示すものであり、

講義の流れとしては

「戦前はこのようにして(よくない)戦争礼賛教育が行われていた」

というメッセージを伝えるのが目的だったと思われるが、

私がこれを見て連想したのは

 

東日本大震災で津波で流されるまでマイクに向かって

住民に避難勧告を出し続けて殉職した女性職員

 

だった。

与えられた職務に対して場合によっては命をも捧げる、

そしてそうやって亡くなった人に対して敬意を払うというのは

日本人ならではの気質、文化であり、

この点については戦前、戦後で変わりはない。

 

どこぞのセ○ォル号船長とは違うのである。

 

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先の大戦で日本に戦争加害者という面があったのは否めない。

ただし、当時日本はアジアでほぼ唯一、

白人の帝国主義に対抗して厳しい矢面に立たされており、

ハル・ノートで突きつけられた経済封鎖の打開として

止むに止まれず太平洋戦争開戦に踏み切った

(アメリカ側としてはそこに追い込んだ)

というのも事実である。

 

国家レベルとしてはそうであるが、個人レベルとしては

「(鬼畜米英から)家族を守るために命を捧げる」

という崇高な意思を持って戦地に赴いた男性も多かっただろう。

 

(実際に戦後若い男性が不足していた

日本では女性の性被害など相次いだという。)

 

残念ながらこの側面は今の平和教育では語られることはない。

当時の軍人たちも語ることなく、

今やほとんどの方が亡くなられている。

 

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自称リベラル派の人たちが

「私の祖父は戦前悪いことをした」

というのなら、日本は言論の自由が保証されている国でもあるし、

私は何も言わない。

 

しかし、彼らが

「日本は悪いことをした」という場合、それしか言わない場合は

私の先祖を含めた日本人全体を愚弄していることになる。

 

それに対して彼らが無自覚でいることに私は憤りを覚える。

しかしおそらく、彼らは意図的に日本の加害面を強調しているのだから

一層のこと問題があるのである。

 

続きます。


平和教育のための教員研修1:大久野島と重慶爆撃

2014-08-13 | 教育

終戦記念日も近いので、

まずは太平洋戦争において調べてわかったことを

いくつか書き留めておく。

(調べることになったきっかけは後で述べる)

 

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広島県の大久野島毒ガス製造工場があった。

いまではそこに資料館が建てられている。

 

http://www.city.takehara.lg.jp/machitukuri/dokugasusiryokan.html

 

大久野島ではイペリットガス(マスタードガス)、

ルイサイトガス、クシャミガス、催涙ガスなどが製造されたとある。

 

1925年のジュネーブ議定書では毒ガスの戦争での使用は

禁止されていたが、開発保有は合法であった。

 

戦中は島の存在そのものを日本政府は隠蔽していたという。

 

日本が非致死性の「あか」(クシャミガス)、「みどり」(催涙ガス)を

用いていたことは間違いがない。

マスタードガスは実験的に使用されたという。

(参考:第一次長沙作戦)

 

中国大陸に持ち込まれた毒ガスは戦後未処理のまま

投棄された。

 

http://homepage3.nifty.com/dokugasu/qa.html

 

ただし、東京裁判ではこの件については不問とされた。

戦勝国も毒ガスを保持していたし、クシャミガス等は

警察も用いていたからだという。

 

日本軍の用いた毒ガスによる中国人死者は

1万人以上という報告が出されているが、

これは中国側からでた数字で

(南京事件と同じく)数字の裏が取れないようだ。

 

http://eharagen.sun.macserver.jp/gas_warfare.html

 

これらを細かく理解せず、全てまとめて

「日本は毒ガスを用いて中国人を殺した」

とまとめると、それは歪曲だろう。

 

確かに日本は致死性の毒ガスを製造した(合法)。

日本は非致死性の毒ガスを実戦で用いた

(当時の感覚では責めるに当たらない)。

 

しかしこれだけでは毒ガスによる殺戮を行ったことにならない。

裏付けが要る。

 

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重慶の爆撃について。

1938年12月4日から1943年8月23日にかけて断続的に

218回行われた戦略爆撃のことを指す。

 

1937年にゲルニカ爆撃が行われているので

重慶爆撃は最初の戦略爆撃ではない。

 

当初国民司令部の破壊を目的とした爆撃だったが、

爆撃精度等の問題もあり、次第に民間人居住区も

含めた絨毯爆撃になっていったというのが自然な解釈だろう。

民間人の犠牲がでたことは間違いない。

ただし、中国の常でその具体的な数ははっきりしない。

 

この爆撃が、戦後アメリカの東京大空襲の正当化に用いられたようだが、

重慶爆撃と東京大空襲はこのままだと次の点で決定的に異なる。

 

東京大空襲は民間人居住区を目標とした爆撃であり、

それも中心部からではなく周辺部から焼夷弾を落とし

退路を断つという戦略が取られた。

(ちなみに後半部についてはアメリカ側からは資料がでてこないらしい)

結果的に10万人以上の民間人が犠牲になっている。

 

何より気になるのがこの重慶爆撃が

耳目を集めるようになったきっかけが前田哲男氏の本で、

これが出版されたのは21世紀に入ってからである。

 

http://www.amazon.co.jp/%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%88%86%E6%92%83%E3%81%AE%E6%80%9D%E6%83%B3%E2%80%95%E3%82%B2%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%82%AB%E3%83%BB%E9%87%8D%E6%85%B6%E3%83%BB%E5%BA%83%E5%B3%B6-%E5%89%8D%E7%94%B0-%E5%93%B2%E7%94%B7/dp/4773630094

 

朝日新聞の朝鮮人従軍慰安婦についての

捏造報道告白が記憶に新しいところだが、

このように後から出てきた日本の戦中加害については

多分に政治的思惑が絡んでいることが多く、

一概に信用ができない。

 


第1回大学生数学基本調査報告書

2013-06-01 | 教育

2011年4月から11月にかけて、

大学生約6000名を対象に数学的能力の調査が行われた。

概要は以下を参照。

 

http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/report6_25.pdf

 

数学通信第18巻第1号(2013年5月)にも

詳細が掲載されている。

 

ここで調査学生対象に出題されている問題はいずれも

高校以下で履修している範囲のものである。

 

ただし、その正答率については些か危機感を禁じ得ない。

ここに挙げられている問題の一つ(2-1)を取り上げてみよう。

 

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問題:偶数と奇数をたすと、答えはどうなるでしょう。

次の選択肢のうち正しいものに○を記入し、そうなる理由を

下の空欄で説明してください。

(a) いつも必ず偶数になる。

(b) いつも必ず奇数になる。

(c) 奇数になることも偶数になることもある。

 

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調査学生はベネッセコーポレーションのマナビジョン提供の

偏差値分類によって上から順に

国立S、国公立A、国公立B、私立…というように分けて

分析が行われている。

 

この問題に関しては正答率が国立Sでさえ

41.4%で、国公立B以下では10%台以下になっていた(!)

準正答を含めてもせいぜい2倍程度の率にしかならない。

 

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これほど低い正答率になっている理由の一つは、

採点基準が厳し目に設定されているということもある。

 

(正答例)(b)

理由:偶数と奇数は整数m,nを用いてそれぞれ

2m,2n+1と表すことができる。

そしてこの2つの整数の和は

2m+(2n+1)=2(m+n)+1

となる。m+nが整数なのでこの和は奇数である.

 

一方で、次のようなものは誤答とされている。

例1:偶数+奇数=偶数+(偶数+1)=(偶数+偶数)+1=偶数+1=奇数

 

例2:偶数と奇数は「偶数、奇数、偶数、奇数、…」

と交互に並んでいる。したがって、奇数と偶数の分だけずらしても

奇数のままである。

 

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普段の授業の実感から、

上の正答のような証明文を書ける学生は少数であることは

予想はできる。

またこれだけ単純な問題なら、

答えは直感的に明らかなので学生側は

「自明なことをどう証明すればいいのか」

と途方に暮れていたのかもしれない。

 

また、証明をなぜ書く必要があるのか、

なぜ「偶数、奇数」を文字式で置き換えて議論をしなければならないのか、

という動機づけを学生に伝えるのはなかなか難しいのである。

 

これらの動機付けは、

より進んだ数学を扱い、複雑な問題に直面したときに

必要なものであることを痛感するのであるが、

逆にいうと問題が簡単なうちは

必要性がいまいちピンとこないのである。

 

では、この問題をより複雑にすればよかったのかというと

そういう訳でもない。

時間が制限されている条件下で難しい問題を出しても

無回答が増えて調査の意味をなさなくなるからだ。

 

これは実際の教育現場でも遭遇するジレンマである。

証明問題は、簡単すぎると

証明する意義を見出しにくい。

難しくすると学生は手をだそうとしなくなる。

塩梅が実に難しいのである。

 

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この問題が果たして良問と言えるのかどうか、

については議論の余地はあると思う。

 

とはいえ、この正答率は深刻である。

「証明文の作法」をほとんど身につけないまま

大学に入学してきている学生がほとんどであることを示しているからである。

 

証明の意義がわからなければ、

大学の講義で教員がいくら長々と説明しても

学生が内容を受け止めることができないということになる。