今回もリアルタイムでは見れていない。
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先手:三浦弘行
後手:GPS将棋
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲5六歩 △5四歩 ▲4八銀 △4二銀
▲5八金右 △3二金 ▲6七金 △4一玉 ▲7八金 △5二金 ▲6九玉 △3三銀 ▲7七銀 △3一角
▲3六歩 △7四歩 ▲7九角 △4四歩 ▲3七銀 △6四角 ▲4六角 △7三銀 ▲7九玉 △3一玉
▲8八玉 △8五歩 ▲2六歩 △1四歩 ▲1六歩 △2二玉 ▲2五歩 △4三金右 ▲6八角 △7五歩
▲同 歩 △8四銀 ▲7四歩 △7五銀 ▲7六銀 △同 銀 ▲同 金 △7五銀 ▲同 金 △同 角
▲7七銀 △6四角 ▲7六銀打 △7二飛 ▲6七金 △8四金 ▲6五歩 △8二角 ▲6六金 △7四飛
▲7五歩 △7二飛 ▲8六歩 △同 歩 ▲同 銀 △7四歩 ▲同 歩 △6四歩 ▲7五金 △7四金
▲同 金 △同 飛 ▲7五歩 △7一飛 ▲8三金 △7三角 ▲8二歩 △6六金 ▲8七玉 △8八歩
▲8一歩成 △同 飛 ▲7三金 △8九歩成 ▲7二金 △8八と ▲9六玉 △7六金 ▲8一金 △9四銀
▲9五銀 △7三桂 ▲4一角 △8三歩 ▲9一金 △9五銀 ▲同 玉 △8四銀 ▲9六玉 △9九と
▲9五桂 △9四香
102手まで後手勝ち
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戦型は矢倉の中でも脇システムと呼ばれる形。
変化が狭く、研究をしていないと踏み込めない形と言われる。
だからこそ三浦八段はこの戦型に誘導したとも言える。
私は残念ながらここらの定跡を殆ど知らない。
45手目▲7六銀など、守りの銀を後手の攻めの銀に
自分からぶつけていくのは奇異な感じだが、
これも定跡のうちなのだろう。
先手は伸ばした7四歩が生命線である。
これを無条件で払われる形になると主張点がなくなる。
正直この中盤は私ごときが口を出せるような
レベルのシロモノではないのだが。
ただ53手目▲7六銀打ちなどはコンピュータならやらない手だろう。
プロ棋士はこのような「厚み」を好むが、
この場合持ち駒という潜在的可能性を
放棄するだけの価値があったのかどうか。
実際には8五の歩をとることはなかった。
55手目▲6七金。
通常はプロでも指さない。自ら玉を薄くする手だからだ。
三浦八段が命運をかけた一手だが、
ここで形勢が決まった可能性がある。
56手目△8四金。
一見イモだが以下の展開をみればわかるように
これで先手の圧力に対抗できると同時に歩損の解消が確定した。
以下先手の7四歩をはらうことに成功。
このときの盤面を見ると
常日頃からコンピュータに負かされまくっているアマチュアは
嫌な予感がするのである。
この時点で先手は盛り上がっていて威張っているように見えて、
実は勝てるパターンが相当制限されているのだ。
故米長氏の対局の、あのパターンを連想させる。
網を広げたものの、一箇所でも食い破られると終わりである。
先手は8六歩から動いたが、
大駒を犠牲にして一気に寄せ切られてしまった。
感想戦でも先手が優勢になる順が途中あったかどうか
はっきりと指し示されることはなかったようだ。
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これは大将戦であり、今までの対局とは重みが違う。
と同時に、これまでの対局とうってかわって
コンピュータの強さが一方的に発揮された一局だった。
この第2回電王戦シリーズはコンピュータの
勝ちであることは誰も否定出来ないだろう。
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直前の記事では入玉のことを述べたが、
この対局を見る限り状況は深刻である。
プロが自分たちの定跡で
「これは先手有利」あるいは「これは一局」
で打ち切ってきた変化を洗いなおす必要が出てきている。
実際に、A級棋士が勝てなかったのである。
この一局で、コンピュータは新手を披露したのかも
知れないが、それでも奇手というほどのレベルではない。
少なくとも指されればその理屈は分かる。
普通に指して普通に勝っている。
反省しなければならないのは専ら人間の側である。
次回、プロ棋士は誰が出場するのか。
もはや現時点でほとんど余裕がなくなってきている。